2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ステロイドはなるべく薄く塗る?

ステロイドは1回に十分量を塗ったほうがいい

ステロイド忌避患者でなくても、多くの患者さんは最小量の外用で何とかしのいでいきたいと考え、不十分な外用量のため、アトピー炎症が遷延化しているケースが少なくありません。

1日2回の外用は、急性増悪期のみで良く、ある程度炎症が鎮静化した場合は、患者さんの外用コンプライアンスも考慮し、1日1回の外用で良いので、FTUの外用量を遵守するよう指導するのが良好な治療効果を確実に達成できる秘訣といえます。

しかし、多くのコントロール不良なアトピー性皮膚炎患者さんでは、FTUの指導はされていても、実際に処方されているステロイド外用剤の量が不十分なことが少なくないような印象をもっています。

その意味では、FTUの指導ツールが普及してきたとはいえ、まだ実践的な活用がなされていないといえるでしょう。

FTUができていないためにアトピー炎症がくすぶり続け、皮膚が黒く、厚ぼったくなってしまい、それをステロイド外用剤の副作用と勘違いしている医師や看護師、薬剤師がまだ多く存在します。

ステロイドが効かないのは塗布量が少ないから?

ステロイド外用薬については、さまざまな理由から塗布量が十分でないことが問題となります。

これは、かつてステロイド外用薬が3.0gまでしか保険適用されなかった影響がいまだに残っていることも理由の1つだと思いますが、何よりも患者さんにステロイドに対する不安感や忌避感があり、医師の側にもステロイドの使用に消極的な姿勢があると思います。

劇薬表示があることも、不安をあおる要因の1つかもしれません。

チューブが小さいこともあって、処方量は少なくなりがちです。

しかし、ステロイド外用薬を塗っているにもかかわらず掻いているような状態は、まるで少量の抗生物質を投与して耐性菌を出現させるようなものですので、炎症が収まって掻かなくなるまでの十分な量と期間、塗布することが重要です。

患者さんには、1日2回きちんと塗り、一見よくなってもすぐにはやめないよう指導します。

ステロイドはたっぷり塗る

ステロイド外用剤の長期使用で最も心配されるのは、全身吸収による副作用ですが、日本皮膚科学会による「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2008年」によれば「ベリーストロングクラスのステロイド外用薬の長期使用試験結果より、皮疹の面積にも左右されるが通常の成人患者では十分量である1日5gないし10g程度の初期外用量で開始し、症状に合わせて漸減する使用法であれば、3ヶ月までの使用では一過性で可逆性の副腎機能抑制は生じるものの、不可逆性の全身的副作用は生じない」とされ、使用量の許容範囲は予想以上に大きいです。

「あまり使いすぎないように」とか、「なるべく薄く塗ってください」と言ってしまうことも多いですが、ガイドラインを参考にすると、かなりたっぷり塗れることがわかります。

デルモベート軟膏もたっぷり塗っていい?

ガイドラインにはありませんが、ストロンゲストの薬剤についても、副腎皮質の抑制が起こる可能性がある1日量は小児で5g、成人で10gとする指摘もあり、使用量の許容範囲は予想以上に大きいようです。

単純塗布と単純塗擦

単純塗布法は最も基本的な外用の方法です。

指腹などで皮膚外用剤を少量とり、薄く延ばして塗る方法で最も広く行われています。

単純塗布は通常擦り込む必要はありません。

擦り込む方法を単純塗擦といって区別する場合もあります。

筋肉痛などに使用する皮膚外用剤ではマッサージ効果も期待できることから、塗擦することがあります。

疾患により患部が広範囲にわたる場合では、指腹で延ばすのではなくて、患部に直接皮膚外用剤を出して、掌全体で延ばすとよいでしょう。

ただし、ステロイド外用剤のように副作用の発現を考慮しなくてならない場合、乾癬など病変が広い場合には、病変部のみに塗布するように指導する必要があります。

また、ステロイド外用剤は患部に塗布する際に刺激を与えると痒みが発現するので、なるべく刺激を与えないように撫でるように塗布します。

外用薬の塗り方

擦り込むと痛みますし、薄く塗ると肝心なところに薬がつかなくなったりするので、ペタペタするくらい、たっぷりとのせるように塗りましょう。

塗るタイミングは「お風呂上がりにすぐに」が一番よく、塗り方や塗る量はステロイド外用薬でも保湿剤でも基本的に同じである。

入浴後は肌に水分がたくさん含まれていて、その上から外用薬を塗ることで保湿効果も高まる。

入浴後でないときは、塗布部位と塗布する手指をあらかじめ清潔にして行う。

水分を補ってから外用薬を塗るとドライスキンに対する保湿効果も高まる。

皮膚炎の場合は、こすると痛み、擦り込むことで肝心なところに薬が残らないこともあるので、擦り込まず、のせるように厚めに塗るとよい。

アトピー性皮膚炎の場合はFTU(フィンガー・チップ・ユニット)という軟膏を塗布する量の単位もある。

1FTU(約0.5g)は大人の人差し指の第1関節分の軟膏を大人の手のひら2面分くらいに塗る量の目安で、ペタペタした感じがするくらいの量である。

このFTUはチューブの口径で量が変わり、たとえば顔全体に塗るのに0.5g程度必要な場合は、ヒルドイドソフトでは1FTU、プロトピック軟膏では2FTUと指示される場合がある。

また、体全体で20FTU、約10gを塗布という場合には、料理で使う小さじ(1杯5cc、約4g)で2杯分くらい、と医師が指示することもある。

実際に塗るときは、1ヶ所にまとめてつけて伸ばすのではなく、必要な総量を肌の上に数ヶ所に分けてのせ、それを全体に塗り広げると塗りムラができにくくなる。

壺に入った軟膏を使う際は、手で直接すくいとると手指の雑菌が壺の中で増殖してしまうことがあるため、清潔な計量スプーンやヘラで量りとるようにし、最後まで清潔な状態で使うことも大切である。

保湿剤はたっぷり塗る?

軟膏やクリームは、人差し指の先から第一関節まで伸ばした量、ローションタイプの場合は、1円玉大の量が約0.5gです。

この量で、およそ手の面積2枚分に塗れます。

ティッシュが皮膚に付く、または皮膚がテカる程度も使用量の目安です。

参考書籍:調剤と情報2011.10

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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