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ブイタマークリームは乾癬の薬?アトピーの薬?
公開. 更新. 投稿者:アトピー性皮膚炎/ステロイド外用薬.この記事は約2分24秒で読めます.
3,749 ビュー. カテゴリ:タピナロフクリーム
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アリル炭化⽔素受容体モジュレーターって何?
ブイタマークリーム1%という新しい作用機序の外用薬が、新薬として承認された。
成分はタピナロフ、薬効分類としては、アリル炭化⽔素受容体モジュレーターというものになるそうだ。
アゴニストとかアンタゴニストはわかるけど、モジュレーターってピンとこない。有名どころではSERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)、アゴニストとしても働くしアンタゴニストとしても働く、作用もするし遮断もするので調節するという意味。
アリル炭化水素って?アリル基は芳香族炭化水素基のことで、フェニル基とか。
芳香族炭化水素っていうと、ベンゼン、トルエン、フェノール、安息香酸とか医薬品でも様々な物質が当てはまりそうだけど。芳香族炭化水素受容体は体中にあるらしい。
ダイオキシンもアリル炭化水素に含まれる。ダイオキシンなどの環境汚染物質がアリル炭化⽔素受容体に働くと悪い作用が出るけど、タピナロフが働くと良い作用が出るという。そんな都合の良いことがあるのか、副作用にも注意してみたい。
ダイオキシンは呼吸器から体内に入って全身に運ばれるけど、皮膚に塗布するタピナロフは副作用的にも懸念は少ない。
タピナロフの内服薬は発売されないだろう。
アリル炭化水素受容体の良い作用としては、異物の代謝を行う、悪い作用としては、過剰なタンパク質産生を引き起こすことにより毒性を発現する、といったことが考えられている。
効能効果は、「アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬」。
アトピー性皮膚炎の外用薬だと、ステロイド外用薬に加えて、プロトピック軟膏、コレクチム軟膏(JAK阻害薬)、モイゼルト軟膏(PDE4阻害薬)がある。
乾癬の薬だと、ステロイド外用薬、活性型ビタミンD3外用薬がある。
海外では尋常性乾癬に適応があるけれど、アトピー性皮膚炎に適応がついたのは日本が初めて。
病態として、アトピーはアレルギー、乾癬は皮膚のターンオーバーの問題という認識で、使われる薬も違うという認識があるが、結局どちらも免疫系の問題で、最終的に使われるのは免疫抑制剤になる。
どういう位置づけで使われていくかはまだわからないけど、皮膚疾患は難治性のものが多いので、選択肢が加わるのは皮膚科医にとっても喜ばしいことだろう。
AhRとダイオキシン
AhR(芳香族炭化水素受容体)は、リガンド依存性に機能が調節される転写因子であり、食物や微生物、汚染物質、代謝産物といった様々な化合物によって活性化されます。
AhRは、化学物質に対する制御、微生物に対する防御、エネルギー代謝、細胞の発生と分化、生殖など幅広い生理機能に関与しています。さらに、免疫系において免疫応答を調節する重要な役割を果たしています。
AhRリガンドの種類によって、酸化ストレスへの影響や炎症性サイトカインに与える影響が異なることから、皮膚炎への影響も異なります。
皮膚炎を増悪させるAhRリガンド:大気汚染物質(ダイオキシン、ベンゾピレン)
皮膚炎を抑制させるAhRリガンド:コールタール、大豆由来タール(脱脂大豆乾留タール)
AhRのリガンドの1つである、ダイオキシン類は活性酸素種に対して安定であるために分解を免れて、AhRの過剰な活性化を招きます。この活性酸素種による酸化ストレスがダイオキシン類による毒性発現の大きな要因となります。
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勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
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