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各非定型抗精神病薬のドパミン受容体への結合の強さ
公開. 更新. 投稿者:統合失調症.この記事は約2分8秒で読めます.
3,612 ビュー. カテゴリ:D2受容体に対する親和性の強さ
D2受容体に対する親和性の強さによって、内因性のドパミンと比較して強い場合には固い結合(tight binding)、弱い場合には緩い結合(loose binding)と呼ばれます。
また、D2受容体に対する結合性の強さによって、1日1回投与でも24時間以上D2受容体の阻害が持続する(sustained or continuous blockade)ものと、24時間以内にD2受容体の占拠率がすみやかに低下する(transient blockade)ものに分類されます。
これらの分類によれば、リスペリドンはsustained-tight、オランザピンはsustained-loose、クエチアピンはtransient-loose、ペロスピロンはtransient-looseです。
D2受容体からすみやかに解離するtransient blockadeのクエチアピン、ペロスピロンは高プロラクチン血症の発現頻度が少なく、loose bindingのオランザピン、クエチアピン、ペロスピロンでEPSが少ない一方、sustained-tightであるリスペリドンは非定型抗精神病薬の中ではEPSや高プロラクチン血症の発現頻度が高いです。
アリピプラゾールはドパミンD2受容体部分作動薬あるいはDSSとして知られています。
ドパミンが過剰な状態では、シナプス後のD2受容体には機能的な拮抗薬(アンタゴニスト)として働いて、ドパミン神経伝達が低下した状態では、機能的に本来のアゴニスト作用が現れ、本薬物の内因活性レベルまで上昇させるので、ドパミン機能を調節(安定化)すると考えられています。
また従来のD2受容体アンタゴニストでみられるEPS、高プロラクチン血症、体重増加、QT延長、過沈静などの副作用がきわめて生じにくいです。
非定型抗精神病薬の各受容体に対する作用の強さ
リスペリドン(リスパダール)
D2受容体 ++
D4受容体 ++
5-HT1A受容体 ±
5-HT2A受容体 ++
M受容体 -
α1受容体 ++
H1受容体 ++
ペロスピロン(ルーラン)
D2受容体 ++
D4受容体 ++
5-HT1A受容体 +
5-HT2A受容体 ++
M受容体 -
α1受容体 ++
H1受容体 ++
オランザピン(ジプレキサ)
D2受容体 +
D4受容体 ±
5-HT1A受容体 -
5-HT2A受容体 ++
M受容体 ++
α1受容体 ±
H1受容体 ++
クエチアピン(セロクエル)
D2受容体 +
D4受容体 -
5-HT1A受容体 ±
5-HT2A受容体 +
M受容体 +
α1受容体 ++
H1受容体 ++
アリピプラゾール(エビリファイ)
D2受容体 ++
D4受容体 +
5-HT1A受容体 ++
5-HT2A受容体 ++
M受容体 -
α1受容体 +
H1受容体 +
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