2024年4月15日更新.2,753記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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チラーヂンと鉄剤を併用しちゃダメ?

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チラーヂンと金属キレート

鉄剤などの金属イオンとキレートを形成して吸収が低下する薬がいくつかある。セフゾン、テトラサイクリン系、ニューキノロン系、甲状腺ホルモン製剤など。

Al、Fe、Ca、Zn、La含有医薬品とレボチロキシンNa水和物(T4、チラーヂンS)を同時服用すると、レボチロキシンの効果が減弱し、血清T4濃度低下、血清TSH(甲状腺刺激ホルモン)濃度上昇などが起こる。

この発現機序は明らかではないが、レボチロキシンが構造上、カルボキシル基、アミノ基、フェノール性水酸基を有し、金属とキレートを形成しやすいことや、水酸化Alによる吸着を受けやすいことなどから、消化管内での金属キレート形成や吸着によってレボチロキシンの吸収阻害が起こるためと考えられている。

また、甲状腺ホルモンは腸肝循環により再吸収されるため、これらの金属含有製剤による血清T4濃度低下の原因には、服用後の消化管吸収阻害作用のみならず、T4の腸肝循環阻害も関与している可能性がある。

これまでに、レボチロキシンの吸収を阻害すると報告されている薬剤は、Al含有制酸剤(水酸化AL、スクラルファート)、Fe剤、炭酸Ca(1~3.75g)、Zn含有製剤のポラプレジンク(プロマック)であるが、これより低用量の金属を含有している他の医薬品や健康食品、Mg含有製剤の影響は不明である。

ただし、甲状腺ホルモン製剤の投与量は少なく(例えば、レボチロキシンでは1回投与量が25μg[0.031μmol]以上)、微量の金属でも影響を受ける可能性がある。

そのため、Al、Fe、Ca、Znを含有している他の医薬品や健康食品、総合ビタミン剤などと甲状腺ホルモン製剤との同時服用は避けるように指導した方がよい。

チラーヂンと金属の服用間隔

相互作用を回避する方法として、以下の報告がある。

すなわち、①Al含有制酸剤では、制酸剤投与の8時間後または甲状腺ホルモン製剤投与の4時間後に他方を投与する、②炭酸Caでは甲状腺ホルモン製剤との服用間隔を4時間以上空ける、③Fe剤やZn含有製剤は、服用間隔を2時間以上空ける―などである。

ただし、服用間隔と吸収阻害との関連には不明な点が多く、微量の金属が影響を与える可能性も考えられる。
併用時には効果減弱に十分注意する必要がある。

Al含有製剤において、服用間隔が空くことで患者のコンプライアンス低下が懸念される場合は、金属を含有しないH2拮抗薬やPPIなどに変更するとよいだろう。

チラーヂンとマグネシウム

in vitroにおいて、水酸化Mgはレボチロキシンをほとんど吸着しないことが示されており、今のところ、Mgのみを含有する医薬品との同時服用は問題ないと思われる。

甲状腺機能低下症で貧血

甲状腺機能低下症で内分泌科に通院。チラーヂンが処方。

不正出血で貧血。婦人科に通院。フェロミアが処方。

気づかないうちによくありそうなパターン。

甲状腺機能低下症も女性に多い病気。

甲状腺機能低下症そのものも貧血を起こしやすいですし。

ただ、チラーヂンと鉄やアルミニウムなどの金属イオンは併用注意です。

鉄剤とレボチロキシンとを同時に服用すると、キレートが形成されてレボチロキシンの吸収が妨げられる。

併用時には、投与間隔をできるだけ空けなければいけません。

効果の減弱を防ぐためには、服用時点を2時間以上空ける必要がある。

注意。

甲状腺ホルモンと鉄剤

甲状腺ホルモン製剤と鉄剤をいっしょに飲むと、甲状腺ホルモン製剤の吸収が低下するので、時間をずらして飲ませます。
2時間以上あけるといいです。

その他、アルミニウム含有の制酸剤と併用する場合は、制酸剤服用後8時間あけて甲状腺ホルモン製剤を服用。
または、甲状腺ホルモン薬服用後4時間以上あけて制酸剤を服用。

カルシウム含有製剤では服用間隔を4時間以上あける。
亜鉛含有製剤では2時間以上空ける。

マグネシウム含有製剤との同時併用は問題ない。
コレバインと併用する場合、コレバイン服用1時間前または服用後4時間あけて甲状腺ホルモン剤を服用。

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8 件のコメント

  • 匿名 のコメント
         

    チラージン2・5㎎内服中です。風邪を引き内服だしてもらったのですが、飲んだその夜には構内が出来てしましました。飲み合わせが悪い風邪薬など有りましたら教えて下さい

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    構内というのは、口内炎のことでしょうか?
    風邪薬に含まれているエフェドリンとチラーヂンには相互作用がありますが、冠動脈疾患のある方でなければ、問題ないと思います。

  • める のコメント
         

    チラーヂンS服用中の患者さまにイサロンが処方されました。
    イサロン、またはアルサルミンを服用することにより、チラーヂンSの吸収がどれくらい低下するのか、あすか製薬に確認したところ、「チラーヂンS単剤服用の1/3になる場合があるが、全部の方がそうなるわけではないので、一度併用していただき、血中濃度に影響があるようなら考えていただければよい。ご心配なら4時間空けてください。」と回答をいただきました。
    けれども、チラーヂンSはたいてい朝食後処方が多く、内科や整形外科、歯科などでNSAIDs、イサロン、抗生剤などの処方がある場合、わざわざ4時間空けるよう服薬指導するよりは、影響の無いレバミピドなどに変更依頼をしたほうがよほど、患者さんのコンプライアンスは向上すると思うのですが。あすか製薬さんの対応はどうなんでしょうか?

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    私も同感です。いくら自社製品を使ってもらいたいからといって、その対応はどうかと思いますね。あすか製薬の胃粘膜保護薬って他に無いのかな。

  • たんちゅん のコメント
         

    甲状腺を全摘出した者です。チラージンを毎日3錠服用してますが、飲まないとどうなるのでしょうか
    身体に良くないことが、おきるのでしょうか

  • ぽつぽ のコメント
         

    75mgのチラージンを飲んでいます。今日の検査でTSHが、7.5に上がっていました。コレステロール薬のゼチーアを飲んでます。時間を開けて飲んだがいいんでしょううか?

  • ひろひろ のコメント
         

    チラーヂン服用中の患者様に乳酸Caが大量に1日3回併用されている処方をよく見かけます。クリニックにより、服用間隔を少しずらしているところもあれば、同時服用指示のところもあります。アドヒアランス優先かと思いますが、乳酸Ca製剤でもやはり服用間隔をあけるように口頭にて指導した方がよいでしょうか。

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    うーん、どうなんでしょうね。アドヒアランスというか、主治医の意見も大きいかと思いますので、医師に聞いてもらうのがいいでしょうかね。
    でも、1日3回の薬とずらして飲ませたいのであれば、チラーヂンは寝る前処方にするかなーとも思うので、服用時点がかぶっているのであれば、医師はあんまり気にしてないのだろうと思いますが。
    チラーヂンの効果が出てるかどうかについても医師は観察してると思いますので、個人的には、患者さんに積極的に「ずらして」服用するようには勧めないかなあと思います。

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yakuzaic/著
2023年09月14日発売

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職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
座右の銘:習うより慣れろ。学ぶより真似ろ。
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