2024年12月18日更新.2,481記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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男性が避妊すべき薬一覧

精子に与える薬の影響

薬剤師

精子の中にも飲んだ薬が入ってる?

一般的に、男性に投与された薬剤が妊娠に与える影響は非常に少ないと考えられています。

男性の精子形成期間は、およそ74日(±4~5日)といわれています。

妊娠初期とは、妊娠0週0日~15週6日のことを指します。

妊娠2週0日が排卵日となり、そこで受精すると考えられます。

したがって、妊娠初期の妊娠0週0日に男性が医薬品を服用したとしても、精子形成期間はおよそ74日(±4~5日)ですので、薬剤の影響を受けた精子は排卵日の受精に関れないため、影響はありません。

ただし、精液を介して女性へ移行する薬があり、その点で注意が必要となってきます。

射精される精子の数は2~3億個になりますが、そのうち20%くらいはもともと形態的に異常がみられるようです。

もし、薬剤の影響でそのような異常な精子が増えたとしても、受精できるのは、数億から選び抜かれた正常で健常な精子である確率が高いでしょう。

理論的には、薬剤の影響を受けた精子は受精能力を失うか、受精しても妊娠が成立しなかったり、妊娠早期に流産として消失する可能性が高くなります。

また、もし、出生にいたった場合には遺伝子や染色体の問題はありうりますが、奇形といったような形態的な異常の可能性は少ないといわれています。

男性が避妊すべき薬一覧

医薬品名成分名添付文書の記載
チガソンエトレチナート本剤には催奇形性があり、また副作用の発現頻度が高いので、投与中及び投与中止後少なくとも2年間は献血を行わないよう指導すること。
アラバレフルノミド男性に投与する場合には、投与期間中避妊するよう注意を与えること。
コペガス、レベトールリバビリン妊娠する可能性のある女性患者及びパートナーが妊娠する可能性のある男性患者は、投与中及び投与終了後6カ月間は信頼できる避妊法を用いるなどして妊娠を避けること。また、投与直前の妊娠検査結果が陰性であることを確認後に投与を開始すること。なお、妊娠していないことを確認するために、妊娠検査を毎月1回実施すること。
ポンシルグリセオフルビン高用量での動物試験(マウス)において、本剤が卵母細胞の減数分裂を遅延したとの報告、及び初代精母細胞において染色体の異常分離を誘発したとの報告がされているので、本剤投与中の患者には避妊をさせること。また、少なくとも投与中止後、婦人では1カ月間、男性では6カ月間は避妊をさせること。
アザニン、イムランアザチオプリン本剤投与中の患者において、リンパ球に染色体異常を有する児が出生したとの症例報告がある。また、動物実験(ウサギ、ラット、マウス)で催奇形性作用が報告されているので、本剤投与中の患者には男女共に避妊を行わせること。
リウマトレックスメトトレキサート妊娠する可能性のある婦人に投与する場合は、投与中及び投与終了後少なくとも1月経周期は妊娠を避けるよう注意を与えること。男性に投与する場合は、投与中及び投与終了後少なくとも3カ月間は配偶者が妊娠を避けるよう注意を与えること。
アムノレイクタミバロテン本剤はラット、イヌを用いた動物実験で、精子形成能に異常を起こすことが報告されているので男性に投与する場合には、投与中及び投与終了後6ヵ月間は避妊させること。
サレドサリドマイド本剤は精液中へ移行することから、男性患者に投与する際は、投与開始から投与終了8週間後まで、性交渉を行う場合は極めて有効な避妊法の実施を徹底させ、避妊を遵守していることを十分に確認すること。また、この期間中は妊婦との性交渉を行わせないこと。
レブラミドレナリドミド本剤は精液中へ移行することから、投与終了4週間後まで、性交渉を行う場合は極めて有効な避妊法の実施を徹底(男性は必ずコンドームを着用)させ、避妊を遵守していることを十分に確認すること。また、この期間中は妊婦との性交渉は行わせないこと。
バリキサバルガンシクロビル塩酸塩本剤の活性代謝物であるガンシクロビルを用いた動物実験において、催奇形性及び遺伝毒性があることが報告されているので、妊娠の可能性のある女性は投与期間中、男性は投与期間中及び投与後90日間は有効な避妊を行わせること。
ブレーザベスミグルスタット動物試験で、ミグルスタット投与により雄性生殖器重量及び精子形成の低下、並びに受胎率の低下が報告されているので、男性患者で受胎を希望する場合には、事前に本剤の投与を中止し、3ヵ月間は避妊するよう適切に指導すること。
コルヒチンコルヒチンラットにおいて精巣毒性(精上皮細胞の脱落等)を引き起こすことが報告されている。

男性の薬剤使用による胎児への影響については、「精液への移行」と「精子への影響」の2つが考えられる。

まず、精液への移行に関しては、パートナーの男性が使用した薬剤が全身循環から精液中へ移行し、女性の膣粘膜から吸収される可能性が考えられる。
しかし、女性の血中濃度がそれほど上がるとは考えられず、例えばクリンダマイシン塩酸塩(ダラシン)では精液中濃度が男性の血中濃度の約10倍であっても、精液を介した女性の曝露量は男性の血中濃度の1000分の1より小さいと推定されている。

次に、男性が使用した薬剤の精子への影響である。
一般に精子が形成されるまでの期間は、約3か月とされている。
そのため、男性が使用した薬剤が精子に影響するとすれば、受精前の3か月以内である。ただし、精子の形成が完了している射精直前に服用した薬剤は影響がないとされている。
通常、精液中には形態異常のある精子が20%程度含まれており、受精は数千万個以上の精子のうちの1個により起こるため、薬剤によって精子の形態異常率が多少増加したとしても、影響は大きくないと考えられる。

精子核酸への影響については、変異原性試験の結果を参考に検討されるが、男性が使用した薬剤による精子の染色体異常が児に引き継がれたことを示す報告は現時点で存在しない。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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