2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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妊娠・授乳中に使っちゃいけない目薬?

授乳婦に禁忌の目薬

目薬というと、飲み薬よりも安全、副作用は少ない、という印象。

妊娠中や授乳中に使っても問題ない、という印象ではないでしょうか?

実際に使って胎児や乳児に影響があるかどうか、というのは別にして、添付文書上は「授乳中に使ってはいけない」となっている目薬は意外と多い。

授乳婦に禁忌の目薬、というのはありませんが、使用上の注意の「妊婦,産婦,授乳婦等への使用」に、授乳中に使ってはいけないとなっている薬は以下の通り。

医薬品名添付文書の記載
アイファガン授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験(ラット:経口投与)で乳汁中に移行することが報告されている。]
アゾルガ授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。 [授乳中の投与に関する安全性は確立していない。ブリンゾラミドでは、動物実験で乳汁中に移行することが報告されている。チモロールマレイン酸塩では、ヒト母乳中へ移行することがある。]
アレジオン授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験(ラット:経口)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
エイゾプト動物実験で乳汁中に移行することが報告されているので、授乳中の婦人には授乳を避けさせること。[授乳中の投与に関する安全性は確立していない。]
ガチフロ妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中及び授乳中の投与に関する安全性は確立していない。]
キサラタン授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[動物試験(ラット:静脈内投与)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
グラナテック授乳中の婦人には投与しないこと。やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。〔動物実験(ラット:経口投与)で乳汁中へ移行することが報告されている。〕
ケタス本剤投与中は、授乳を中止させること。[動物実験(ラッ卜、経口)で母乳中へ移行することが報告されている。]
コソプト本剤投与中は授乳を中止させること。〔ヒト母乳中へ移行することがある。〕
ザラカム授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験(ラット:静脈内投与)でラタノプロスト及びその代謝物は乳汁中へ移行することが報告されている。チモロールマレイン酸塩はヒト母乳中へ移行することがある。]
ゼペリン妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中及び授乳中の婦人への投与に関する安全性は確立していない。]
タプコム授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験(ラット:点眼投与)でタフルプロストは乳汁中へ移行することが報告されている。チモロールマレイン酸塩はヒト母乳中へ移行することがある。]
タプロス授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験(ラット:点眼投与)で乳汁中への移行が報告されている。]
タリムス授乳中の婦人には授乳を避けさせること。 [母乳中へ移行する可能性がある。]
チモプトール本剤投与中は授乳を中止させること。〔ヒト母乳中へ移行することがある。〕
デタントール授乳中の婦人には投与しないこと。やむを得ず投与する場合には、授乳を中止させること。[授乳婦に投与した場合の乳児に対する安全性は確立していない。動物実験(ラット:経口)で乳汁中への移行が報告されている。]
デュオトラバ授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。
トラバタンズ授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験 (ラット: 皮下投与) で乳汁中へ移行することが報告されている。]
トルソプト本剤投与中は授乳を中止させること。〔授乳中の投与に関する安全性は確立していない。〕
ハイパジールコーワ本剤投与中は授乳を避けること。〔動物実験で、経口投与で母乳中へ移行することが報告されている。〕
パタノール授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験 (ラット、経口) で乳汁中への移行及び出生児の体重増加抑制が報告されている。]
パピロックミニ授乳中の婦人には投与しないこと。やむを得ず投与する場合には、授乳を中止させること。[授乳婦に投与した場合の乳児に対する安全性は確立していない。母乳中へ移行するとの報告がある。]
ピバレフリン授乳中の婦人には投与しないこと。やむを得ず投与する場合には、授乳を中止させること。[授乳婦に投与した場合の乳児に対する安全性は確立していない]
ベトプティック動物実験で、乳汁中へ移行することが報告されているので、授乳婦に投与する場合は、投与中は授乳を避けさせること。
ミケラン授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、投与する場合は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
ミケルナ授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、投与する場合は授乳を避けさせること。[カルテオロール塩酸塩及びラタノプロストは動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
ムコスタ授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット:経口)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
リボスチンヒト母乳中へ移行することが報告されているので、授乳中の婦人への投与は避け、やむを得ず投与する場合は、授乳を中止させること。
ルミガン授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[動物試験(ラット:静脈内投与)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
レスキュラ授乳中の婦人に投与することを避け,やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること.[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている.]

緑内障の目薬が多いので、授乳中に使っているという婦人は少ないだろう。
しかし、アレジオンやリボスチンといったアレルギーの目薬もあるので、授乳中であることを確認したら、疑義照会が必要となる。
代替薬としては、ザジテンとかインタールには授乳中の注意の記載が無いので、提案できるだろう。

妊婦に禁忌の目薬?

妊婦に禁忌の目薬、なんて聞いたことはない。

リザベンの内服薬は妊婦に禁忌だが、リザベン点眼液は妊婦に禁忌ではない。
ペミラストンの内服薬は妊婦に禁忌だが、ペミラストン点眼液は妊婦に禁忌というわけではない。

医療用の点眼薬で、妊婦に禁忌のものは無い。
しかし、OTCの点眼薬で「してはいけないこと」に、「妊婦又は妊娠していると思われる人」「授乳中の人」という記載のある医薬品がある。

以下の薬。
アイリスガードP
マイティアアイテクト
マイティアアイテクトアルピタット
マイティアアイテクトアルピタットN
ロートアルガードクリアブロックEX
ロートアルガードクリアマイルドEX
ロートクリア

犯人は「プラノプロフェン」か?

医療用ではプラノプロフェンを成分とした目薬に、ニフラン点眼薬がある。
これは妊婦に禁忌ではない。
ちなみにニフラン錠は「妊娠末期の婦人」に禁忌である。
NSAIDsは、妊娠末期の婦人に禁忌となっている。
動物実験(ラット)で分娩遅延及び胎児の動脈管収縮が報告されているため。

しかし、OTC内服のイブですら、「してはいけないこと」では「出産予定日12週以内の妊婦。」と末期のみでの禁止事項となっているのに、点眼薬で「妊婦又は妊娠していると思われる人」と、妊娠中だけでなく妊娠の恐れのある女性にまで売ってはいけないというのは、バランスがおかしいような気がする。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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