2026年1月13日更新.2,718記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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かゆみを測る評価指標とは?かゆみの数値化

かゆみを測る評価指標とは?― NRS・VASを中心に、薬剤師が知っておきたい「そう痒」の数値化 ―

「この薬で、かゆみはどうですか?」
薬剤師として、そう尋ねる場面は少なくありません。

しかし患者さんから返ってくる答えは、

「前よりマシです」
「まだ結構かゆいです」
「なんとなく良くなった気がします」

といった主観的で曖昧な表現が多いのが実情です。

かゆみ(そう痒)は痛みと同様、本人にしか分からない感覚です。そのため、治療効果を客観的に評価するには、数値化された評価指標が欠かせません。

・かゆみ評価がなぜ重要なのか
・代表的な評価指標である NRS と VAS
・それぞれの特徴・使い分け
・薬剤師が服薬指導でどう活かせるか

を中心に、勉強していきます。

なぜ「かゆみ」を評価する必要があるのか

かゆみはQOLを大きく低下させる症状
かゆみは一見軽視されがちですが、慢性的なそう痒は、

・睡眠障害
・集中力低下
・不安・抑うつ
・皮膚損傷(掻破痕・感染)

など、生活の質(QOL)を著しく低下させます。

特に以下の患者では、かゆみが治療満足度を大きく左右します。

・アトピー性皮膚炎
・透析患者の尿毒症性そう痒
・胆汁うっ滞性そう痒
・薬剤性そう痒(オピオイド、抗がん薬など)

「良くなった/良くない」だけでは不十分

治療評価を
・感覚的な印象
・医療者側の推測

だけで判断すると、
・効果が不十分なのに治療継続
・実は効いているのに不要な変更

といった判断ミスにつながる可能性があります。

そこで重要になるのが、かゆみの数値化です。

かゆみ評価の基本は「主観的評価」

かゆみには、
・血液検査
・画像検査
のような客観的な指標が存在しません。

そのため評価は基本的に、
患者自身の訴えを数値で表現する主観的評価
に依存します。

この主観的評価を、
・再現性を持たせ
・経時的に比較可能

にするために開発されたのが、NRS や VAS です。

NRS(Numerical Rating Scale)とは

NRSの概要
NRS(数値評価スケール)は、最もシンプルで使いやすい評価指標です。

評価方法
患者さんに次のように質問します。

「今のかゆみを、
0を“まったくかゆくない”、
10を“これ以上ないほど強いかゆみ”
としたとき、いくつくらいですか?」

患者は 0~10の数字で回答します。

NRSの特徴

長所
・非常に簡便
・記録しやすい
・高齢者にも使いやすい
・外来・薬局で即使用可能
・経時的変化を追いやすい

短所
・数字の選び方に個人差がある
・微細な変化の検出はやや苦手

NRSが向いている場面
・外来診療
・調剤薬局での服薬指導
・抗ヒスタミン薬・外用薬の効果確認
・生物学的製剤の治療経過観察

薬剤師が日常業務で最も使いやすいスケールといえます。

VAS(Visual Analogue Scale)とは

VASの概要
VAS(視覚的アナログスケール)は、より詳細な評価が可能な指標です。

評価方法
・10cmの直線を用意
・左端:「かゆみなし」
・右端:「想像できる最大のかゆみ」
・患者に現在のかゆみの位置に印をつけてもらう
・左端からの距離(mm)を測定して数値化

VASの特徴

長所
・連続量として扱える
・微妙な変化を捉えやすい
・統計解析に適している

短所
・実施にやや手間がかかる
・高齢者・小児では理解が難しいことがある
・日常診療では使いにくい場合も

VASが向いている場面
・臨床研究
・専門外来
・新薬の有効性評価
・学会・論文データ取得

NRSとVASの比較

項目NRSVAS
評価方法数字(0–10)直線(mm)
簡便さ
高齢者対応
微細変化検出
研究適性
薬局実務

薬剤師業務ではNRSが基本、
研究・専門領域ではVAS、
という使い分けが現実的です。

かゆみ評価でよくある注意点

① 痛みと混同しない
患者によっては、
・ヒリヒリ
・チクチク
といった感覚を「かゆみ」と表現することがあります。

必要に応じて、

「掻きたくなる感じですか?」
「触らなくてもムズムズしますか?」

などの補助質問を行うと、評価の精度が上がります。

② 時間帯を意識する
かゆみは、
・夜間に悪化
・入浴後に増悪
することが多く、評価のタイミングが重要です。

可能であれば、

「今のかゆみ」
「昨日一番ひどかったかゆみ」

を分けて聞くと臨床的価値が高まります。

かゆみに特化した評価指標(補足)

Itch NRS(Pruritus NRS)
・NRSをかゆみに特化
・「最悪のかゆみ」を評価する場合も多い

WI-NRS(Worst Itch NRS)
・過去24時間の最悪のかゆみを0~10で評価
・生物学的製剤の臨床試験で多用

5-D Itch Scale
・Duration(期間)
・Degree(強さ)
・Direction(変化)
・Disability(生活障害)
・Distribution(範囲)

多面的評価が可能ですが、実務ではやや煩雑です。

薬剤師はかゆみ評価をどう活かすか

服薬指導での活用例
・初回:「今のかゆみは0~10でいくつですか?」
・次回:「前回は7でしたが、今回はどうですか?」

この一言で、
・効果の有無
・改善度
・追加対応の必要性
が明確になります。

医師への情報提供
「患者さん、かゆみNRSが
8 → 4 に下がっています」

と数値で伝えることで、
情報の説得力が大きく向上します。

おわりに

かゆみは、見た目では分からず、数値化しなければ評価が難しい症状です。しかし、NRSやVASといった評価指標を用いることで、治療効果を明確にし、患者とのコミュニケーションを深めることができます。

特に薬剤師は、
・継続的に患者と接する
・経時変化を把握できる
という立場にあり、かゆみ評価のキーパーソンになり得ます。

「かゆみはどうですか?」から一歩進んで、
「今のかゆみ、0~10でいうと?」
この問いかけを、ぜひ日常業務に取り入れてみてください。

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出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
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