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血糖値が高いと手術ができない?
公開. 更新. 投稿者:糖尿病.この記事は約2分29秒で読めます.
1,885 ビュー. カテゴリ:術前血糖値のコントロール
血糖値が高いと手術できないの?
患者さんで、「手術をする予定なんだけど、血糖値が高いと手術ができないから、とりあえず糖尿病の薬を出された」という患者に遭遇することがよくある。
「糖尿病の患者は手術できないのか?」とも思うが、血糖コントロールができていないと手術をする際にリスクがある。
手術中は侵襲の程度にもよるが、血糖値は上昇しやすくなります。カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)や糖質コルチコイド(グルカゴン)などのホルモン分泌が亢進して、血糖は上昇しやすくなる。
また、術後は回復を早めるために、高カロリー輸液を投与することが多い。
このようなことからも、手術では簡単に血糖が上昇しやすい条件が整っている。
高血糖だと意識障害をきたす恐れや、尿の量が多くなり脱水を起こしやすくなるなどのほか、感染のリスクも高くなります。
一般的に術前の血糖バランスは、空腹時血糖で120mg/dL以下、低血糖がないこと、尿中ケトン体がマイナスであることなどが望まれる。緊急手術を行う前でも、血糖値が200mg/dL以下にしてから数時間以内に手術をするのが望ましいとされている。術中の血糖値も120~200mg/dLを目標値としていることが多い。
危険な高血糖
血糖値が高い、という以外、特に自覚症状のない糖尿病患者のコンプライアンスは悪い。
糖尿病で死ぬことはない、むしろ低血糖のほうが怖いとも思っている。
確かに、インスリンが発見される前は、糖尿病性昏睡で死に至るケースが多かったようですが、現在は糖尿病自体で死ぬことはあまりありません。
糖尿病で怖いのは合併症です。
糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害が糖尿病の3大合併症と言われています。
網膜症で失明になり、神経障害で足を切断し、腎症で透析治療を受けることになります。
3大合併症は細小血管障害と言われ、細い血管に起こる障害ですが、それより怖いのは心筋梗塞や脳卒中などの大血管障害です。死亡原因の上位を占めます。
血糖の基準値は、空腹時70~109mg/dL、食後140mg/dL未満とされています。ただし、これは静脈血の血漿を用いた場合の基準値であり、毛細血管や動脈血では若干高値となる。また、全血の方が血漿に比べ低値となる。通常、血糖自己測定には手指の毛細血管血を用いるため、医療機関における検査結果よりも高値を示す。
糖尿病の診断基準「朝食前血糖値126mg/dl以上または、食後血糖値200mg/dl以上」、低血糖「血糖値60mg/dL 以下」といった数値は薬物療法上気にしているが、高血糖についてはあまり気にしていなかった。
血糖値が多少高い程度(200 mg/dL 前後)では、ほとんど症状は現れない。
300mg/dLを超えてくると、のどが渇いたり、尿の量が増えたり、倦怠感(疲れやすさ)を感じたりします。
皮膚に出来物ができやすくなったり、集中力がなくなる、お腹がすく、やせてくる、などもよく現れる症状ですが、健康な人でもよく起こりがちな珍しくない症状なので、自覚症状から糖尿病に気付くことはほとんどない。
血糖値が500mg/dL以上になると、吐き気や嘔吐、あるいは意識が遠のく、昏睡に陥るなどの危険な状態に至ります。
低血糖が怖いからあまり薬を使いたくないという患者には、高血糖時のリスク、放置した場合のリスクもお伝えし、正しく怖がるように指導したい。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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