2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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食事の影響を受ける分子標的薬

分子標的薬の用法

分子標的薬の経口薬には、食事の影響を受けるものが多い。

分子標的薬は、分子量の大きさで、抗体薬と低分子化合物(小分子薬)に分けられます。

低分子化合物は、食事の影響を受けやすい、とも言われるが、抗体薬はほとんど注射剤だし、分子量大きいほうが消化の影響受けやすそうな気もするので、よくわからない。

いずれにせよ、食事に気をつける必要のある分子標的薬には以下のようなものがあり、いずれも低分子化合物である。

標的分子医薬品名一般名用法
ALKジカディアセリチニブ通常、成人にはセリチニブとして450mgを1日1回、食後に経口投与する。(健康被験者にセリチニブ750mgを軽食後に単回経口投与注1)した場合(12例)、空腹時に比べCmax(45%)とAUC(54%)の増加がみられた。)
Bcr-Ablグリベックイマチニブ通常、成人にはイマチニブとして1日1回を食後に経口投与する。(消化管刺激作用を最低限に抑えるため、本剤は食後に多めの水で服用すること。)
タシグナニロチニブ通常、成人にはニロチニブとして1回400mgを食事の1時間以上前又は食後2時間以降に1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。(食後に本剤を投与した場合、本剤の血中濃度が増加するとの報告がある。食事の影響を避けるため食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること。)
ボシュリフボスチニブ通常、成人にはボスチニブとして1日1回500mgを食後経口投与する。(食後のCmax及びAUCは空腹時に比較してそれぞれ、1.5倍及び1.4倍であった(外国人データ)。)
BRAFタフィンラーダブラフェニブ通常、成人にはダブラフェニブとして1回150mgを1日2回、空腹時に経口投与する。(食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが低下するとの報告がある。食事の影響を避けるため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること。)
BTKベレキシブルチラブルチニブ通常、成人にはチラブルチニブとして1日1回480mgを空腹時に経口投与する。(食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが上昇するとの報告がある。食事の影響を避けるため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること。)
EGFRジオトリフアファチニブ通常、成人にはアファチニブとして1日1回40mgを空腹時に経口投与する。(食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが低下するとの報告がある。食事の影響を避けるため食事の1時間前から食後3時間までの間の服用は避けること。)
タルセバエルロチニブ通常、成人にはエルロチニブとして150mgを食事の1時間以上前又は食後2時間以降に1日1回経口投与する。(高脂肪、高カロリーの食後に本剤を投与した場合、AUCが増加するとの報告がある。食事の影響を避けるため食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること。)
HER2タイケルブラパチニブ通常、成人にはラパチニブとして以下の用量を1日1回、食事の1時間以上前又は食後1時間以降に経口投与する。(食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが上昇するとの報告がある。食事の影響を避けるため食事の前後1時間以内の服用は避けること。)
MEKメキニストトラメチニブダブラフェニブとの併用において、通常、成人にはトラメチニブとして2mgを1日1回、空腹時に経口投与する。(食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが低下するとの報告がある。食事の影響を避けるため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること。)
METテプミトコテポチニブ塩酸塩水和物通常、成人にはテポチニブ塩酸塩水和物として1回500mgを1日1回食後に経口投与する。(健康成人 12 例に本剤 500mg を単回経口投与したとき、空腹時投与に対する高脂肪食後投与におけるテ
ポチニブの Cmax 及び AUC0-∞の幾何最小二乗平均値の比は、それぞれ 2.00 及び 1.63 であった。)
mTORアフィニトールエベロリムス食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが低下するとの報告がある。本剤の投与時期は、臨床試験における設定内容に準じて選択し、食後又は空腹時のいずれか一定の条件で投与すること。
ラパリムスシロリムス高脂肪食の摂取後に本剤を投与した場合、血中濃度が増加するとの報告がある。安定した血中濃度を維持できるよう、本剤の投与時期は、食後又は空腹時のいずれか一定とすること。
プロテアソームニンラーロイキサゾミブクエン酸エステル通常、成人には1日1回、本剤を空腹時に週1回、3週間(1、8及び15日目)経口投与した後、13日間休薬(16〜28日目)する。この4週間を1サイクルとし、投与を繰り返す。(食後に本剤を投与した場合、本剤のCmax及びAUCが低下するとの報告がある。食事の影響を避けるため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること。)
マルチキナーゼヴォトリエントパゾパニブ通常、成人にはパゾパニブとして1日1回800mgを食事の1時間以上前又は食後2時間以降に経口投与する。(食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが上昇するとの報告がある。食事の影響を避けるため、用法及び用量を遵守して服用すること。)
カボメティクスカボザンチニブ通常、成人にはカボザンチニブとして 1日1回60mgを空腹時に経口投与する。(食後に本剤を投与した場合、Cmax及びAUCが増加するとの報告がある。食事の影響を避けるため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること。)
スチバーガレゴラフェニブ通常、成人にはレゴラフェニブとして1日1回160mgを食後に3週間連日経口投与し、その後1週間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。(空腹時に本剤を投与した場合、食後投与と比較して未変化体のCmax及びAUCの低下が認められることから、空腹時投与を避けること。また、高脂肪食摂取後に本剤を投与した場合、低脂肪食摂取後の投与と比較して活性代謝物のCmax及びAUCの低下が認められることから、本剤は高脂肪食後の投与を避けることが望ましい。)
ネクサバールソラフェニブ高脂肪食の食後に本剤を投与した場合、血漿中濃度が低下するとの報告がある。高脂肪食摂取時には食事の1時間前から食後2時間までの間を避けて服用すること。

「食後」や「空腹時」など、用法が決められているものはその通りに飲むように指導すればよいが、アフィニトールやラパリムスのように、「食後又は空腹時のいずれか一定とする」といった指示の場合、患者がどちらの用法で飲んでいるのか確認し、その用法で続けるよう指導する必要がある。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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