記事
頭痛予防にカルシウム拮抗薬が効く理由
公開. 更新. 投稿者:頭痛/片頭痛.この記事は約4分9秒で読めます.
5,866 ビュー. カテゴリ:頭痛にカルシウム拮抗薬?
なんでCa拮抗薬が頭痛に効くの?
頭痛持ちだった私は、高血圧になり、アムロジピンを飲むようになってからというもの頭痛がすっかりなくなりました。
片頭痛予防にいろんな薬が使われますが、高血圧に使われるカルシウム拮抗薬が使われることもあります。
片頭痛予防に適応があるのがテラナス、ミグシス。
それ以外のカルシウム拮抗薬も血管拡張作用により片頭痛の予防に効きます。
服用始めには、血管拡張作用で逆に頭痛が引き起こされる可能性がありますが、持続する血管拡張作用により片頭痛発作を防ぎます。
Ca拮抗薬による頭痛
血管を広げる作用が顔や頭の血管に強く表れると、顔の火照りや頭痛が表れることがあります。
頭痛の原因は血管の収縮?拡張?
片頭痛では、何らかの原因で血管が収縮し、その後リバウンドで普段より広がった時に頭痛発作が起こると考えられています。
血管拡張作用をあらわすCa拮抗薬は一般的に高血圧症などの治療薬として使われますが、脳血管拡張作用により片頭痛発作時の脳血管の収縮と拡張の差を少なくすることで発作時の症状を軽くする作用をあらわします。
つまり、血管収縮からのリバウンドで血管拡張して神経を圧迫することが頭痛の原因であり、血管拡張が直接的な原因であるかも知れないが、その前段階の血管収縮が頭痛を引き起こす理由であるので、その時点で血管拡張させておけば頭痛の程度は軽く済む。
血管が収縮してから血管拡張薬を飲んでも頭痛は悪化するだけなので、頭痛発作時に服用しても意味は無い。
頭痛発作時に服用するのは、トリプタン系やエルゴタミン製剤といった血管収縮系の薬剤である。
群発治療予防にベラパミル
日本ではベラパミル(ワソラン)使用する場合に一つの障壁がある。
群発治療予防にベラパミル処方する場合は心電図をお忘れずに・・・・ 内科開業医のお勉強日記
それは、医療保険の効能において、ワソランは“狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患”のみで、かつ処方として“通常成人、1回1~2錠(ベラパミル塩酸塩として1回40~80mg)を、1日3回経口投与”と書かかれている。
群発頭痛に適応のある薬には、イミグランキット皮下注があります。
予防には使えませんが。
片頭痛の予防には、Ca拮抗薬とかが使われます。
テラナス/ミグシスでは群発頭痛には物足りないのだろうか。
「群発頭痛」「尿管結石」「お産」を世界3大痛というらしい。
群発頭痛は死ぬほど痛いけど、群発頭痛で死ぬことは無い。
片頭痛の予防薬
急性期の治療だけでは生活に支障が出る場合、あるいは急性期の治療薬を月に10日以上服用している場合には、予防的治療を行います。
ガイドラインでは、片頭痛の発作が月に2回以上ある方には、予防治療を推奨しています。
現在、片頭痛の予防薬として保険適用となっているのは、ロメリジン(Ca拮抗薬)、バルプロ酸(抗てんかん薬)です。
しかし臨床的には、ベラパミル(Ca拮抗薬)、プロプラノロール(β遮断薬)、アミトリプチリン(抗うつ薬)、ガバペンチン、トピラマート(抗てんかん薬)などが使われています。
急性期の治療薬は、広がった血管を元に戻す血管収縮作用がありますが、予防薬のCa拮抗薬は逆に血管をひろげる作用を持った薬剤です。
片頭痛では、何らかの原因で血管が収縮し、その後リバウンドで普段より広がった時に頭痛発作が起こると考えられています。
そこで、血管が収縮しないように、予防薬を投与するのです。
最近、予防薬として注目されているのはカンデサルタン4mg(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬:ARB)です。
実際、Ca拮抗薬やβ遮断薬より効果的だという患者さんがかなりいます。
おそらく、RA系阻害作用が血管をしなやかにし、さらに血管の無菌性炎症を抑制しているために予防効果があるのだと思われます。
通常、予防薬は1~2カ月服用して効果を判定します。
ただし、Ca拮抗薬やβ遮断薬では、血圧が下がり過ぎてフラフラする方や、徐脈になる方もいますので、特に高齢者は注意しなくてはいけない予防薬です。
したがって、これらの薬剤が予防薬として処方されている方には、服薬指導の際に血圧の下がり過ぎや徐脈のことを確認します。
片頭痛予防薬の使い分け
予防薬のなかでも高いエビデンスを有し保険適応が可能な予防薬は、ロメリジン塩酸塩、バルプロ酸ナトリウムおよびプロプラノロール塩酸塩である。
ロメリジン塩酸塩は、脳血管に選択的に作用するカルシウム拮抗薬であり、脳血管収縮や脳血管透過性の亢進抑制作用を有し、かつ全身性の血圧降下作用が少ないことが特徴である。
バルプロ酸ナトリウムは、脳内でのグルタミン酸脱炭酸酵素活性化とGABAアミノ基転移酵素阻害によりGABAレベルを増加させ、神経細胞の興奮性を抑制するため、片頭痛の発作頻度の抑制に有効である。
β遮断薬のプロプラノロール塩酸塩は、片頭痛に対する薬理学的作用機序は明確ではないが、プラセボと比較した臨床試験において有用性が示されている。
また、エルゴタミン製剤のうち、ジヒドロエルゴタミンは、血管収縮作用が比較的緩徐であるため、予防薬としても使用される。保険適応外ではあるが、カルシウム拮抗薬のベラパミル塩酸塩、三環系抗うつ薬のアミトリプチリン、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬のリシノプリル、アンジオテンシンⅡ受容体遮断薬(ARB)のカンデサルタンおよびNSAIDsも有用性が報告されている。
また、患者が頭痛以外の合併症を有している場合は、その合併症の治療薬に片頭痛予防効果が期待できる薬剤を選択するとよい。てんかん患者の片頭痛にはバルプロ酸ナトリウムなどの抗てんかん薬を、虚血性心疾患の患者にはβ遮断薬やカルシウム拮抗薬の選択を考慮する。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
5 件のコメント
いつも勉強させていただいています。
ちょっと気づいたこととしまして、
テラナスは2017年3月末で薬価削除になっていることと、プロプラノロールも片頭痛予防の保険適応が取れています。
また、ベラパミルは片頭痛、群発性頭痛に対して、アミトリプチリンは片頭痛、緊張型頭痛に対しての適応外使用が保険審査上認められています。
いつもためになる記事をありがとうございます。
ARBの片頭痛に対する作用はあまりよく知りませんでした。
先月、新規作用機序の抗体製剤が発売されましたね。
片頭痛持ち人間としては、薬剤師としても、また個人的にも非常に気になっています。
コメントありがとうございます。
だいぶ前に書いたので、時間のあるとき修正いたします。
ご指摘ありがとうございます。
1つ目のコメントの者です。
ほぼ毎日、様々な分野について、深い知識がブログに紹介されており、本当に尊敬しております。
そのうち本などを出版されたらよいのでは?と思うくらいです。その際はすぐに購入させていただきます!
コメントありがとうございます。
応援いただきありがとうございます。
私のブログは、どこかの本で見た知識を書き写しているようなもので、オリジナルな文章があまりないので、本を書くなど到底無理ですね。
自分の学びのために書いているような独りよがりなブログですが、自分のためが他人のため、にもなっていれば幸いです。今後ともよろしくお願いします。