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熱中症になりやすくなる薬
公開. 投稿者:風邪/インフルエンザ.この記事は約3分49秒で読めます.
3,016 ビュー. カテゴリ:熱中症と発汗
風邪や熱中症で体温が上がると発汗し、皮膚の表面に出た汗の水分蒸発によって体熱を下げる仕組みがある。
そのため、汗をかけないと熱をうまく逃せず、高熱になる可能性がある。
高齢者は熱中症になりやすい。
加齢の影響に加えて、精神・神経疾患、糖尿病、高血圧、心疾患、腎疾患などの疾患を抱え、多数の薬剤を服用していると、熱中症のリスクはさらに高くなる。
パーキンソン病治療薬、抗てんかん薬、抗うつ薬などの薬剤は、視床下部機能を抑制し、体温調節や発汗を阻害する。
また、高血圧、心疾患、腎疾患の治療のために利尿薬を服用している患者では、十分な水分が取れていないのに利尿薬を服用するケースもあり、特に注意が必要である。
また、コントロール不良の糖尿病患者では、浸透圧利尿を起こし、脱水に傾きやすい。
このほか抗コリン薬や抗ヒスタミン薬など、抗コリン作用のある薬剤も発汗を抑制するので、これらを服用中の患者も熱中症のリスクが高い。
暑さで食欲が低下すると、水分や塩分の摂取量が不足しがちである。
食欲がなくて食べられないときは、薬剤の用量の調節が必要になることがあるので、自己判断で薬を服用せずに医師に相談するよう、指導する。
抗コリン薬で熱中症
抗コリン作用をもつ薬には、発汗を減少させる働きがある。
発汗は視床下部の興奮がコリン作動性神経を介して全身の汗腺に伝えられることで起きるため、抗コリン作用を持つ薬剤の投与によって発汗が抑制される。
発汗は体温上昇の抑制に重要であり、抗コリン作用で発汗が抑制されると熱中症が起きやすくなります。
抗コリン薬、抗パーキンソン病薬を大量に服用している患者さんは、体温が上昇しても発汗で体温を調整することができにくいのです。
夏の暑い時期に体育館で運動後に急に発熱する患者さんや、炎天下の作業のあと元気がなくなる患者さんを見たら注意です。
極端な場合は熱中症になり、命にかかわる状態になることもあります。
エクセグランで熱中症
抗コリン作用による発汗減少はイメージしやすいが、他にも発汗減少をきたしやすい薬がある。
「乏汗症」「発汗減少」というワードで検索すると、サムスカ、トピナ、エクセグラン、トレリーフ、ハイドレアがヒットした。
ゾニサミド(エクセグラン)は、発汗減少、体温上昇を引き起こす恐れがある。
特に小児にゾニサミドが処方されている場合は熱中症を来す恐れもあるので、保護者に伝えておくとよいだろう。
臨床現場では、特に小児患者において、ゾニサミドによる発汗減少が多く報告されている。
ある調査では、ゾニサミド服用患者の24.8%に発汗障害が認められ、その患者の平均年齢は11.8歳だった。
また、発汗減少に伴い高体温や意識障害などの症状を示し、熱中症を来したケースも報告されている。
このため、ゾニサミドの添付文書の「重要な基本的注意」には、「発汗減少があらわれることがあり、特に夏季に体温の上昇することがある」と記載されている。
なお、同様の副作用が認められる抗てんかん薬として、トピラマート(トピナ) がある。
同薬による発汗減少(乏汗症)は、小児を対象とした国内臨床試験において15.1%と高頻度で認められている。
両剤による発汗障害の発現機序には不明な点も多いが、いずれも炭酸脱水酵素阻害活性を持つことから、エクリン腺に存在する炭酸脱水酵素を阻害し、汗腺への水の移動を抑制するため、汗生成を抑える可能性が考えられている。
炭酸脱水酵素阻害作用や抗コリン作用を持つ薬剤の併用には注意が必要である。
利尿剤で熱中症
体の水分を出すような薬、利尿剤や下剤で熱中症をおこすのは想像に難くない。
また、SGLT2阻害薬のような利尿作用を持つ薬もリスクをあげる。
熱中症のような脱水症状を起こすと、メトグルコによる乳酸アシドーシスのリスクが高まるので、メトグルコとSGLT2阻害薬の併用は、特に夏場は注意する必要がある。
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