良い副作用？副作用を逆手に取る

副効用

副作用＝有害事象、というイメージを持ち、好ましくないものと捉える患者がほとんどだろう。

しかし、副作用も悪いものばかりではなく、好ましい副作用というのもある。あるいは、副作用を利用した処方というのもある。

ドリエルと眠気

例えば、ＯＴＣのドリエルは、抗アレルギー薬であるジフェンヒドラミンの「眠気」の副作用を利用して、睡眠薬として販売しているものである。

ＡＣＥ阻害薬と空咳

ＡＣＥ阻害薬には、「空咳」という咳の副作用があるが、これを利用して誤嚥性肺炎の予防に使われる。
誤嚥性肺炎は、咳反応や嚥下反射が低下することで、気が付かないうちに口腔内の雑菌を唾液とともに気管や肺に吸引することにより発症する。そこで、ＡＣＥ阻害薬の副作用を利用して、喉の反応を敏感にして誤嚥性肺炎を予防することができる。

ルミガンと睫毛

プロスタグランジン系の緑内障治療薬・ルミガン（ビマトプロスト）には眼の周りが黒くなったり、睫毛が長くなるという副作用がある。

この睫毛が長くなるという副作用を利用して、同じビマトプロストを成分とするグラッシュビスタ外用液剤は「睫毛貧毛症」を適応症とする薬が販売されている。

ＳＧＬＴ２阻害薬と体重減少

スーグラなどのＳＧＬＴ２阻害薬の副作用に体重減少がある。

ＳＵ剤など過去の糖尿病治療薬は、インスリンをたくさん出し、血中の糖分を細胞内に取り込む、つまり、体重を増やす方向に働く薬でした。

糖尿病患者にとって、体重減少は好ましい副作用といえます。

レバチオとＥＤ

肺高血圧症治療薬のレバチオの成分はシルデナフィルクエン酸塩、つまりバイアグラと同じ成分です。
レバチオの副作用の「勃起増強」というのがありますが、患者によっては好ましい副作用かも知れません。

アボルブとＡＧＡ

前立腺肥大症治療薬のアボルブの成分はデュタステリド、プロペシア（フィナステリド）と同じ作用機序を持つ薬で、ザガーロという男性型脱毛症治療薬と同じ成分です。

アボルブの副作用に「多毛症」がありますが、頭頂部に毛が生えれば嬉しいことです。

プレタールと頻脈

プレタール（シロスタゾール）の副作用に「頻脈」があります。この副作用を利用して、徐脈性不整脈に使われることがあります。