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インフルエンザの原因はインフルエンザ菌?
公開. 投稿者:風邪/インフルエンザ.この記事は約3分37秒で読めます.
1,465 ビュー. カテゴリ:インフルエンザ菌がインフルエンザの原因?
インフルエンザ菌という細菌がいます。
名前だけ聞くと一般の人は「インフルエンザの原因?」と勘違いされる人もいますが、インフルエンザの原因はインフルエンザウイルスで細菌ではありません。
ではなぜこのような紛らわしい名前が付けられているかというと、昔インフルエンザの原因がこの細菌だと思われていたからです。
こんな紛らわしい名前は改名すべきと思いますが、すでに定着してしまった名前を改名するのは難しいのですね。
インフルエンザ桿菌
インフルエンザ菌というのは、昔インフルエンザの原因と思われていた細菌で、インフルエンザの原因がウイルスだとわかった今でもインフルエンザ菌という名前だけは続けて使っているちょっと間抜けな菌です。
このインフルエンザ菌というのは細菌性髄膜炎の原因菌で、子供がかかってしまうと死亡率も高く重症化しやすいです。最近は耐性菌も増えていて、薬が効きにくくなっています。
インフルエンザ桿菌はヒトの上気道常在菌のひとつであり、呼吸器感染症(肺炎、気管支炎など)、中耳炎・副鼻腔炎、喉頭蓋炎、髄膜炎などの原因となる。
本菌は莢膜多糖体の抗原性からa~fに分類されており、これが好中球・マクロファージによる貪食殺菌抵抗性に関与している。
特に莢膜抗原b型(polyribose ribitol phosphate:PRP)を有する菌の病原性が強いことが知られており、乳幼児にみられる髄膜炎のほとんどが莢膜型によるものである。
15歳未満の子供の細菌性髄膜炎の起炎菌はインフルエンザ菌が55%、肺炎球菌が約20%を占めており、細菌性中耳炎でも、肺炎球菌とインフルエンザ菌で起炎菌の約70%を占めることが示されています。
髄膜炎の原因菌 | 小児(17歳以下) | 成人(18歳以上) |
---|---|---|
インフルエンザ桿菌 | 510 | 5 |
肺炎球菌 | 209 | 141 |
B群溶連菌 | 26 | 1 |
大腸菌 | 7 | 3 |
黄色ブドウ球菌 | 2 | 7 |
髄膜炎菌 | 2 | 2 |
リステリア菌 | 3 | 1 |
その他 | 10 | 12 |
総計 | 769 | 172 |
髄膜炎予防のワクチン
細菌性髄膜炎の原因菌は、ヒブ菌と肺炎球菌、新生児ではB群溶連菌(GBS)と大腸菌が多く、この4種類の菌が細菌性髄膜炎起炎菌の8割を占めています。
アクトヒブとプレベナーを両方接種することで細菌性髄膜炎や他の肺炎球菌による侵襲性感染症をさらに予防することが期待できます。
肺炎球菌は肺炎だけを引き起こすわけではなく、細菌性髄膜炎や中耳炎、菌血症などの原因菌にもなります。
そのため、肺炎球菌ワクチンを接種することで、中耳炎の予防にもなります。
BLNAR
インフルエンザ桿菌のなかにはアンピシリン(ABPC)などのペニシリン系抗菌薬を分解するβ-ラクタマーゼ産生株(β-lactamase producing ABPC-resistant:BLPAR)が5~10%の頻度で存在している。さらに最近になって、βラクタム剤の作用標的であるペニシリン結合蛋白(PBP-3)の変異株が増加し、問題となってきた。いわゆるβ-lactamase negative ABPC-resistant(BLNAR)株と呼ばれるものであるが、今日、乳幼児の髄膜炎の原因として分離されるインフルエンザ桿菌の約30%がBLNAR株となっていることが報告されている。現在のところ、本菌感染症に対しては第三世代セフェム系抗菌薬あるいはフルオロキノロン系抗菌薬の効果が期待できるが、注意しなければならない耐性菌である。
欧米においてはインフルエンザ桿菌の莢膜抗原b型株に対するワクチン(Hibワクチン)が普及し、その発生率が著しく減少したことが報告されている。わが国においても2007年1月に本ワクチンが承認されており、今後、インフルエンザ桿菌感染症、特にBLNARによる髄膜炎がどのように推移していくのか注意して観察していく必要がある。
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