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脳梗塞のタイムリミットは4.5時間?
公開. 更新. 投稿者:脳梗塞/血栓.この記事は約2分35秒で読めます.
2,910 ビュー. カテゴリ:組織型プラスミノゲンアクチベータ(tPA)製剤
脳梗塞の治療では、血管の詰まりを溶かす血栓溶解療法が効果的とされる。
t-PA(組織型プラスミノーゲン・アクティベータ)という薬剤を点滴で投与します。
組織型プラスミノゲンアクチベータ(t-PA)は、血漿タンパク質のプラスミノゲンをプラスミンに活性化するプラスミノゲンアクチベータ(PA)である。生じたプラスミンが血栓の主な構成タンパク質であるフィブリンを分解する。
製品には、第1世代tPAと呼ばれるアルテプラーゼ(アクチバシン、グルトパ)と、第2世代tPAと呼ばれるモンテプラーゼ(クリアクター)があります。
それぞれの適応1)をみると、
医薬品名 | 成分 | 適応 |
---|---|---|
アクチバシン、グルトパ | アルテプラーゼ | 虚血性脳血管障害急性期に伴う機能障害の改善(発症後4.5時間以内)。 急性心筋梗塞における冠動脈血栓の溶解(発症後6時間以内)。 |
クリアクター | モンテプラーゼ | ●急性心筋梗塞における冠動脈血栓の溶解(発症後6時間以内) ●不安定な血行動態を伴う急性肺塞栓症における肺動脈血栓の溶解 |
アルテプラーゼ製剤のほうは、脳梗塞と心筋梗塞に適応があり、脳梗塞のタイムリミットが4.5時間、心筋梗塞のタイムリミットが6時間とされている。
モンテプラーゼ製剤のほうは、心筋梗塞と肺塞栓症に適応があり、心筋梗塞のタイムリミットは6時間とされている。
以前は脳梗塞に3時間のタイムリミットだった。
発症から3時間以上経過すると不可逆的な梗塞巣が広がり、血栓を溶解しえたとしても症状の改善が期待できず、むしろ出血などの副作用の頻度が高まることが危惧されたため。
その後、ヨーロッパを中心とした臨床試験で、発症4.5時間以内まで有効で安全に使用できることがわかったため、日本でも添付文書が改訂されました。
しかし実際に発症後すぐに家族によって救急車が呼ばれたとしても、検査時間のロスやら交通状況、都会と田舎でも異なるが、専門病院へ搬送される強運の持ち主は少ない。
メルシー・リトリーバー
t-PA製剤のように血栓を溶かすのではなく、物理的に絡めとる、吸い取るといった方法が取られる場合もあります。
血栓を絡め取る「メルシーリトリーバー」と、血栓を吸い取る「ペナンブラシステム」の使用が認可されています。
これらの医療機器は、発症後8時間以内まで使用可能なので、発症後4時間30分を超えてt-PA製剤のタイムリミットを過ぎたとしても、使用可能である。
参考文献
1)各t-PA製剤 添付文書
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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