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レクタブル注腸フォームの使い方
公開. 更新. 投稿者:下痢/潰瘍性大腸炎.この記事は約3分9秒で読めます.
3,613 ビュー. カテゴリ:レクタブル注腸フォーム
注腸フォームってどうやって使うの?
今更ですが、レクタブル注腸フォームの使い方。
2017年12月に販売開始してしばらく経つので、「レクタブル注腸フォーム30回とか60回とか出るのかなあ」と思っていたが、2023年6月現在まだ14回分のみです。
まずレクタブルの製品特性から。
1.日本初の注腸フォーム製剤です。
2.泡が直腸〜S状結腸までひろがり、とどまることで、漏れにくく、立ったままで投与できます。
3.国内第Ⅲ相臨床試験において、主要評価項目である粘膜治癒率【6週】は32.8%でプラセボに対する優越性が検証されました。
4.有効成分ブデソニドのバイオアベイラビリティは約16%と推察され、体内に吸収後は肝臓で代謝を受けます。
5.承認時までの国内の臨床試験では175例中95例(54.3%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は血中コルチゾール減少72例(41.1%)、血中コルチコトロピン減少62例(35.4%)でした。
ブデソニドといえば、喘息に使われるパルミコートタービュヘイラーの成分です。最近ではクローン病にゼンタコートカプセルというこちらもブデソニドの製剤が発売されました。
ブデソニドは他の副腎皮質ステロイドに比べ、高い受容体結合親和性を有する一方、速やかに肝臓で代謝され、全身への曝露が少ないグルココルチコイドです。
ブデソニドは副腎皮質ホルモンの1種で、経口薬は軽症~中等症のクローン病、吸入薬は気管支喘息などの適応を持つが、レクタブルの適応は「潰瘍性大腸炎(重症を除く)」である。
潰瘍性大腸炎の適応を有する注腸剤としては、メサラジン(ペンタサ)などがあるが、いずれも液剤であり、注入時に横になる必要があるほか、注入後に肛門から漏れる恐れもあった。
一方、注腸フォーム剤であるレクタブルは、薬剤が泡状で出てくるため、立位での注入が可能である。
腸内での薬剤到達範囲を検討した海外の試験では、単回直腸内投与により、全例がS状結腸の遠位半分まで、75%が近位半分まで、6割弱が下行結腸遠位3分の1まで、それぞれ到達した。
レクタブルのインタビューフォームによると、ブデソニドは糖質コルチコイド受容体親和性が高く、高い抗炎症作用を持つ一方で、肝臓で速やかに代謝され、全身への曝露は少ないとされる。
使用時は直立ではなく、片足を椅子や洋式トイレに載せるなどして、上半身を少し前に倒すといった薬を注入しやすい姿勢を取る。
容器が冷えていると泡が出にくくなるため、手で温めてから使用するが、高圧ガスが充填されているので、体温以外で温めない。
14回使用したら、残量があっても新しい製剤に交換することを伝える。
薬剤は1~30℃の室温で、容器を立てて保管するよう指導する。
これは、製剤の安定性試験で、横倒しの状態で保存した際に不適合となったロットを確認したためである。
レクタブルの使い方
実際の使い方で注意する点
●「使用前にアルミ製容器を手で温めてください」
勉強会などで実際に冬場に温めずに使ってみると、フォームの勢いが違いました。
冷えていると、薬液の流動性が悪く薬が出にくい場合や、ポンプドームが押しにくい場合があります。
ただ、高圧ガスを使用しているため、暖房などで温めると危険です。体温で温めましょう。容器を振って、バシャバシャという音がすることが確認できれば十分温まっています。
●「14回より多く使える」
14回分となっていますが、実際はそれ以上使えます。メーカーの話では20回使えるという話。
しかし、毎回交換するアプリケーターは14本しか付いていないし、それ以上は使わないようにというメーカーのお達しがある。アプリケーターを洗って使えば良いんじゃね?とかは考えないようにしましょう。
ちなみにアプリケーターだけメーカーからもらえないかと聞いたら、ダメなようです。
●「押しても出ない」
スプレー缶というと、プッシュボタンを押すと噴霧されるイメージですが、この注腸フォームは、押してもフォームは出てこず、ボタンを緩めたときにフォームが少しずつ出てくる仕組みです。指を離すと出てくる。
少しずつ出てくるので、ボタンを押して緩めてすぐ抜いてしまうと、薬を出し切る前に抜いてしまうことになります。
15秒待ってから抜くようにします。
自分が感じた要注意点です。
実際の使い方は、説明書を見ながら患者さんと一緒に確認していきましょう。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。