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薬剤師に病名はわからない?
公開. 更新. 投稿者:服薬指導/薬歴/検査.この記事は約2分22秒で読めます.
3,445 ビュー. カテゴリ:「どうなさいましたか?」
薬剤師には病名はわからない。
「処方せんに書かれている薬」から推測するしかない。
しかし、万が一「処方せんに書かれている薬」が間違っている場合、いくら推測しても正しい病名にはたどり着けない。
そのため、薬剤師は「答え合わせ」をする必要がある。
患者から話を聞いて、処方されている薬と齟齬がないか確認をする。
そのために「どうなさいましたか?」と聞いてどういう理由で受診したのか、処方されている薬に間違いがないかを確認しているのである。
医者に話した症状を薬局でも話さなければならない二度手間を渋々受け入れてもらうのは、とても骨の折れる作業なのである。
処方箋への病名記載
「処方箋に病名も記載されていればいいのに」と思っている薬剤師も多く、そういう議論も進んでいますが、そのハードルは高い。
まず、個人情報の問題がある。
癌や精神疾患といった、他人に知られたくない病気というのもあって、それを処方箋に記載されて知られるということに抵抗感を持つ人もいる。
また、病名がついていないという問題もある。
診療報酬上は、レセプト病名をつけているが、まだ初診では診断が確定していないという状態のほうが多い。
色々検査をして、ハッキリとした検査結果が出れば、「あなたは〇〇病です」と言い切ることができるかも知れませんが、多くの場合は「〇〇病の可能性があります」としか言えません。
つまり、患者も自分が何という病名なのか、知らされていないケースが多い。
それなのに、薬剤師から「医師から何と言われましたか?」「何という病気と言われましたか?」とか聞かれたら、「こっちが知りたいよ!」となるのも当然です。
疑義照会をして病名を聞かなければならないケースもありますが、「この患者はどういう病名で処方されたのですか?」と聞いてしまったら、医師の感情を逆なでしてしまうでしょう。
「保険請求上…」とリアルな病名ではなく、レセプト上の病名を知りたいというスタンスを伝えることが大切です。
レセプト病名
医薬品の添付文書の「効能・効果(適応)」の項目には、当該医薬品の有効性が確かめられた疾患(これを適応症と言います)が記載されています。
しかし、実際の医療の現場では、この項目に記載されていない疾患(当局によって当該医薬品の適応症として承認されていない対象疾患)に対して、医師によって当該医薬品が投与される場合があります。
このように、承認された効能以外の目的で医薬品を使用することを適応外使用(適応外処方)と呼びます。
適応外処方の多くは、「レセプト病名」を使った保険請求を行っていると思われます。
医療機関が診療報酬明細書(レセプト)の病名欄に、実際の病名ではなく、処方した薬剤に保険上認められている病名を記載して、診療料などを保険請求します。
本来の病名とは違う病名で保険請求を行っているわけなので、明らかに不正行為ですが、一般的に行われています。
院外には通常の保険処方せんが出され、薬局では通常の保険調剤を行うこととなります。
薬局で適応外処方かどうかを判断することは困難であるため、保険調剤を行うことそのものに法的な問題はありませんが、保険者による審査で減額査定されることもあり得ます。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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