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シダキュアとシダトレンの違いは?
公開. 更新. 投稿者:花粉症/アレルギー.この記事は約5分60秒で読めます.
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シダキュアスギ花粉舌下錠
アレルギー専門医でもいる医療機関の門前でなければ処方をみる機会は無いと思いますが、外来で行うスギ花粉症の減感作療法薬としてシダトレンスギ花粉舌下液という薬があります。
そして、今度さらに新しい薬、「シダキュアスギ花粉舌下錠」という薬が薬価収載されるようだ。
どちらも鳥居薬品の薬なので、シダトレンの改良版がシダキュアということなのだろう。
何が違うのだろう。
まず目につくのは剤形の違い。
シダトレンは舌下液でしたが、シダキュアは舌下錠。
服薬のしやすさからすれば、舌下錠のほうが良いだろう。
医薬品名 | シダトレン | シダキュア |
---|---|---|
発売時期 | 2014年10月 | 2018年6月 |
適用年齢 | 12歳以上 | 制限なし(ただし5歳未満に対する安全性は確立していない) |
剤形 | 液剤 | 錠剤 |
保管温度 | 冷所(2~8℃) | 室温 |
用法・用量 | 1日1回、舌下に滴下。投与1週目は200JAU/mLボトルから、2週目は2000JAU/mLボトルからの滴下量を1~2日ごとに漸増する(増量期)。3週目以降(維持期)は2000JAU/mLパック1本を全量 | 1日1回、1錠を舌下に投与。投与1週目は2000JAUの舌下錠を、2週目以降は5000JAUの舌下錠を用いる |
舌下での保持時間 | 2分間 | 1分間 |
舌下での保持後 | 保持後は飲み込む。その後5分間は、うがい・飲食を控える | 保持後は飲み込む。その後5分間は、うがい・飲食を控える |
薬価(2018年12月末時点) | 200JAU/mLボトル:547.4円/瓶 2000JAU/mLボトル:1308.6円/瓶 2000JAU/mLボトル:131円/包 | 2000JAU錠:57.7円/錠 5000JAU錠:144.1円/錠 |
小児とシダキュア
そして一番大きな違いとして、シダキュアは小児に投与可能という点である。
使用上の注意の「小児等への投与」でシダキュアは、
1. 低出生体重児、新生児、乳児又は5歳未満の幼児に対する安全性は確立していない。(使用経験がない)
2. 小児等に対しては、本剤を適切に舌下投与できると判断された場合にのみ投与すること。また、保護者等に対しても本剤の適切な投与方法を指導すること。
と書かれている。5歳以上に投与可能ということだ。
一方、シダトレンには、
12歳未満の小児等に対する安全性は確立していない。(使用経験がない)
と書かれており、12歳未満の小児に投与不可。
シダキュアの用法
シダキュアの用法は、
通常、投与開始後1週間は、シダキュアスギ花粉舌下錠2,000JAUを1日1回1錠、投与2週目以降は、シダキュアスギ花粉舌下錠5,000JAUを1日1回1錠、舌下にて1分間保持した後、飲み込む。その後5分間は、うがいや飲食を控える。
舌下で1分間保持はしんどい。
シダトレンの用法は、
1. 増量期(1~2週目)
通常、成人及び12歳以上の小児には、増量期として投与開始後2週間、以下の用量を1日1回、舌下に滴下し、2分間保持した後、飲み込む。 その後5分間は、うがい・飲食を控える。
以下略
2分間保持。さらにしんどい。
しかも液体だし。
シダキュアの維持料は「5,000JAU」。
シダトレンの維持料は「2,000JAU」と、シダキュアのほうが高力価であるにも関わらず、低年齢に使えるというのは、製剤的な飲みやすさやシダトレンの症例の蓄積により安全性が確認されたことによるものだろうか。
減感作療法
・アレルギー患者に対して、アレルゲンを繰り返し投与することにより体を慣らし、根本的な体質改善を目指す治療法を、特異的免疫療法(減感作療法)という。
・対象のアレルゲンエキス(製剤)の投与を低濃度・少量から開始し、少しずつ増量して過敏性を減少させるため、効果が出るまでに数か月はかかり、3年以上は治療を続けることが望ましいといわれている。
・アレルギー反応に基づいた副作用(特にアナフィラキシーショック)の発現に注意する必要がある。
シダキュアの改良点
患者にとって最も大きな改良点は、液剤から錠剤となり、室温保存が可能になったことである。
シダトレンは冷暗所(2~8℃)で保管する必要があったが、シダキュアは室温保存が可能だ。
舌下の保持時間も短くなった。
シダトレンが2分間であるのに対し、シダキュアは1分間と半分になった。
なお、保持後は飲み込み、その後5分間はうがいや飲食を控えることとされているが、この点については変わらない。
適用年齢も大きく変わった。
シダトレンは適用年齢が12歳以上となっていたが、シダキュアの用量・用法に適用年齢の下限は記載されていない。
適切に舌下で薬剤を保持できる患者に対して使用する。
5歳未満の使用については使用経験がなく、安全性は確立されていないが、インタビューフォームによれば、海外の報告では5歳未満と5歳以上で安全性プロファイルに差はないとされている。
食物アレルギーは食べて治す?
食物アレルギーの治療に経口免疫療法という治療法が行われることがある。
食物は異物?
自己以外の物質(抗原)が体内に侵入してくると、それはすべて異物として認識されるため、免疫応答が起こる。
私たちが毎日口にしている飲食物も生体にとっては異物であるため、この考えからすると、飲食物すべてに対して免疫応答が起こるはずだが、起こらない。
なぜだろう?
これは、消化管から吸収される飲食物は「免疫寛容」と呼ばれるシステムによって、それが異物として認識されなくなっているためである。
寛容という言葉は、自己以外の異物に対してはそれを排除する反応を起こすが、自己の成分に対しては反応を起こさないという「自己寛容」から来たものであるが、寛容がどのようなメカニズムで起こっているかは、いまだに分かっていない。
免疫寛容によって、本来は異物とは認識されないはずの飲食物を異物をみなして攻撃するために起こるのが食物アレルギーである。
つまり、食物アレルギーのある人は、免疫システムが正常に働いていないと言える。
この免疫システムは胎児期では未成熟なために、抗原に曝露しても抗原特異的な免役応答や抗体産生が起こりにくい。
また、成長するに従って免疫能も徐々に発達するため、この寛容を示す物質は年齢によって変化する。
年齢によって原因となる食物アレルゲンが変化するのは、このためである。
これと同じ現象は食物アレルギーだけでなく、アレルギー性疾患全体を通しても認められる。
食物アレルギーとアトピー性皮膚炎
小児の場合は食物アレルギーがアトピー性皮膚炎に直結するといわれてましたが、乳児期には一時的にあるにしても、腸管がしっかりしてくればアレルゲンの吸収が起きなくなります。
食物アレルギーでアトピー性皮膚炎をすべて説明することはできない。
食物アレルギー
食物アレルギーは、原因食物を摂取した後に免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状(皮膚、粘膜、消化器、呼吸器、アナフィラキシー反応など)と定義されている。
食品によっては、アナフィラキシーショックを発生して命にかかわることもある(そばが有名)。
乳幼児から幼児期にかけては食物アレルギーの主要な原因として鶏卵と牛乳がその半数以上を占める。
青年期になるにつれて甲殻類が原因の事例が増え、牛乳が減る。成人期以降では、甲殻類、小麦、果物、魚介類といったものが主要なアレルギーの原因食品となる。
皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、神経、循環器などの様々な臓器に症状が誘発されるが、皮膚症状が最も多く、全体の92%で見られたとの報告がある。
有症率は、乳児期が最も高く、加齢とともに減少する。
症状の多くは、アレルゲンへの曝露から2時間以内に起こる即時型反応として観察される。
このうち、症状が特に強く、全身性にアレルギー症状が出現し、生命に危機を与えうる状態をアナフィラキシーと呼ぶ。
アナフィラキシーでは、急速に多臓器に重篤な症状が出現することから、死亡や症状の重症化を回避するために第一選択薬であるアドレナリン筋肉注射(エピペン、ボスミン)による迅速な処置が必要である。
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