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アドレナリンα2受容体刺激薬がADHDに効く?
公開. 更新. 投稿者:小児/先天性疾患.この記事は約4分59秒で読めます.
4,301 ビュー. カテゴリ:アドレナリンα2受容体刺激薬
インチュニブというADHD(注意欠陥/多動性障害)の治療薬が製造販売承認を取得しました。
作用機序的には、選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬とのこと。
アドレナリンα2受容体刺激薬といえば、クロニジン(カタプレス)、グアナベンズ(ワイテンス)、メチルドパ(アルドメット)といった降圧剤があります。
インチュニブの成分グアンファシン塩酸塩も、以前「エスタリック」という商品名で降圧剤として薬価収載されていました。
インチュニブの適応症は「小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD) 」となっており、通常小児に使われる薬剤です。
体重20kgで1mgを使う。
エスタリックは成人に1日1回0.5mgで使われていたので、降圧剤として使うよりも多い量でADHDに効くのだろう。
降圧剤として使われていたという点においては、安全性が高そうなイメージではある。
薬理作用としては、AD/HDの患者さんの脳内では、α2Aアドレナリン受容体の活性化レベルの低下により、シグナル伝達が減弱している可能性があるとされている。
グアンファシン塩酸塩のAD/HDに対する詳細な機序は不明ですが、脳内においてα2Aアドレナリン受容体を選択的に刺激し、シグナル伝達を増強している可能性が示唆されている。
血圧下げて、元気なくして、眠くさせれば、チョロ助も大人しくなるってことかなあ。
インチュニブ
インチュニブ(グアンファシン)は、アドレナリンα2A受容体に対して選択的な作用を有する2、6-ジクロロフェニル酢酸誘導体である。
非中枢刺激薬であり、前シナプスからのドパミンとノルアドレナリンの遊離促進あるいは再取り込みを阻害する作用はない。
そのため、他のADHD治療薬と併用注意にはなっていない。
日本ではグアンファシンを有効成分とする薬剤として、「エスタリック錠」が1984年に本態性高血圧症治療薬として承認されたが、商業上の理由から2005年に販売が中止された。
そのため、同薬は当然ながら血圧降下など、循環器に与える作用が顕著であり、服用時には副作用に注意が必要である。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)
注意欠如・多動症(ADHD)は、発達年齢に見合わない多動・衝動性、あるいは不注意、またはその両方の症状が7歳までに表れる。
学童期の子どもの3~7%に存在し、男性は女性よりも数倍多いとされる。
注意欠如・多動性障害(attention deficit hyperactivity disorder、ADHD)は、多動性(過活動)、不注意(注意障害)、衝動性を症状の特徴とする神経発達症もしくは行動障害である。
ADHDは多動性、不注意、衝動性などの症状を特徴とする神経発達症の一つと言われているが、じっとしている等の社会的ルールが増加する、小学校入学前後に発見される場合が多い。
一般に遺伝的原因があるとされるが、同様の症状を示す場合を含む。注意力を維持しにくい、時間感覚がずれている、様々な情報をまとめることが苦手などの特徴がある。日常生活に大きな支障をもたらすが適切な治療と環境を整えることによって症状を緩和することも可能である。遺伝的な要因もあるとされるため、症状は育て方や本人の努力で完治することはないとも言われている。
学童期までの発症率は1 – 6%で男子の方が女子よりも高い。しかし、女子の場合は多動が目立たない不注意優勢型に分類されることが多く、発見が遅れがちである。よって、認知される人数が少ないことが推測され、実際の発症率の男女差はもっと小さいとする説もある。ICD-10での多動性障害の発症率は学齢期で3〜7%であり、その内30%は青年期には多動と不注意は目立たたなくなり、40%は青年期以降も支障となる行動が持続し、残りの30%は感情障害やアルコール依存症などのより重篤な精神障害が合併する。近年では成人にADHDを認めるべきと考えられている。また、12歳以下でADHDと診断がされなかったのに、成人してADHDと診断される者も多く、診断の方法には議論がある。
ベタナミンがADHDに効く?
リタリンと同じ中枢神経刺激薬というカテゴリーにベタナミンという薬が存在する。
精神科じゃなきゃ処方されない薬。
処方を見たことはないので、処方頻度はよくわかりませんが、リタリンよりは使いやすいだろう。
ベタナミン錠10mgの適応症は、
(1) 軽症うつ病、抑うつ神経症
(2) 次の疾患に伴う睡眠発作、傾眠傾向、精神的弛緩の改善ナルコレプシー、ナルコレプシーの近縁傾眠疾患
リタリンで問題となった「うつ病」の適応がいまだ存在する。
ADHD治療用の中枢神経刺激薬とされているが、うつ状態に於ける傾眠および意欲の低下、ナルコレプシーおよび原発性過眠症など傾眠疾患に対し、覚醒作用、精神賦活作用、大脳皮質の賦活作用と脳幹の鎮静作用を示し、睡眠発作、傾眠傾向、精神的弛緩の改善に使用されており、慢性疲労時の強壮剤としても効果がある。同種の他の物質と違って、ペモリンには食欲抑制作用は無い。ペモリン – Wikipedia
このように書かれているが、ADHDに適応はない。
しかし、リタリンの成分であるメチルフェニデート塩酸塩がコンサータとしてADHDに効くように、ベタナミンも効くのであろう。
ペモリンはカフェインよりも強力な中枢神経刺激薬であるが、アンフェタミンやメチルフェニデートよりも強力ではない。
アンフェタミン>リタリン>ベタナミン>カフェイン
中毒の可能性は低いとされるが、肝機能障害があるので連用は避けたい。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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