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チックにコンサータは禁忌?
公開. 更新. 投稿者:小児/先天性疾患.この記事は約2分2秒で読めます.
8,702 ビュー. カテゴリ:チックとADHD
チックとADHDって関係あるの?
ADHD(注意欠陥・多動性障害)はチックを併発することが多いという。
チックというと、パチパチとまばたきを繰り返したり、肩をピクッとさせる、ビートたけしのような症状を思い浮かべるのですが、これらは「運動チック」といって、これと別に、発声にかかわる「音声チック」というものもあります。
運動チックは、顔面や首、肩などの筋が不随意的に収縮を繰り返し、まばたき、顔しかめ、首振り、うなずき、口ゆがめ等が多く、音声チックは、ンンン、という声や鼻すする、咳払い等が多く見られます。
運動チックと音声チックの両方の症状が1年以上続くと、「トゥレット症候群」という病名になる。チックの慢性重症バージョン。
アメリカのシンガーソングライター、ビリー・アイリッシュもトゥレット症候群であると公表している。
フランスの医師ジル・ド・ラ・トゥレットの研究論文により報告された。フルネームを使って「ジル・ド・ラ・トゥレット症候群」とも呼ばれる。しかしパーキンソン病のことを「ジェームズ・パーキンソン病」とか言ったら鼻につくので、言わないようにする。
コプロラリア
音声チックのことを調べていたら、コプロラリア(汚言症)という用語が出てきたので気になった。
以下のような症状も音声チックなのらしい。
汚言(コプロラリア):不謹慎な言葉や卑猥な言葉を言う
反響言語(エコラリア):他人の言葉を繰り返す
反復言語(パリラリア):自分の言葉を繰り返す
ビートたけしの「バカヤロー、コノヤロー」も音声チックだったのだろうか。
汚い言葉を子供から言われたら、病気だと思ったほうが良いのかもしれない。
チックとコンサータ
ということで、チックを併発しやすいADHDですが、チックに禁忌のADHD治療薬があります。
コンサータの禁忌に、
運動性チックのある患者、Tourette症候群(トゥレット症候群)又はその既往歴・家族歴のある患者[症状を悪化又は誘発させることがある。]
とあります。
医薬品名 | 一般名 | 薬効分類 | 特徴 |
---|---|---|---|
コンサータ | メチルフェニデート塩酸塩 | 中枢神経刺激薬 | ・1日1回の服用で約12時間効果が持続する徐放剤 ・午前中までに服薬する ・流通規制あり |
ビバンセ | リスデキサンフェタミンメシル酸塩 | 中枢神経刺激薬 | ・流通規制あり ・他のADHD治療薬が効果不十分な場合に使用 |
ストラテラ | アトモキセチン塩酸塩 | 選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 | ・内用液があり、子どもなどが飲みやすい ・4週間程度継続的に服用することで徐々に効果が発現し、効果は1日持続 ・眼球刺激性があるので、カプセル剤は開けない |
インチュニブ | グアンファシン塩酸塩 | 選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬 | ・1日1回の服用で、効果は1日持続 ・チック併存例で症状改善の可能性が高い |
チックの発現には、ドパミンD2受容体の過感受性が関与するといわれており、チックやトゥレット症候群の治療にはドパミン受容体拮抗薬が第一選択薬として使用されることが多い。
そのためドパミンやノルアドレナリントランスポーターの再取り込み阻害作用によりシナプス間隙のドパミン濃度を高めるメチルフェニデートは禁忌となっている。
逆にチックを併発しているADHDに有効と考えられているのが、選択的α2A 受容体作動薬であるインチュニブ(グアンファシン)である。
日本では高血圧にしか適応が無いが、同じくα2受容体刺激薬であるクロニジン(カタプレス)もチックに有用である。
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