2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ワーファリンで骨折しやすくなる?

ビタミンKと骨

薬剤師

ワーファリンを飲むと骨折しやすくなる?

ワーファリンはビタミンK拮抗薬で、ビタミンK製剤は骨粗鬆症に適応がある。

ビタミンKは、血を固める物質(血液凝固因子Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ)をつくるときに働くビタミンで、その作用に拮抗することでワーファリンは抗凝固作用を働かせる。

また、ビタミンKには別の作用、骨に対する作用もあり、骨を形成するタンパク質であるオステオカルシンのγ-カルボキシル化を促進するします。オステオカルシンが活性化されると、カルシウムが骨に沈着し、骨の強度を保つことができます。
そのため、ビタミンK₂製剤のグラケー(メナテトレノン)が、骨粗鬆症治療薬として用いられます。

では、ビタミンK拮抗薬のワーファリンを飲むと、ビタミンKの働きを阻害し、骨粗鬆症になりやすくなるのか?という疑念が生まれる。

これに対しては、骨折のリスクが高まるという報告(Gage BF et al.:Arch Intern Med. 166(2), 241, 2006.)もあれば、影響しないという報告(Jamal SA et al.: Ann Intern Med. 128(10), 829,1998. )もあり、わかっていない。
添付文書上も特に骨に関する記載は見られない。
しかし、作用機序的には、そのリスクは否定できないだろう。

逆に、ビタミンKを摂取しすぎたり、グラケー飲むと血が固まりやすくなるのか?という話についても添付文書上は特に記載はみられないが、作用機序的に否定はできない。サプリメントなどで過剰に摂取することは控えた方が良い。

いずれにせよ、ビタミンK拮抗薬であるワーファリンと、ビタミンK製剤のグラケーは併用禁忌で、ワーファリンの添付文書にも、

患者が本剤による治療を必要とする場合、本剤による治療を優先し、骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤の投与を中止すること。

と記載されており、血栓>骨粗鬆症であり、命に関わる血栓の予防のほうが重要である。
骨折が怖いからワーファリン飲みたくない、とはならないように。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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