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紫外線に当たってはいけない薬
公開. 更新. 投稿者:服薬指導/薬歴/検査. タグ:薬剤一覧ポケットブック. この記事は約3分5秒で読めます.
21,836 ビュー. カテゴリ:▶日光に当たってはいけない主な薬一覧
医薬品名 | 一般名 | 添付文書の記載 |
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5-FU軟膏 | フルオロウラシル | 塗布部はなるべく日光にあたらないようにすること。 |
アザニン錠/イムラン錠 | アザチオプリン | 長波の紫外線と相乗的に作用して染色体異常を起こすとの報告がある。免疫抑制剤による治療を受けた患者は皮膚癌が発症する可能性が高いため、UVカット素材の衣類の着用やサンスクリーンを使用し、日光の直接照射を避けること。 |
アリドネパッチ | ドネペジル | 光線過敏症が発現するおそれがあるので、衣服で覆う等、貼付部位への直射日光を避けること。また、本剤を剥がした後も、貼付していた部位への直射日光を避けること。 |
エピデュオゲル | アダパレン・過酸化ベンゾイル | 日光又は日焼けランプ等による過度の紫外線曝露を避けること。 |
セクタークリーム/ゲル/ローション | ケトプロフェン | 光線過敏症を発現することがあるので、使用中は天候にかかわらず、戸外の活動を避けるとともに、日常の外出時も、塗布部を衣服、サポーター等で遮光すること。なお、白い生地や薄手の服は紫外線を透過させるおそれがあるので、紫外線を透過させにくい色物の衣服などを着用すること。また、使用後数日から数カ月を経過して発現することもあるので、使用後も当分の間、同様に注意すること。異常が認められた場合には直ちに使用を中止し、患部を遮光し、適切な処置を行うこと。また使用後は手をよく洗うこと。 |
セルセプトカプセル/懸濁用散 | ミコフェノール酸モフェチル | 皮膚癌の危険性を避けるため、帽子等の衣類や日焼け止め効果の高いサンスクリーンの使用により、日光やUV光線の照射を避けること。 |
ゼルボラフ錠 | ベムラフェニブ | 光線過敏症があらわれることがあるので、外出時には帽子や衣類等による遮光や日焼け止め効果の高いサンスクリーンの使用により、日光やUV光線の照射を避けるよう患者を指導すること。 |
タルグレチンカプセル | ペキサロテン | 光線過敏症があらわれることがあるので、外出時には帽子や衣類等による遮光や日焼け止め効果の高いサンスクリーンの使用により、日光やUV光線の照射を避けるよう患者を指導すること。 |
ディフェリンゲル | アダパレン | 日光又は日焼けランプ等による過度の紫外線曝露を避けること。 |
デュアック配合ゲル | クリンダマイシン・過酸化ベンゾイル | 本剤の使用中は日光への曝露を最小限にとどめ、日焼けランプの使用や紫外線療法は避けること。 |
デュロテップMTパッチ | フェンタニル | 本剤貼付中に発熱又は激しい運動により体温が上昇した場合、本剤貼付部位の温度が上昇しフェンタニル吸収量が増加するため、過量投与になり、死に至るおそれがあるので、患者の状態に注意すること。また、本剤貼付後、貼付部位が電気パッド、電気毛布、加温ウォーターベッド、赤外線灯、集中的な日光浴、サウナ、湯たんぽ等の熱源に接しないようにすること。本剤を貼付中に入浴する場合は、熱い温度での入浴は避けさせるようにすること。 |
ニュープロパッチ | ロチゴリン | 適用部位に発疹や刺激反応等が認められた場合には、日光により発現部位の皮膚が変色するおそれがあるので、回復するまで発現部位への直射日光は避けること。 |
ノルスパンテープ | ブプレノルフィン | 本剤貼付中に発熱又は激しい運動により体温が上昇した場合、本剤貼付部位の温度が上昇しブプレノルフィン吸収量が増加するため、過量投与になるおそれがあるので、患者の状態に注意すること。また、本剤貼付後、貼付部位が電気パッド、電気毛布、加温ウォーターベッド、赤外線灯、集中的な日光浴、サウナ、湯たんぽ等の熱源に接しないようにすること。本剤を貼付中に入浴する場合は、熱い温度での入浴は避けさせるようにすること。 |
ハルロピテープ | ロピニロール | 貼付部位を外部熱(過度の直射日光、あんか、サウナなどのその他の熱源)に曝露させないこと。貼付部位の温度が上昇すると本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 |
バレオンカプセル/錠 | 塩酸ロメフロキサシン | 光線過敏症、全身発疹等の皮膚症状があらわれることがあるので、投与にあたっては、事前に患者に対し以下の点について指導すること。 ・日光曝露をできるだけ避けること。 ・発疹等があらわれた場合には服薬を中止すること。 また、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 |
ピレスパ錠 | ピルフェニドン | 外出時には長袖の衣服,帽子等の着用や日傘,日焼け止め効果の高いサンスクリーン(SPF50+,PA+++)の使用により,紫外線にあたることを避けるなど,光曝露に対する防護策を講じること。 |
ブイフェンド錠/ドライシロップ | ボリコナゾール | 光線過敏性反応があらわれることがあるので、本剤投与中は長袖の衣服、帽子等の着用により日光の照射を避け、日焼け止め効果の高いサンスクリーンの使用により紫外線の照射を避けること。本剤投与中に光線過敏性反応が発現した場合は、本剤の投与を中止すること。やむを得ず投与を継続する場合は、皮膚科医を定期的に受診するよう指導し、前癌病変の早期発見に留意すること。 |
フェントステープ | フェンタニルクエン酸塩 | 本剤貼付中に発熱又は激しい運動により体温が上昇した場合、本剤貼付部位の温度が上昇しフェンタニル吸収量が増加するため、過量投与になり、死に至るおそれがあるので、患者の状態に注意すること。また、本剤貼付後、貼付部位が電気パッド、電気毛布、加温ウォーターベッド、赤外線灯、集中的な日光浴、サウナ、湯たんぽ等の熱源に接しないようにすること。本剤を貼付中に入浴する場合は、熱い温度での入浴は避けさせるようにすること。 |
プロトピック軟膏/軟膏小児用 | タクロリムス | 本剤使用時は日光への曝露を最小限にとどめること。また、日焼けランプ/紫外線ランプの使用を避けること。 |
ベセルナクリーム | イモキミド | 本剤による治療期間中は、休薬期間及び経過観察期間を含め、日焼けに対する感受性が増加している可能性があるため、塗布部位の光線への曝露を避けること。 |
ベピオゲル/ローション | 過酸化ベンゾイル | 本剤の使用中には日光への曝露を最小限にとどめ、日焼けランプの使用、紫外線療法は避けること。 |
ミルタックスパップ | ケトプロフェン | 光線過敏症を発現することがあるので、使用中は天候にかかわらず、戸外の活動を避けるとともに、日常の外出時も、貼付部を衣服、サポーター等で遮光すること。なお、白い生地や薄手の服は紫外線を透過させるおそれがあるので、紫外線を透過させにくい色物の衣服などを着用すること。また、使用後数日から数カ月を経過して発現することもあるので、使用後も当分の間、同様に注意すること。異常が認められた場合には直ちに使用を中止し、患部を遮光し、適切な処置を行うこと。 |
モーラステープ/パップ | ケトプロフェン | 光線過敏症を発現することがあるので、使用中は天候にかかわらず、戸外の活動を避けるとともに、日常の外出時も、本剤貼付部を衣服、サポーター等で遮光すること。なお、白い生地や薄手の服は紫外線を透過させるおそれがあるので、紫外線を透過させにくい色物の衣服などを着用すること。また、使用後数日から数カ月を経過して発現することもあるので、使用後も当分の間、同様に注意すること。異常が認められた場合には直ちに本剤の使用を中止し、患部を遮光し、適切な処置を行うこと。 |
ラパリムスゲル | シロリムス | 光線過敏症が発現するおそれがあるので、本剤の使用時は、日光又は日焼けランプ等による過度の紫外線曝露を避けること。 |
ランプレンカプセル | クロファジミン | 本剤服用による皮膚の着色で、結果的に抑うつ症状を生じる可能性があるので、患者の精神状態に十分注意すること。また皮膚及び毛髪の着色は可逆的である。皮膚の着色は、本剤中止後、消失までに数ヵ月~数年かかることをあらかじめ患者に説明しておくこと。なお、皮膚の着色は日光暴露によって濃くなることが報告されている。 |
ロゼックスゲル | メトロニダゾール | 本剤の使用中は、日光又は日焼けランプ等による紫外線曝露を避けること。本剤は紫外線照射により不活性体に転換され、効果が減弱することがある。 |
ロナセンテープ | ブロナンセリン | 光線過敏症が発現するおそれがあるので、衣服で覆う等、貼付部位への直射日光を避けること。また、本剤を剥がした後1~2週間は、貼付していた部位への直射日光を避けること。 |
ワンデュロパッチ | フェンタニル | 本剤貼付中に発熱又は激しい運動により体温が上昇した場合、本剤貼付部位の温度が上昇しフェンタニル吸収量が増加するため、過量投与になり、死に至るおそれがあるので、患者の状態に注意すること。また、本剤貼付後、貼付部位が電気パッド、電気毛布、加温ウォーターベッド、赤外線灯、集中的な日光浴、サウナ、湯たんぽ等の熱源に接しないようにすること。本剤を貼付中に入浴する場合は、熱い温度での入浴は避けさせるようにすること。 |
日光に当たってはいけない薬

使用中、「なるべく日光に当たらないように」と指導する薬がある。
光線過敏症のリスクのあるケトプロフェン(モーラステープなど)やニューキノロン系薬、皮膚がんのリスクのあるプロトピック軟膏などである。また、フェンタニル貼付剤は高温により吸収が高まるため、日光に限らず熱源への接触や激しい運動、発熱に注意が必要である。
塗り薬や貼り薬などの外用薬で、塗布部位や貼付部位をなるべく日光に当てないように、という指導は患者にも理解されやすい。
しかし、バレオンやブイフェンドなどの内服薬が紫外線の影響を受けることはなかなか理解されにくい。理解されたとしても、患者に怖い印象を与え、ノンアドヒアランスに陥るかもしれない。経口剤では、アザニンやイムラン、セルセプトなどの免疫抑制薬は日光により皮膚がんのリスクが高まる可能性がある。またゼルボラフやピレスパは光線過敏症の頻度が高いので注意が必要である。
外用薬では使用部位を日光に当てないことで対応できるが、内服薬では対策が難しい。日光浴や日焼けサロンなどに行くことを避けるのはもちろん、UVカット素材の服を着る、日焼け止めを塗るなどの対策をアドバイスしたい。
モーラステープと皮膚かぶれ
皮膚科医はモーラステープが嫌いらしい。
モーラステープでかぶれて来院する人が多いから。
また、シップを貼っている間は気をつけていても、はがせば大丈夫だろうと注意を怠る患者さんが多いです。使用をやめても2~3ヶ月は皮膚に薬が残るので、強い日光に当たったり、日焼けサロンに行ったりするのはやめましょう。光接触皮膚炎を起こした部位にシミが残ることもあります。
モーラスの重要な基本的注意には、以下のように書かれている。
光線過敏症を発現することがあるので、使用中は天候にかかわらず、戸外の活動を避けるとともに、日常の外出時も、本剤貼付部を衣服、サポーター等で遮光すること。なお、白い生地や薄手の服は紫外線を透過させるおそれがあるので、紫外線を透過させにくい色物の衣服などを着用すること。また、使用後数日から数カ月を経過して発現することもあるので、使用後も当分の間、同様に注意すること。異常が認められた場合には直ちに本剤の使用を中止し、患部を遮光し、適切な処置を行うこと。
「使用後数日から数カ月を経過して発現することもある」とのことなので、はがした後もしばらくは患部を紫外線に当てることは控えるよう指導する。
モーラスで光線過敏症になる理由
NSAIDs貼付剤の中では、ケトプロフェンの添付文書の「禁忌」と「重要な基本的注意」の項目に、光線過敏症に関する記載があります。
ロキソプロフェンの貼付薬の添付文書の「禁忌」などには、「日光」や「光線」に対する記載はなく、副作用の欄には、接触による痒みやかぶれ、接触皮膚炎が記載されてはいます。
NSAIDs貼付薬の中で、ケトプロフェンのみに日光に対する過敏症の記載があるのはなぜか。
製造販売元の久光製薬によると、構造式中のベンゾフェノン骨格に起因していることが明らかにされています。
ケトプロフェンと類似した構造をもつ、チアプロフェン酸(スルガム)、スプロフェン(スルプロチン、スレンダム、トパルジック)、フェノフィブラート(トライコア、リピディル)、化粧品に含まれる紫外線吸収剤のオキシベンゾンおよびオクトクリレンなどで過敏症の既往のある患者にケトプロフェンは禁忌なので注意しましょう。
外出時の服装に注意する薬
特に光線過敏症に注意すべき内服薬として、ゼルボラフ、タルグレチン、ピレスパ、ブイフェンド、セルセプトといった薬がある。
ゼルボラフの光線過敏症発症頻度は46%、ピレスパは51.7%とされている。
これらの添付文書には、「外出時には長袖の衣服、帽子等の着用や日傘、日焼け止め効果の高いサンスクリーン(SPF50+、PA+++)の使用により、紫外線にあたることを避けるなど、光曝露に対する防護策を講じること。」という記載がある。
なるべく外出を避けるようになってしまうだろうが、避けられない通院などの外出時には注意すべきことを伝える。