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インフルエンザにかかったら何日休む?出席停止・就業制限・学級閉鎖のルール
公開. 更新. 投稿者:風邪/インフルエンザ.この記事は約5分52秒で読めます.
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インフルエンザにかかったら何日休む?

毎年冬になると流行するインフルエンザ。子どもがかかったり、自分が感染したりすると、どれくらい休まなければならないのか、学校や職場にいつ復帰できるのかなど、気になる点が多くあります。
文部科学省や厚生労働省の通知、感染症法などをもとに、インフルエンザにかかった場合の出席停止・就業制限の基準や、学級閉鎖の目安、不顕性感染の実態などを勉強します。
学校はいつまで休む?インフルエンザの出席停止期間
インフルエンザにかかったら、学校はいつまで休めばいいのでしょうか。実はこれは明確に法律で定められています。
● 学校保健安全法に基づく基準
学校における出席停止の期間は、「学校保健安全法施行規則」によって以下のように定められています。
・発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで
つまり、解熱していても発症日から5日が経過していなければ登校できません。逆に、発症から5日が経っていても、解熱後2日が経っていなければ登校はできません。
【具体例】
たとえば…
・1月1日に発熱してインフルエンザと診断された
・1月3日に熱が下がった
この場合、発症日から5日後である1月6日が最短の登校可能日ですが、そのとき解熱後2日が経っていなければ登校できません。1月5日が解熱後2日目ならば、1月6日から登校可能です。
● 幼稚園児の場合は注意!
幼児(おおむね就学前)はさらに厳しい条件になります。
・発症後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過するまで
小学生以上と比べて、解熱後の観察期間が1日長くなっています。体力が弱く、感染を広げやすいためです。
出席停止の基準が変更された背景
かつては、「解熱後2日経過」を重視していた時期もありました。しかし、タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬の普及により解熱が早くなった結果、ウイルスを体内に保ったまま登校してしまう子どもが増加しました。
これを受けて文部科学省は、2012年から「発症後5日」という基準を明記するようになりました。これは、発症から5日程度経過すれば、ほとんどのケースでウイルスが体外に排出されにくくなるという研究に基づいています。
インフルエンザで仕事は休めるの?就業制限の法的根拠
子どもは明確に「出席停止」のルールがありますが、大人が会社を休む場合はどうなのでしょうか。
● 感染症法における就業制限
感染症法第18条では、以下のような内容が定められています。
一類〜三類感染症および新型インフルエンザ等感染症については、都道府県知事が「公衆にまん延させるおそれのある業務」に従事する者に対して、就業制限を命じることができる。
つまり、感染力の強い感染症にかかっている場合、飲食店の調理業務・医療従事・接客業などの一部の職種では、都道府県からの就業制限がかかる可能性があります。
● インフルエンザは「5類感染症」
インフルエンザは感染症法上の「5類感染症」に分類されています。そのため、法的に就業制限の対象とはなっていません。
ただし、感染を広げるリスクが高いため、会社の就業規則などで「インフルエンザは出社停止」とされていることも多く、医師の診断書を求められるケースもあります。
● 労働安全衛生法における就業制限
労働安全衛生法第68条でも、伝染性疾患に関する就業制限について定められていますが、こちらも1~3類感染症が対象であり、インフルエンザは原則として該当しません。
とはいえ、インフルエンザを発症して体調が悪い状態で出社するのは自分にとっても周囲にとってもデメリットが多いため、体調が回復するまでしっかり休養をとることが望まれます。
学級閉鎖は何人休んだら?
「学級閉鎖」はインフルエンザの流行時によく見られる措置ですが、何人休めば閉鎖になるのか明確な基準はあるのでしょうか。
● 学級閉鎖の目安
文部科学省は学級閉鎖の明確な統一基準は定めていません。自治体や学校の判断によって異なります。しかし、一般的には以下のような目安で判断されています。
・学級の20%以上がインフルエンザなどで欠席
(例:30人のクラスで6人以上欠席)
・複数日にわたって高い欠席率が続く
・教員の対応が困難と判断された場合
● 学年閉鎖・学校閉鎖の可能性
1学年に3クラスある学校で、4クラス以上が学級閉鎖になった場合には、学年閉鎖や学校全体の閉鎖になることもあります。
また、新型インフルエンザなど新たな感染症の発生時には、より厳しい対応がとられることもあり、1クラスで2人程度の欠席でも閉鎖となる場合もあります。
タミフルやリレンザを使えば早く治る?
抗インフルエンザ薬である「タミフル」「リレンザ」「イナビル」「ゾフルーザ」などは、発症後48時間以内に服用することで、罹病期間を1〜2日程度短縮できるとされています。
ただし、先述のとおり、出席停止の基準は「発症後5日、解熱後2日」です。薬で熱が早く下がっても、登校・出社は早くできるわけではありません。
● それでも薬を使う意味はある?
出席停止の期間に影響しないからといって、薬に意味がないわけではありません。以下のような利点があります。
・症状のつらさを早く和らげられる
・家族や周囲への感染リスクを減らせる可能性
・高齢者や基礎疾患のある人では重症化を防ぐ
特に高齢者や持病のある人、妊婦、乳幼児などハイリスク群においては、発症早期の抗ウイルス薬投与が重要とされています。
インフルエンザなのに症状が出ない?「不顕性感染」の存在
インフルエンザにかかっても、まったく症状が出ない人も存在します。これを「不顕性感染」と呼びます。
● 不顕性感染の割合
季節性インフルエンザでは、症状が出た人の約1.5倍の人数が不顕性感染しているという報告があります。
新型インフルエンザでも、症状が出た人の1.2倍程度は不顕性感染であったとされています。
● どこから感染が広がっているかわからない
不顕性感染者もウイルスを保持している可能性があり、知らないうちに周囲に感染を広げてしまうおそれがあります。
そのため、マスク・手洗い・咳エチケットなどの基本的な感染対策を、普段からしっかり行うことが重要です。
まとめ|インフルエンザにかかったら休むべき期間は?
対象と出席・就業停止期間
・小学生〜高校生:発症後5日+解熱後2日
・幼稚園児:発症後5日+解熱後3日
・一般の会社員:法的制限なし(会社の判断)
・飲食業・接客業など:感染症法により就業制限の可能性あり
インフルエンザは重症化することもある感染症であり、早期の治療と十分な休養が重要です。学校や職場に復帰する際には、感染力が残っていないかを確認し、周囲にうつさない配慮を忘れないようにしましょう。
2 件のコメント
発症とは、どの時点なのですか?
定義を教えていただいても宜しいですか。
コメントありがとうございます。
発症の定義は、症状が出たら発症です。
インフルエンザの症状は、発熱、関節痛、全身倦怠感、頭痛、咳、痰、のどの痛み等です。
以上。