2025年5月10日更新.2,474記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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薬が原因の無菌性髄膜炎?

NSAIDsで無菌性髄膜炎

無菌性髄膜炎の主な原因はウイルスですが、薬が原因の無菌性髄膜炎というのもあります。薬が原因なので、薬剤性髄膜炎と呼ばれることもあります。
髄液の検査で細菌が検出されないと、薬剤性髄膜炎も疑われます。

薬による無菌性髄膜炎の起因薬としては、NSAIDs、抗菌薬、免疫グロブリンなどが知られています。
特にNSAIDsではイブプロフェンでの報告が多いという。

以下の薬の副作用に「無菌性髄膜炎」の記載がある。

薬効分類医薬品名
抗菌薬オーグメンチン
クラバモックス
サワシリン
アザルフィジンEN
バクタ
ボノサップ
ボノピオン
ラベキュア
ラベファイン
抗トリコモナス薬フラジール
尿酸生成阻害薬ザイロリック
NSAIDsジクトルテープ
セレコックス
ナイキサン
ブルフェン
ボルタレン
ロキソニン
抗てんかん薬テグレトール
ラミクタール

全身性エリテマトーデス(SLE)、混合性結合組織病(MCTD)など自己免疫疾患の患者が、無菌性髄膜炎を生じやすいとされています。

ブルフェン(イブプロフェン)の添付文書の重大な副作用には、

無菌性髄膜炎(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、項部硬直、発熱、頭痛、嘔気・嘔吐あるいは意識混濁等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
[特にSLE又はMCTDの患者に発現しやすい。]

と記載されている。

髄膜炎の兆候には、発熱、頭痛、嘔気、嘔吐、意識障害、せん妄、項部硬直などがある。

髄膜炎なんて滅多にみることは無いかもしれませんが、NSAIDsなど長期連用している患者には、より注意が必要。

jolt accentuation

髄膜炎の診断方法に、jolt accentuation testというのがあります。
頭をブンブン振ってもらう方法です。

赤ん坊が「イヤイヤ」するみたいにブルブルブルッと首を振ると、頭痛がひどくなったり、首に痛みが走ります。
これができたら髄膜炎はほぼ除外できるという。

でも、細菌性髄膜炎になりやすい年齢は乳幼児なので、コミュニケーションがとれないから難しい。
また、頭が振れないくらい痛い片頭痛もある。

細菌性髄膜炎の初期診断の難しさは、見た目は「風邪」に似ていること、および「髄液検査」をしないと診断を確定できない点にある。

細菌性髄膜炎の症状は、教科書的には発熱・頭痛・嘔吐の3症状ですが、赤ちゃんの場合は頭痛を訴えられないので、不機嫌、哺乳不良、顔色不良という症状で診る。一般の小児科で髄液検査をやることはあまりない。

薬剤師

薬剤師の人たちって、どうやって勉強してるんだろう…

先生

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