2024年12月18日更新.2,481記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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ピルと降圧剤を併用しちゃダメ?

低用量ピルと高血圧

低用量ピルは安全・安心な薬というイメージでしたが、血栓症の副作用で危険なイメージもついてしまった。

低用量ピルには禁忌が多いので、薬剤師的には注意すべき項目の多い危険な薬ですが。
以下ルナベルの禁忌項目。

1. 本剤の成分に対し過敏性素因のある患者
2. エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば乳癌、子宮内膜癌)、子宮頸癌及びその疑いのある患者[腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある。]
3. 診断の確定していない異常性器出血のある患者[性器癌の疑いがある。出血が性器癌による場合は、癌の悪化あるいは顕性化を促すことがある。]
4. 血栓性静脈炎、肺塞栓症、脳血管障害、冠動脈疾患又はその既往歴のある患者[血液凝固能が亢進され、これらの症状が増悪することがある。]
5. 35歳以上で1日15本以上の喫煙者[心筋梗塞等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]
6. 前兆(閃輝暗点、星型閃光等)を伴う片頭痛の患者[前兆を伴う片頭痛の患者は前兆を伴わない患者に比べ脳血管障害(脳卒中等)が発生しやすくなるとの報告がある。]
7. 肺高血圧症又は心房細動を合併する心臓弁膜症の患者、亜急性細菌性心内膜炎の既往歴のある心臓弁膜症の患者[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]
8. 血管病変を伴う糖尿病患者(糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症等)[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]
9. 血栓性素因のある患者[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]
10. 抗リン脂質抗体症候群の患者[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]
11. 手術前4週以内、術後2週以内、産後4週以内及び長期間安静状態の患者[血液凝固能が亢進され、心血管系の副作用の危険性が高くなることがある。(「重要な基本的注意」(6)の項参照)]
12. 重篤な肝障害のある患者[代謝能が低下しており肝臓への負担が増加するため、症状が増悪することがある。]
13. 肝腫瘍のある患者[症状が増悪することがある。]
14. 脂質代謝異常のある患者[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。また、脂質代謝に影響を及ぼす可能性があるため、症状が増悪することがある。]
15. 高血圧のある患者(軽度の高血圧の患者を除く)[血栓症等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。また、症状が増悪することがある。]
16. 耳硬化症の患者[症状が増悪することがある。]
17. 妊娠中に黄疸、持続性そう痒症又は妊娠ヘルペスの既往歴のある患者[症状が再発するおそれがある。]
18. 妊婦又は妊娠している可能性のある患者(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
19. 授乳婦(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
20. 骨成長が終了していない可能性がある患者[骨端の早期閉鎖を来すおそれがある。]

喫煙や片頭痛、糖尿病、高血圧、脂質代謝異常など見逃しそうなものも多々ある。

例えば、降圧剤や脂質異常症治療薬を飲んでいる患者はピルを飲めないのか、というところは微妙。
「軽度の高血圧の患者を除く」と書かれているので、I度高血圧(140~159/90~99)程度なら服用しても問題ないのだろう。しかも、降圧剤を服用していて高血圧状態になければ、服用しても問題ないという判断もできる。
脂質代謝異常も、薬の服用で是正されていれば良いのかも知れない。
いずれにせよ、医師の判断によるので、疑義照会すべきなのだろう。

低用量ピルはエストロゲン量を50μg未満に抑えたピルのことですが、50μgを超えるエストロゲンを含む中用量ピルは血栓症などの副作用が多い。
はず、だが、プラノバールの禁忌項目をみると、

1. 血栓性静脈炎,肺塞栓症又はその既往歴のある患者
[血液凝固能が亢進され,これらの症状が悪化又は再発することがある.]
2. エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば,乳癌,子宮内膜癌)及びその疑いのある患者
[エストロゲン作用により,腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある.]
3. 重篤な肝障害のある患者
[肝障害を悪化させるおそれがある.]
4. 前回妊娠中に黄疸又は持続性そう痒症の既往歴のある患者
[症状が再発するおそれがある.]
5. 前回の妊娠中に悪化した耳硬化症の既往歴のある患者
[症状が再発するおそれがある.]
6. 妊娠ヘルペスの既往歴のある患者
[症状が再発するおそれがある.]
7. 鎌状赤血球貧血のある患者
[血栓症又は肝障害を起こすおそれがある.]
8. デュビン・ジョンソン症候群,ローター症候群の患者
[症状を悪化させるおそれがある.]
9. 脂質代謝異常のある患者
[症状を悪化させるおそれがある.]
10. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
11. 診断の確定していない異常性器出血のある患者
[悪性腫瘍の場合,症状を悪化させるおそれがある.]

低用量ピルよりも少なめ。
片頭痛や糖尿病、高血圧、喫煙などに関する記載も無い。

中用量ピルのほうが安心して使えるというわけではないので低用量ピル以上に注意は必要です。
男性薬剤師としては婦人科患者に具体的なことを聞きにくい時もありますが、禁忌項目については確認すべき。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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