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眼トキソプラズマ症にアセチルスピラマイシン?
公開. 投稿者:眼/目薬/メガネ.この記事は約4分6秒で読めます.
1,429 ビュー. カテゴリ:トキソプラズマとアセチルスピラマイシン
眼科からアセチルスピラマイシンの処方が来た。
患者から聞いても、病名についてはっきりと聞いていないようだったので、調べる。
アセチルスピラマイシンの適応菌種としては、添付文書上では、
スピラマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、梅毒トレポネーマ
となっている。
梅毒?とも思ったが違うようだ。
トキソプラズマにアセチルスピラマイシンがよく処方されるようだ。
2012年11月現在、海外で使用されるピリメタミンやスルファジアジンなどは日本では未承認となっている。また、スピラマイシンの類薬であるアセチルスピラマイシンなどの国内承認薬もトキソプラズマ症が適応症となっていない。トキソプラズマ症とは
アセチルスピラマシンの適応症にトキソプラズマ症はない。
しかし、トキソプラズマ症に有効なようだ。
眼科から処方されていることから、眼トキソプラズマ症と思われる。
眼トキソプラズマ症は、眼の網脈絡膜炎の主要な原因の一つです。通常、先天性のトキソプラズマの感染によるものです。眼の眼底部分の網脈絡膜上にトキソプラズマ(シスト)が寄生する結果、網脈絡膜が剥がれ、網脈絡膜の萎縮と色素沈着を起こします。その結果、視野の異常や視力障害となります。眼の病変だけの場合、学童期まで気づかれない場合もあります。
先天性が多いようだが、処方されていたのは成人女性であった。
そもそもトキソプラズマとは何か?
マイコプラズマと名前は似ているが、違うのか?
トキソプラズマは原虫の仲間。
大きさで比較すると、原虫(トキソプラズマ)>真菌>細菌>マイコプラズマ>ウイルス となる。
アセチルスピラマイシンなんて処方される機会はそう無いので、この患者が来なくなればデッドストック確実。
妊婦はネコを触っちゃダメ?
妊婦はネコを触ってはいけない、と言われる。
その原因はトキソプラズマ。
胎児がトキソプラズマに感染し、脳障害を起こす可能性がある。
例えばネコの糞便中のオーシストが付着した食餌をネズミが食べることで感染し、ネズミの体内に形成されたシストはネコがネズミに噛み付くことで取り込まれる、という具合に生活環が成立していると考えられる。人間への感染経路としては、飼い猫のトイレ掃除、園芸、砂場遊びなどで手に付いたオーシストが口に入ることが考えられる。
ただし感染ネコがオーシストを排出するのは初感染の際の数週間に限られており、オーシストを排出しているのはネコの1~2%程度に過ぎない。ネコと触れるだけで感染するわけではなく、またネコの糞便中のオーシストも成熟するのに数日を要することから、通常の飼い猫であれば感染源としてはそれほど重要ではない。トキソプラズマ症 – Wikipedia
ここにも書かれているとおり、感染源としてはさほど重要ではないという。
ネコを飼っている女性は、ネコを手放さなければならない、と深刻に思いつめる必要までは無さそう。
トイレの処理とか、衛生環境に注意すれば、問題ないのだろう。
でも、個人的には、猫を飼っている女性はあまり好きではない。
トキソプラズマ
トキソプラズマ症は、寄生性原生生物(原虫)のトキソプラズマにより引き起こされる感染症である。
ネコを終宿主とし、ほぼ全ての哺乳類・鳥類に感染し得る。
ヒトからヒトへ感染することはなく、加熱処理の不十分な肉(生ハム、馬刺し、レバ刺し、レアステーキなど)や庭仕事で触った土、飼いネコの世話などを通して経口感染する。
先天性トキソプラズマ症
健常者が感染した場合は、不顕性感染もしくは軽症で済む。
しかし、妊娠中の女性がトキソプラズマに初めて感染すると、トキソプラズマが胎盤を通過して胎児に垂直感染し、胎児に先天性トキソプラズマ症(死流産、網脈絡膜炎、小眼球症、水頭症など)を引き起こす恐れがある。
日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が発行する「産婦人科診療ガイドライン-産科編2011」によると、年間130~1300人の先天性トキソプラズマ症の患児が出生していると推定されているが、実際の統計データはない。
胎児がトキソプラズマ症を発症する恐れがあるのは、母体が妊娠中に初めてトキソプラズマに感染した場合である。
妊娠前に感染していれば、先天性トキソプラズマ症は発症しない。
そのため、妊婦健診の血液検査でトキソプラズマ抗体が陽性と出た場合は、トキソプラズマのIgG抗体値やIgM抗体値などで感染時期を推定し妊娠中の初感染が疑われた場合に、胎児への感染を防ぐための治療を行う。
トキソプラズマの治療
治療には、マクロライド系抗菌薬のスピラマイシン酢酸エステル(商品名アセチルスピラマイシン)が適応外処方で使われる。
具体的には、1200mg/日を分4で21日間投与し、その後14日間体薬することを1クールとし、これを出産まで継続する。
薬剤が胎盤に移行しトキソプラズマ原虫の胎児への感染を予防するとされ、同薬を早期から服用すると約60%の垂直感染を予防する効果があるとされている。
同薬の添付文書には、妊娠中の投与に関する安全性は確立しておらず、妊婦に対しては治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すると書かれている。
また、薬効薬理の項目には、同薬に抗トキソプラズマ作用があることが記されている(ただし、トキソプラズマは適応外である)。
一方、妊娠中のトキソプラズマ初感染が否定できない妊婦へのスピラマイシンの使用は、前述のガイドラインで推奨されている(推奨レベルB)。
同薬の製造販売元によると、これまで同薬の服用により胎児に悪影響が確認された事例は報告されていない。
参考書籍:日経DI2014.4
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