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適応外処方は疑義照会しなきゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約5分31秒で読めます.
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保険薬局が受ける減点は、薬局独自の技術料や書面審査で明らかな誤りのある薬学管理料に関するものが対象となります。
その他の部分については、薬剤師は医師の処方箋に基づきその指示によって調剤するものであることから、減額分の責任は薬剤師にはなく、処方した医師にあるものとされています。
たとえば、保険者が医療機関と薬局の明細書をつき合わせて審査(突合審査)した結果、調剤に用いられた医薬品に対応する病名が医療機関側のレセプトに見出せない場合は、処方せん料を含む医療機関の請求が査定されますが、処方した医薬品の薬剤料などは薬局から減点されるのではなく、医療機関から相殺して減額されるケースなどが想定されます。
処方せんには疾患名が記載されませんので(薬局では処方内容や患者さんからの情報で処方箋鑑査を行っているため)、適応症か否かの判断はできません。
しかし、薬剤師法第24条にあるように処方内容に疑わしい点があった場合は、疑義照会を行わなければ調剤を行うことはできませんので、疑義照会をしなくてよいということではありません。
適応外処方の疑義照会はウザい?
適応外処方を行った経験がある医師735人中、院外処方せんを発行しているのは567人(77.1%)。院外処方せんを応需する保険薬局との間で、トラブルは生じていないだろうか。
院外処方せんを発行する医師567人に、3つの選択肢を示して「適応外処方を行った際に、院外処方せんを応需した薬局での説明の行き違いが原因で、トラブルが発生した経験はありますか」と尋ねた設問では、「特にトラブルが起こったことはない」との回答が最も多く、回答者の68.3%を占めた。
2002年3月に実施した「適応外処方実態調査2002」でも、この設問に対しては「特にトラブルが起こったことはない」との回答が最も多かったが、回答者に占めた割合は54.2%と今回より少ない。逆に、「現在もトラブルがしばしば発生している」との回答は、2002年調査では12.5%だったのに対し、今回の調査では7.6%。薬剤師を対象に行った調査でも、同様の傾向が認められており、適応外処方をめぐる薬局とのトラブルそのものはこの7年でかなり減ってきているといえそうだ。
また、適応外の処方が記載された院外処方せんを応需した薬局が、処方せんを発行した医師に疑義照会を行うことに関しては、「やむを得ない」と考えている医師が半数を超えることが明らかになった。
この設問では、疑義照会に対する考え方として、(1)患者への誤った服薬指導を避けるためにも積極的に疑義照会をして処方意図を確認してほしい、(2)処方ミスの可能性も考えられるため、疑義照会をするのはやむを得ない、(3)疑義照会をする薬剤師は勉強不足。適応外処方を見分ける知識は身に付けるべき、(4)効能の説明は医師がしているので、薬局では効能の説明や疑義照会などせず薬だけ渡せばよい──という4つの選択肢を示し、最も近いものを1つ選んでもらった。
最も多かった回答は、(2)の「処方ミスの可能性も考えられるため、疑義照会をするのはやむを得ない」(52.9%)。(1)の「患者への誤った服薬指導を避けるためにも積極的に疑義照会をして処方意図を確認してほしい」(40.7%)が続き、(1)と(2)を併せると9割以上の医師が、薬剤師からの疑義照会を容認しているとの結果になった。
ただし、アンケートの自由回答には、疑義照会によってたびたび診療を妨げられることに加え、“不勉強”あるいは“意固地”な薬剤師に対する不満が数多く寄せられた。医師と薬剤師との「コミュニケーション・ギャップ」を埋めることが、適応外処方に関連したトラブルを防ぐための第一歩となりそうだ。適応外処方への疑義照会、「やむを得ない」が最多だが…:日経メディカル オンライン
適応外処方の問題は、有効性、安全性の問題とは別に、保険請求上の問題というのもあります。
適応外処方をするのは別にいいと思います。
何か事故が起こった場合には医師の過失が認定される可能性があり、各種の健康被害救済制度や医師賠償責任保険の適用とならないなど、医師、患者双方にとって不利益が生じる可能性があり・・・などというのは承知の上で処方しているのでしょうから。
ただ、しばしば・・・イヤほとんどのケースで、適応外処方をしたとしても保険請求しています。
適応外使用は現行法制に則っていないため保険適応はなく、診療報酬の請求はできません。
しかし、処方せんには保険証番号がきちんと書かれています。
医師の顔色を伺うと「適応外です」「保険請求できません」というのはなかなか言いづらいものですが、国の医療財政を破綻させないためには必要な疑義照会かも知れません。
と言っても、処方せんに病名が書かれているワケでもないので、薬剤師にそこまでの義務はないでしょう。
適応外処方だとしても、薬局に返戻がくるわけではないので、スルーです。
薬情の文章は直して説明しましょう。
疑義照会のトラウマ
適応外処方の問題とは別に、疑義照会そのものがウザイという話。
忙しいのにそんなことで電話してくるな!的な態度をあからさまにとられることもしばしば。
疑義照会にトラウマを持つ薬剤師さんも多いかと。
私自身もなるべく疑義照会をしないように、そのような処方せんは他の薬剤師さんに投薬を任せるように動きます。
いきなりもよおしたり。
1回疑義照会して次回から訂正されていればいいけれど、次回も同じように処方されてくる時もあるし。
でまあ、「1回疑義照会したからいいか」として「疑義照会済み」と処方せんの備考欄に記載して投薬する。
同じ薬局であればそれでもいい。
しかし、患者さんは薬局を選べるわけで、別の薬局に行けばそこでも同じ疑義を持ち、同じ疑義照会を医師にする。
そうして何回も同じ疑義照会を医師は受けて「薬局ウゼー」となるわけだ。
先日、FAX処方せんを送った先の薬局とは違うところに処方せんを持ってきた患者さんがいて、FAX処方せんを受け付けた時点で疑義照会をかけてしまっていたために、実際に処方せんを受け付けた薬局でもう一度疑義照会をするという事態に陥った例がありました。
わけもわからず「何回も同じ疑義照会をするな!」と怒られたそうで。
疑義照会を簡便化するいい方法は無いものですかね。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。