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リピディルが高尿酸血症に効く?
公開. 更新. 投稿者:痛風/高尿酸血症.この記事は約2分55秒で読めます.
3,875 ビュー. カテゴリ:リピディルと高尿酸血症
フィブラート系薬が尿酸を下げる?
リピディル/トライコア(フェノフィブラート)が尿酸を下げるという話がある。
添付文書をみると、
高尿酸血症を伴う高脂血症患者を対象に、本剤159.9mg~160mgに相当する用量を1日1回8週間投与したとき、改善率は78.3%(54/69例)であった。また、投与前に約8mg/dLであった尿酸値が投与8週後には約6mg/dLまで低下した。
という記載があり、8週間で約8mg/dLから約6mg/dLへと、けっこう下げている。
リピディル(フェノフィブラート)の作用機序は、肝細胞の核内受容体であるペルオキシゾーム増殖活性化受容体(PPAR)αを活性化して蛋白質の発現を調節することにより、LDLコレステロールおよびTGを低下させるとともに、HDLコレステロールおよびTGを低下させるとともに、HDLコレステロールを上昇させる作用がある。
リピディルは、血清尿酸値低下作用を有することも知られている。
脂質異常症と高血圧を合併する高尿酸血症・痛風患者を対象に行われた研究で、患者が服用していた尿酸生成抑制薬のアロプリノールまたは尿酸排泄促進薬のベンズブロマロンをフェノフィブラートへ変更しても、血清尿酸値に有意な変化は見られず、良好なコントロールを維持できたことが報告されている。
また、フェノフィブラートはベンズブロマロンと同様、近位尿細管において尿酸の再吸収を担う尿酸トランスポーター(URAT1)の作用を抑制することで、尿酸値を低下させることも示唆されている。
URAT1阻害剤には、フェノフィブラート、ロサルタン、プロベネシド、スルフィンピラゾンなどがある。
日本痛風・核酸代謝学会が2010年にまとめた「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第2版)」において、フェノフィブラートは、高TG血症と高尿酸血症の合併(特に尿酸排泄低下型高尿酸血症の合併)に対して有効であるとされている(推奨度A:行うよう強く勧められる)。
アルコールとURAT1
URAT1は、モノカルボン酸との交換で尿酸を再吸収するため、モノカルボン酸の一つである乳酸の血中濃度が高まると、URAT1の活性が亢進する可能性がある。
アルコールの摂取量と尿酸値の上昇は関連するが、これはビールなどのアルコール飲料にプリン体が多く含まれているためだけではない。
飲酒によりアルコール脱水素酵素が働いてNADH2の生成量が増加するとNSDH2を補酵素とするLDH(乳酸脱水酵素)による乳酸合成が促進する。そのため乳酸値が上昇し、URAT1の活性化につながる。
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