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B型肝炎とC型肝炎の違いは?
公開. 更新. 投稿者:肝炎/膵炎/胆道疾患.この記事は約3分50秒で読めます.
2,653 ビュー. カテゴリ:肝炎ウイルスの種類
B型肝炎とC型肝炎は何が違う?
肝炎ウイルスには、A型、B型、C型、D型、E型の5種類がある。
C型肝炎ウイルスは非A非B型肝炎ウイルスと呼ばれていた。
B型肝炎ウイルスはDNAウイルス。
C型肝炎ウイルスはRNAウイルス。
インターフェロンはC型肝炎に効きやすい。
主な肝炎ウイルスとしては、A型、B型、C型、D型、E型の5種類がありますが、なかでもB型とC型の肝炎ウイルスに感染した患者さんが非常に多く、合わせて300万人を超えており、国内最大の感染症ともいわれています。
また、成人がB型肝炎ウイルスに感染した場合、そのほとんどは急性肝炎を呈してウイルスが自然に排除され、慢性肝炎に移行する頻度は1%以下であるが、C型肝炎ウイルスに成人が感染した場合は、慢性肝炎に移行する頻度は50~70%と高率であることが知られています。
C型肝炎とB型肝炎の大きな違いとして、B型肝炎は成人してから感染しても慢性肝炎に移行することは少ないことが挙げられる。
C型肝炎は成人してから感染して、慢性C型肝炎に移行することもある。
そのため慢性B型肝炎では、母子感染や、過去に行われていた幼少期の予防接種における注射針の共用という問題がクローズアップされる。
A型肝炎とB型肝炎の違い
昔、肝炎のウイルスには2種類あると思われていました。
A型とB型の2種類です。
糞便に汚染された水や食物でうつるタイプがA型で、血液でうつるタイプがB型です。
名前は決まっていても、ウイルス自体は発見されていませんでした。
1970年にB型肝炎ウイルスは発見されます。
日本赤十字社では1971年から、HBs抗原陽性の血液を輸血から除くようになりました。その後、1986年からはより工夫したスクリーニングが行われ、事実上輸血後肝炎からB型肝炎は消滅しました。
A型肝炎ウイルス | B型肝炎ウイルス | C型肝炎ウイルス | D型肝炎ウイルス | E型肝炎ウイルス | |
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感染経路 | ・経口感染(生水、貝類など) | 血液・体液 従来、主要な感染経路は母子感染であったが、1985年より開始された母子感染防止事業により減少傾向にある。近年では、性感染症として増加している。 | 血液・体液 母子感染や性交渉による感染は少ない。輸血、注射器の使いまわし、入れ墨などの感染経路が報告されているが、経路不明の場合も多い。 | ・共感染の場合は、重症化しやすいが、慢性化はまれである。 ・重感染の場合は、HBVに代わりD型慢性肝炎に移行し、肝硬変への移行が早くなる。 | ・経口感染(猪、鹿、豚肉の生食) |
ウイルス核酸 | RNA | DNA | RNA | RNA | RNA |
ウイルス複製 | HBV DNAは肝細胞の核内へ移行し、cccDNA(covalently closed circular DNA:完全閉鎖二本鎖DNA)となって安定的に核内に留まる。cccDNAから転写されるmRNAをもとにウイルスが複製される。cccDNAは、抗ウイルス療法では排除することはできない。 | 肝細胞の細胞質に放出されたHCV RNAをもとにウイルスが複製される。HCV RNAは、抗ウイルス薬により排除可能である。 | |||
国内の持続感染者(キャリア) | 約130~150万人(推定) | 約150~200万人(推定) | |||
国内でみられる主な遺伝子型 | A:従来は少なかったが、近年では海外からの輸入感染症として増加傾向にある。慢性肝炎となる頻度は、他の遺伝子型と比較して高い(約5~10%)。 B:Cに次いで多い遺伝子型である。慢性肝炎となる頻度は少ない(1%以下)が、劇症化しやすい。 C:最も多い遺伝子型である。慢性肝炎となる頻度は少ない(1%以下)が、肝細胞癌を発症しやすい。 | 1b:国内の約70%に相当する。 2a:国内の約20%に相当する。 2b:国内の約10%に相当する。 | |||
特徴 | 急性肝炎を発症するが、ほとんどは治癒し慢性化しない | ・成人の場合は、初感染で急性肝炎を発症し、慢性化することは少ない ・母子感染の場合は、乳幼児期に無症候キャリアとなり、10~30歳代で急性肝炎を発症し、90%以上が慢性化する。 | ・急性肝炎を発症し、70%が慢性化する ・成人の初感染からも容易に慢性化する | ・共感染の場合は、重症化しやすいが、慢性化はまれである。 ・重感染の場合は、HBVに代わりD型慢性肝炎に移行し、肝硬変への移行が早くなる。 | 劇症化は妊婦の感染例で多い |
非A非B型肝炎ウイルス
しかし、B型肝炎を除いても輸血後肝炎が無くなりませんでした。
そのためC型肝炎ウイルスの存在が疑われたのです。
C型肝炎ウイルスは以前はA型でもB型でもないということで、非A非B型肝炎ウイルスと呼ばれていたこともあります。
C型肝炎ウイルスが発見されたのは1985年です。
違いは見つかった時期ということになりますが、訴訟ではこの点が大きく影響してきます。
DNAウイルスとRNAウイルスの違い
A型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスはRNA型のウイルス。
B型肝炎ウイルスはDNA型のウイルスです。
ちなみにインフルエンザウイルス、ノロウイルス、SARSウイルス、風疹ウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルス、ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、マールブルグウイルス、エボラウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、狂犬病ウイルス、エイズウイルスはRNA型。
天然痘ウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、EBウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルスはDNA型です。
インターフェロンはRNA型に効きやすく、DNA型に効きにくいという。
B型肝炎ウイルスはDNAウイルスで人の肝細胞の中に一部が組み込まれ、治療によってもウイルスが体内から完全には排除されません。
一方、C型肝炎ウイルスはRNAウイルスで、インターフェロンなどの治療で完全にウイルスを体から排除することが可能です。
我が国の慢性肝炎の約70%がC型肝炎ウイルス、約20%がB型肝炎ウイルスによるものです。
C型肝炎は21世紀の国民病
現在、日本には100人に1~2人の割合(150~200万人)でC型慢性肝炎の患者さん、あるいは本人も気付いていないHCV持続感染者(肝炎症状のほとんどないキャリア)がいると推定されており、21世紀の国民病ともいわれています。
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