記事
ミニリンメルトを食後に飲んじゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:前立腺肥大症/過活動膀胱.この記事は約5分10秒で読めます.
9,227 ビュー. カテゴリ:目次
ミニリンメルトと食事
ミニリンメルトは食後に服用すると吸収が落ちる。薬物動態には以下のように書かれている。
「日本人健康成人(16人)に本剤120μgをクロスオーバー法にて空腹時及び食後に経口投与したとき、平均AUCtは44.94及び12.03pg・h/mL、平均Cmaxは14.89 及び3.90pg/mLであった。」
使用上の注意には以下のように書かれている。
「本剤を食後投与から食前投与に変更した場合、投与後に血漿中デスモプレシン濃度が高くなり有害事象の発現リスクが上昇する可能性があることに留意して、患者ごとに本剤の投与と食事のタイミングを検討すること。」
「食直後投与では目的とする有効性が得られない可能性があるため、食直後の投与は避けることが望ましい。」
ミニリンメルトには夜尿症と中枢性尿崩症の適応がある。
夜尿症に用いる場合の用法は寝る前なので、通常であれば空腹時のはずである。
中枢性尿崩症に用いる場合の用法は1日1~3回となっている。
用法上は食事に関する記載は無く、1日3回毎食後という用法でも問題は無い。
しかし食後すぐに服用した場合、思ったような効果が得られない可能性がある。だからといって、食前投与に切り替えると副作用のリスクが高まるので、注意が必要である。
ミニリンメルトと水
水で飲んじゃいけない飲み薬というのがある。
おねしょの薬、ミニリンメルト。
添付文書には以下のように書かれている。
「※夜尿症及び中枢性尿崩症の治療における水分摂取管理の重要性を考慮し、本剤は水なしで飲むこと。なお、本剤は口の中(舌下)に入れると速やかに溶ける。」
「投与の2~3時間前(夕食後)より翌朝迄の飲水は極力避けること。過度に飲水してしまった場合は本剤の投与を行わないこと。水分や電解質のバランスが崩れ、水分補給が必要となる急性疾患(全身性感染症、発熱、胃腸炎等)を合併している場合は本剤の投与を中止すること。」
例えば、9時に寝る場合、6~7時より過度な飲水は避けることになる。
過度ってどのくらいだろう?
水分摂取の管理について 2~3時間前までにコップ1杯(目安250cc)までなら大丈夫であろうとのこと。300ccを超えてしまうと休薬が望ましいとの事でした。水中毒の発現に関して今のところ、小児での報告はないそうです。高齢者に若干例報告があるとの事でした。水中毒に関して、相当な全身けいれんの発現だそうです。(以上、MR談)
デスモプレシン
250ccなら、けっこう飲めそうな気もしますが、知らないと飲み過ぎてしまうので注意です。
ミニリンメルトを水で飲んではいけない
中枢性尿崩症は、抗利尿ホルモンであるバソプレシンの合成・分泌不全で起きる疾患である。
主な症状は多尿、口渇、多飲で、視床下部-下垂体系が腫傷などにより障害される続発性のものと、特発性のものがある。
治療には、デスモプレシン酢酸塩水和物の点鼻薬(デスモプレシン・スプレー2.5協和)または経口薬 (ミニリンメルトOD錠)が用いられる。
スプレー剤は使用が簡便だが、10℃以下での保存が必要であり、冷所保存が難しい人には不向きである。
一方、ミニリンメルトは60℃の密封容器内で12週間安定との試験結果があり、室温保存が可能で利便性が高い。
ミニリンメルトの服用時の注意点として、水なしで飲むことが挙げられる。
これは、中枢性尿崩症の病態上、水分が過多になると水中毒が発現する恐れがあり、水分摂取が制限されるためで、添付文書にもその旨が記載されている。
また、食後に服用すると空腹時よりも大幅に血中濃度が低下することが判明しており、食事の影響を避けるために、食事から十分な時間を空けて服用する必要がある。
患者には医師から指示されたタイミングを守って服用するよう指導する。
ミニリンメルトはすぐに飲み込む
ミニリンメルトを溶かした後も口の中で保持すると吸収量が増える。
デスモプレシンは粘膜での吸収効率が良いため、OD錠が唾液で溶解すると口腔粘膜から一定量吸収される。
口腔内にその唾液を保持すると、その吸収量がさらに増加すると考えられる。
実際、デスモプレシンのOD錠120μgと、腸から吸収される普通錠200μg(日本では未承認)の血中濃度は同程度であることが判明している)。
また、口腔粘膜から吸収される場合、門脈を経ずに循環血液に到達するため、効果発現が速やかである。
一方、口腔粘膜からの吸収は患者の口腔内環境や唾液の保持時間などが変化すると、服用ごとにばらつきが生じやすい。
従って、デスモプレシンの効果を安定的に発現させるためには、OD錠を溶かした唾液を保持することなく、毎回同じように溶けたら速やかに飲み込むようにしなければならない。
ちなみに、ミニリンメルトの添付文書には「口の中(舌下)に入れると速やかに溶ける」と記載されているが、舌下錠ではない。患者に誤解を招くような説明をしないよう、注意しなければならない
これまで経鼻剤で治療してきた尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症を経口剤で治療可能となったことは臨床的に意義がある。ただし、夜尿日数の減少は2週間当たり平均1.8日程度である。夜尿症は飲水制限が必要であることから本剤は水無しで飲むことの注意喚起がされている。また、治験時には舌下投与で行ったことから舌下で溶かして服用することが使用上の注意となっている。経鼻剤では水中毒(低ナトリウム血症)が報告されていることから、本剤投与時に血清ナトリウムの定期的なモニタリングが必要である。
日薬医薬品情報Vol.15 No7
デスモプレシンによる薬物療法は、適切に行えば夜尿症の75%程度が改善するといわれます。
そのため、正しい服薬方法の指導が非常に重要です。
OD錠は、水で飲まず、口の中で溶かして服薬するよう指導しますが、このとき、「水なしで飲めます」といった曖昧な言い方ではなく、「水と一緒に飲んではいけません」と、はっきり伝えます。
また、薬剤の量をロスする可能性があるため、服薬直後に口をすすいだり、歯を磨いたりしないよう指導することも重要です。
尿量が減少しなければ、就寝前の飲水制限ができているか、投与量は十分かなどを確認します。
ミニリンメルト240μg=デスモプレシンスプレー20μg
ミニリンメルトはデスモプレシンの飲み薬。
今まで点鼻タイプのものだけだったので、経口投与できるのは便利。
使用量は、「通常、1日1回就寝前にデスモプレシンとして120μgから経口投与し、効果不十分な場合は、1日1回就寝前にデスモプレシンとして240μgに増量することができる。」となっている。
60μg、120μg、240μgと2種類の規格がありますが、60μgの適応は中枢性尿崩症のみ。
インタビューフォームによると、デスモプレシン口腔内崩壊錠 240μg は、デスモプレシン経鼻製剤 20μg に相当する、らしい。
つまり、ミニリンメルト120μg=デスモプレシンスプレー10μg
ミニリンメルト60μg=デスモプレシンスプレー5μg
デスモプレシンスプレー5μgなんてものは無いので、ミニリンメルトの60μgを夜尿症で使うことはない。
いままで、デスモプレシンスプレー10μgを2噴霧していたお子さんは、初回からミニリンメルト240μgを使うことになるのかな。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。