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簡易懸濁法に適さない薬
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約2分60秒で読めます.
17,142 ビュー. カテゴリ:簡易懸濁法
簡易懸濁法とは. 錠剤粉砕やカプセル開封をせずに、錠剤・カプセルをそのまま、あるいはコーティングに亀裂を入れて、温湯(約55℃)に入れ、崩壊・懸濁させて経管投与する方法です。。
胃ろうや嚥下障害などで薬剤を粉砕して経管投与する場合,懸濁性やチューブのつまり等の問題が発生することがある。
簡易懸濁法はこれらの問題を解決するために開発された投与法で,投与時に錠剤・カプセルをそのまま水に入れて崩壊・懸濁させる方法である。
水温を55℃にした理由はカプセルを溶かすためで、厳密でなくてもおおよそ55℃でよい。
マクロゴール6000含有の薬品(タケプロンODなど)は、56~61℃でマクロゴール6000が凝固するため、温度を高くしすぎるとチューブに入る前に薬品が固まってしまうためチューブに注入できない。
水に入れて崩壊しない錠剤は乳棒で数回叩いてコーティングを崩壊して水に崩壊・懸濁しやすくし,カプセルを溶解させるために約55℃の温湯に入れて自然放冷する。
カプセルは,水50mLを加え37±2℃に保ちながらしばしば振り動かす時,10分以内に溶けるように日本薬局方で規定されている。
簡易懸濁法では,55℃の温湯20mLを入れて常温で10分間自然放置すると,温度は時間とともに低下し,10分後には37℃付近になるため,最初の温度を55℃としている。
なお,55℃で安定性に問題があるものや疎水性で水に懸濁しない医薬品等には適用できない。
経管的に投与可能な剤形と投与法
・内用液剤(溶液剤、エリキシル剤、懸濁剤など)
栄養チューブを介した投与に最も適する剤形である。
ただし、浸透圧が高いものは希釈が必要な場合がある。
・散剤
30~50mL(最低10mL)の温水に溶解または懸濁する。
・顆粒剤
粉砕せずにそのまま栄養チューブに入れ、温水で流し込むか、温水に懸濁した後素早く栄養チューブに流し込む。
圧縮錠剤(特別ではない普通の錠剤)
細かく粉砕して30~50mL(最低10mL)の温水に溶解または懸濁する。
・硬カプセル剤
カプセルを開けて30~50mL(最低10mL)の温水に溶解または懸濁する。
顆粒状の内容物は徐放性コーティングが施されていることが多いので粉砕せずにそのまま栄養チューブに入れ、温水で流し込むか、温水に懸濁した後素早く栄養チューブに流し込む。
・軟カプセル剤
内容物は液状なので、カプセルに穴を開けて搾り出すか、シリンジで吸出し、10~15mLの温水と混合する。
簡易懸濁法に適さない薬
「内服薬経管投与ハンドブック」により簡易懸濁法の適否を確認する。
分類 | 対象 | 例 |
---|---|---|
適2 | コーティングの破壊 | パナルジン錠 |
適3 | 吸湿性などの理由により、投与直前にコーティング破壊を要する薬剤 | グルコン酸K錠2.5mEq |
条1 | チューブのサイズにより通過状況が異なる薬剤 | サビスミンSRカプセル(12フレンチのチューブで通過) |
条2 | 腸溶錠のため、チューブが腸まで挿入されている必要のある薬剤 | オメプラール錠 |
条3 | 通過状況が特異なため、通過には条件を要する薬剤 | タケプロンDO錠(温湯では添加物の影響で固化するため、常温の水で崩壊させる) |
不適 | 簡易懸濁法には向かない薬剤 ①簡易懸濁法により、徐放性が失われてしまう薬剤 ②疎水性で分散性が悪く懸濁しない薬剤 など | ①オキシコンチン錠 ②重質酸化マグネシウム |
2020年の調剤報酬改定では「経管投薬支援料」という点数も新設されたので、積極的に活用していきたい。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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