2024年11月4日更新.2,470記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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トビエース錠8mgを使っちゃいけない患者

強力なチトクロムP450(CYP)3A4阻害薬

薬剤師

トビエース錠8mgってあまり見ないよね

うちの薬局ではトビエース錠は4㎎しか置いていない。一般的には8㎎を使うこともあるのかな?
そういう薬ってよくあるよね。エディロールカプセルも0.5μgはほぼ使わないし、セレコックス錠も200㎎は使わない。アミティーザカプセルも12μgは使わない。
そういう薬が普段受け付けない医療機関から処方されたりすると、調剤ミスを起こすんだ。気をつけろ。余談ですが。

それで滅多に使わないトビエース錠8㎎の話ですが、トビエースの用法は以下のようになっている。

〈過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁〉
通常、成人にはフェソテロジンフマル酸塩として4mgを1日1回経口投与する。なお、症状に応じて1日1回8mgまで増量できる。

〈神経因性膀胱における排尿管理〉
通常、体重25kg超の小児にはフェソテロジンフマル酸塩4mgを開始用量として1日1回経口投与する。投与開始から1週間後以降に、患者の状態に応じて1日1回8mgまで増量できる。

症状に応じて8mgまで増量できる。

しかし、「用法及び用量に関連する注意」に以下のように書かれている。

重度の腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者、中等度の肝障害のある患者(Child-Pugh分類B)、又は強力なチトクロムP450(CYP)3A4阻害薬を投与中の患者では、1日投与量はフェソテロジンフマル酸塩として4mgとし、8mgへの増量は行わないものとする。

見逃していました。
腎障害や肝障害での用量制限はよく見ますが…

トビエースの添付文書の併用注意にあるCYP3A4阻害薬は以下の薬である。

アタザナビル、クラリスロマイシン、インジナビル、イトラコナゾール、ネルフィナビル、リトナビル(ブースト療法における全てのリトナビル投与を含む)、サキナビル、テリスロマイシン等

The Drug Interaction Databaseのデータでは、強いCYP3A4阻害剤として以下の薬が挙げられている。

分類医薬品名
抗ウイルス剤コビシスタット(配合剤を含む)
エルビテグラビル/リトナビル
エンシトレルビル
ニルマトレルビル/リトナビル
ロピナビル/リトナビル
リトナビル
主としてカビに作用するものポサコナゾール
ボリコナゾール
主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するものクラリスロマイシン
その他の化学療法剤 イトラコナゾール
その他の腫瘍用薬 セリチニブ
他に分類されないその他の代謝性医薬品 ロナファルニブ

強力なチトクロムP450(CYP)3A4阻害薬とか言われても、調べるデータベースで変わってきそうな気もしますが。

特に処方される可能性の高そうな、クラリスロマイシンについては、併用禁忌ではないが注意する。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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