記事
トビエース錠8mgを使っちゃいけない患者
公開. 更新. 投稿者:前立腺肥大症/過活動膀胱.この記事は約2分46秒で読めます.
1,249 ビュー. カテゴリ:強力なチトクロムP450(CYP)3A4阻害薬
トビエース錠8mgってあまり見ないよね
うちの薬局ではトビエース錠は4㎎しか置いていない。一般的には8㎎を使うこともあるのかな?
そういう薬ってよくあるよね。エディロールカプセルも0.5μgはほぼ使わないし、セレコックス錠も200㎎は使わない。アミティーザカプセルも12μgは使わない。
そういう薬が普段受け付けない医療機関から処方されたりすると、調剤ミスを起こすんだ。気をつけろ。余談ですが。
それで滅多に使わないトビエース錠8㎎の話ですが、トビエースの用法は以下のようになっている。
〈過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁〉
通常、成人にはフェソテロジンフマル酸塩として4mgを1日1回経口投与する。なお、症状に応じて1日1回8mgまで増量できる。〈神経因性膀胱における排尿管理〉
通常、体重25kg超の小児にはフェソテロジンフマル酸塩4mgを開始用量として1日1回経口投与する。投与開始から1週間後以降に、患者の状態に応じて1日1回8mgまで増量できる。
症状に応じて8mgまで増量できる。
しかし、「用法及び用量に関連する注意」に以下のように書かれている。
重度の腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者、中等度の肝障害のある患者(Child-Pugh分類B)、又は強力なチトクロムP450(CYP)3A4阻害薬を投与中の患者では、1日投与量はフェソテロジンフマル酸塩として4mgとし、8mgへの増量は行わないものとする。
見逃していました。
腎障害や肝障害での用量制限はよく見ますが…
トビエースの添付文書の併用注意にあるCYP3A4阻害薬は以下の薬である。
アタザナビル、クラリスロマイシン、インジナビル、イトラコナゾール、ネルフィナビル、リトナビル(ブースト療法における全てのリトナビル投与を含む)、サキナビル、テリスロマイシン等
The Drug Interaction Databaseのデータでは、強いCYP3A4阻害剤として以下の薬が挙げられている。
分類 | 医薬品名 |
---|---|
抗ウイルス剤 | コビシスタット(配合剤を含む) |
エルビテグラビル/リトナビル | |
エンシトレルビル | |
ニルマトレルビル/リトナビル | |
ロピナビル/リトナビル | |
リトナビル | |
主としてカビに作用するもの | ポサコナゾール |
ボリコナゾール | |
主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの | クラリスロマイシン |
その他の化学療法剤 | イトラコナゾール |
その他の腫瘍用薬 | セリチニブ |
他に分類されないその他の代謝性医薬品 | ロナファルニブ |
強力なチトクロムP450(CYP)3A4阻害薬とか言われても、調べるデータベースで変わってきそうな気もしますが。
特に処方される可能性の高そうな、クラリスロマイシンについては、併用禁忌ではないが注意する。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。