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カログラの使用期間は6カ月まで?
公開. 更新. 投稿者:下痢/潰瘍性大腸炎.この記事は約3分16秒で読めます.
3,992 ビュー. カテゴリ:α4インテグリン阻害剤
カログラは長期処方しちゃダメ?
2022年3月28日に、カログラ錠(カロテグラストメチル)という潰瘍性大腸炎の新しい薬が製造承認された。
薬効分類名は「α4インテグリン阻害剤」。エンタイビオ(ベドリズマブ)という注射剤は先に販売されていますが、経口薬ではカログラが初めて。また、同じ作用機序のタイサブリ(ナタリズマブ)という薬もありますが、効能効果は多発性硬化症です。
カログラの作用機序は以下のように記載されている。
カロテグラストメチルは生体内で活性代謝物であるカロテグラストとなり、α4β1インテグリンとVascular cell adhesion molecule-1(VCAM-1)との結合及びα4β7インテグリンとMucosal addressin cell adhesion molecule-1(MAdCAM-1)との結合を阻害することによって、T細胞を含む炎症性細胞の血管内皮細胞への接着及び炎症部位への浸潤を阻害し、抗炎症作用を発揮する。
インテグリンというのは、細胞表面の原形質膜にあるタンパク質で、細胞接着分子と呼ばれ、細胞と細胞をくっつける役割がある。この働きを阻害することにより、炎症細胞と他の細胞の接着を阻害するため、炎症を抑えることができるというわけだ。
エンタイビオ(ベドリズマブ)、タイサブリ(ナタリズマブ)などはステムが‐マブのモノクローナル抗体であるが、カログラ(カロテグラストメチル)には‐マブと付かないことから作用機序的には一線を画している。
効能効果は、「中等症の潰瘍性大腸炎(5-アミノサリチル酸製剤による治療で効果不十分な場合に限る)」となっている。
ペンタサやアサコールなどの5ASA製剤で効果不十分な患者に使用する。
また、
本剤と他の免疫抑制剤の併用について臨床試験は実施していないため、本剤との併用を避けること。
と記載されているので、アザニン/イムランなどとの併用は不可。ステロイドもダメかな。
カログラの投与期間
投与期間については、以下の2つの文が記載されている。
8週間投与しても臨床症状や内視鏡所見等による改善効果が得られない場合、本剤の継続の可否も含め、治療法を再考すること。
他のインテグリン拮抗薬であるナタリズマブ(遺伝子組換え)においてPMLの発現が報告されている。本剤のPML発現リスクを低減するため、投与期間は6ヵ月までとし、6ヵ月以内に寛解に至った場合はその時点で投与を終了すること。また、本剤による治療を再度行う場合には、投与終了から8週間以上あけること。
まず、8週間=約2カ月で効果を検証して、最長で6カ月までの投与期間となる。
PMLってなんだ?と知りませんでしたが、PML=進行性多巣性白質脳症のことらしいです。
PMLは脳のオリゴデンドロサイトにJCウイルスが感染して死に至らしめ、その結果髄鞘崩壊(脱髄)が起きて発症する疾患です。
JCウイルスは通常多くの人が感染(潜伏感染)していますが(日本人では健常者の70%以上)何も症状を示しません。
生命予後が非常に悪い疾患とのことなので、注意が必要です。
カログラ服用によるPML(進行性多巣性白質脳症)発症報告はなく、免疫抑制剤によるウイルス増殖という意味では、他の免疫抑制剤でもリスクはあります。アザニン/イムラン、ネオーラル、プログラフなどにもPMLの副作用記載はあるので、免疫抑制剤の長期服用に関してはいずれの薬でも注意が必要です。
1回8錠
カログラの一番のネックは、1回8錠飲まなければいけないということだ。
用法は以下の通り。
通常、成人にはカロテグラストメチルとして1回960 mgを1日3回食後経口投与する。
1錠が120㎎なので、1回8錠。それを1日3回。錠剤の大きさは、長径 約17.0mmとあり、かなり大きい。それを1回8個。
しかも、
本剤は吸湿性が強いので、アルミピロー包装開封後は湿気を避けて保存し、服用直前までPTPシートから取り出さないこと。また、保存に際してPTPシートを破損しないよう注意すること。
となっており、一包化はできない。シートから8錠取り出して毎回服用する。
包装単位は「336錠」だが、1日24錠使うので、2週間分だけである。かさばる。棚を1つ埋め尽くしそう。
これで薬価も高かったら、ちょっと敬遠するかな。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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