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アロマターゼ阻害薬と関節痛
公開. 更新. 投稿者:癌/抗癌剤.この記事は約3分41秒で読めます.
3,738 ビュー. カテゴリ:アロマターゼ阻害薬と関節痛
アロマターゼ阻害薬で骨折や関節痛を起こすことがある。
作用機序として低エストロゲン状態による軟骨代謝異常や軟骨滑液の粘性の変化が考えられる。
アリミデックスを内服中の患者は、骨密度が毎年約2%低下することが報告されている。
アリミデックスでは、起床時に手がこわばるといった関節痛が約40%の患者に出現する。内服開始後2か月以内に発現することが多い。
乳がん治療薬には、抗エストロゲン薬のノルバデックス、フェアストンと、アロマターゼ阻害薬のフェマーラ、アリミデックス、アロマシンといった薬がある。
アロマターゼ阻害薬の副作用として、脂質代謝異常、更年期様症状、骨代謝異常などに注意が必要です。
特に長期のアロマターゼ阻害薬療法では、骨折、骨量減少はQOLを大きく下げるため、定期的な骨塩量を測定することが望ましいです。
また、関節痛の多くは投与開始3ヶ月以内に、起床時や安静後の関節を使い始めた時に手指に多く発現することがあるので注意が必要です。
一方、抗エストロゲン薬のノルバデックスなどは、骨粗鬆症に使われるSERM(エビスタ、ビビアント)と同様の機序を有し、骨折を予防するというアロマターゼ阻害薬とは逆の働きが見られる。
アロマターゼはCYP19?
乳がん治療に使われるアロマターゼ阻害薬。
そのアロマターゼという男性ホルモンを女性ホルモンに変える酵素はチトクロムP450の仲間らしい。
CYP19。
じゃあCYP19で代謝される薬とかあったら、相互作用がマズいんじゃないかとか思ったら、そんな薬はありませんでした。
添付文書でアリミデックスの相互作用を調べても、何も書いてないし。
アロマターゼはチトクロムP450(CYP450)ファミリーに属する酵素です。
CYP450は解毒、ステロイド・脂肪酸代謝にかかわる酵素であり、酸素とNADPHを使用して基質を水酸化します。
またCYP450は活性部位に鉄原子を含むヘム色素を有し、膜酵素として小胞体・ミトコンドリア膜に存在します。
アロマターゼはこれらの特性を共有していますが、他のCYP450との相同性はかなり低く、もっとも近いものでもアミノ酸配列レベルで20%程度の相同性しか有しま
せん。
それゆえ、アロマターゼ阻害薬は他のCYP450を阻害する可能性が低く、副作用の面で有利と考えられます。
手根管症候群とエストロゲン
関節痛とエストロゲンの関係については、よく知られている。
手根の関節や筋肉にもエストロゲン受容体があり、機能の維持に関与している。
このため、エストロゲンの分泌低下により、手指などの関節の痛みや腫れなどが生じることがある。
エストロゲンが低下すると、関節や腱の周りにある滑膜という組織が腫れます。
関節の滑膜が腫れれば、関節炎が起こりやすく、腱の周りの滑膜が腫れれば、腱鞘炎やそばにある神経を圧迫してしびれが起こりやすくなります。
ヘバーデン結節やブシャール結節、ばね指・腱鞘炎、ドケルバン病、手根管症候群は、全てエストロゲンの低下が引き金となって起こっています。
手指管症候群は、起床時に手指のしびれや痛み、こわばりがみられることが特徴で、手指の正中神経が手首にある手根管で圧迫されるために生じます。
骨折や腫瘍などの明らかな原因がない場合には、ホルモンバランスの乱れによる滑膜性の腱鞘の浮腫により生じると考えられている。
手根管症候群はOKサインができない?
手根管症候群は示指(人差し指)と中指を中心に、環指の中指側や母指(親指)の示指側がしびれるといった特徴があります。進行すると母指球(母指の付け根)が痩せてきて、母指と示指で輪を作ろうとしても指がずれて、できなくなります。
そのため、OKサインなどを作るのが難しくなります。
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