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腎機能低下で骨粗鬆症?
公開. 更新. 投稿者:骨粗鬆症.この記事は約7分37秒で読めます.
3,492 ビュー. カテゴリ:腎機能低下で骨粗鬆症
腎機能が低下すると骨がもろくなる?
腎機能が低下すると骨粗鬆症になる。これは副甲状腺ホルモンの働きがポイントとなっている。
副甲状腺ホルモンは骨、腸管、腎臓に作用して、血液中のリンとカルシウムの濃度を一定に保つ役割を担っています。
単純に言えば、副甲状腺ホルモンは血中カルシウムを増やし、血中リンを減らす働きがある。
腎機能が低下すると、血液中にリンが蓄積する。リンが蓄積すると、副甲状腺ホルモン(PTH)が分泌され、尿細管におけるリンの再吸収を低下させ、尿中へのリン排泄を増加させる反応が生じる。
また、腎機能が低下すると、腎臓で活性化されるビタミンDの働きが障害されるため、カルシウムが体内に吸収されず、血液中のカルシウム濃度が低下します。低カルシウム血症になると、副甲状腺ホルモンが分泌され、骨を溶かし血中カルシウムを上げます。
過剰に分泌された副甲状腺ホルモンは骨に作用してカルシウムとリンを骨から必要以上に溶かし出し、これらの血液中の濃度を上昇させます。
そして骨はスカスカの骨粗鬆症になっていきます。
CKDとビタミンD
ビタミンDは肝臓で25位が、腎臓で1位が水酸化されて活性型ビタミンD₃となります。活性型ビタミンD₃は、腸管からのCaやリンの吸収促進、腎尿細管におけるCaの再吸収促進、副甲状腺ホルモンの合成・分泌の抑制などの作用により血中Ca濃度を維持しています。
腎機能が低下すると腎臓での活性化が障害され、食事由来や皮膚で合成されたビタミンDが活性化できないので活性型ビタミンD₃製剤が必要となります。活性型ビタミンD₃製剤は、1位のみ水酸化されたアルファカルシドール(ワンアルファ、アルファロール。肝臓で25位の活性化が必要)と、1位も25位も活性化されたカルシトリオール(ロカルトロール)が比較的よく処方されます。
副甲状腺ホルモン製剤と骨粗鬆症
副甲状腺ホルモン製剤として、フォルテオやテリボンといった骨粗鬆症の薬があります。
骨が壊される過程を骨吸収といい、骨が新たしく作られる過程を骨形成といい、骨形成は骨芽細胞の働きによって行われます。
副甲状腺ホルモンは骨吸収を促進することで血液中のカルシウム濃度を上げます。
これはこのホルモンによって骨のカルシウムが血液中に溶け出しているからであり、常に副甲状腺ホルモンがある場合では骨吸収が継続して骨がもろくなります。
副甲状腺ホルモンは血中カルシウム濃度を維持する役割のホルモンであり、ずっと分泌されていると、骨からのカルシウムが溶け出し続けるため、骨粗鬆症になってしまう。
しかし、副甲状腺ホルモンを断続的に途切れ途切れで投与し、一時期的に副甲状腺ホルモンの濃度を高めると骨芽細胞が増加し、骨形成が促進されることがわかっています。
断続的に途切れ途切れで、間欠投与、といってもテリボンは週1回製剤なのでわかるが、フォルテオは連日投与なので、それほど間欠?と思ってしまう。
しかしまあ、これで効果があるわけだから、フォルテオを使って逆に骨粗鬆症が進行するようなことは無いのだろう。
カルシウム受容体作動薬と骨粗鬆症
副甲状腺ホルモン関係の薬として、フォルテオ、テリボンといった副甲状腺ホルモン製剤以外に、レグパラやオルケディアといったカルシウム受容体作動薬がある。
副甲状腺細胞表面のカルシウム受容体に直接作用することで、血清カルシウム値を上昇させずに副甲状腺ホルモンの分泌を抑制する働きがあります。
腎臓の働きが低下するとビタミンDの活性化障害が起きて、カルシウムが吸収できなくなり、低カルシウム血症となります。
低カルシウム血症は副甲状腺ホルモンを刺激します。副甲状腺ホルモンは骨に作用してカルシウムを動員して血液中のカルシウム濃度を維持しようとします。
このため、骨がもろくなり、骨折を招きやすく、骨痛、関節痛がでてきます。
レグパラの効能効果は、「維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」と「副甲状腺がん等による高カルシウム血症」です。
低カルシウム血症から高カルシウム血症になるメカニズムと、高カルシウム血症で骨折になりやすくなるという部分が理解しにくいところです。
◆シナカルセト治療で骨折の危険性は減少
以下の結果が得られました。
臨床的な骨折は、プラセボにランダムに分けられた患者では1,935人中255人(13.2%)、シナカルセトにランダムに分けられた患者では1,948人中238人(12.2%)であった。
ベースラインの特性や複数回の骨折で調整すると、相対ハザードは0.83(95%信頼区間0.72-0.98)であった。透析治療を受けている患者が、シナカルセトを服用すると骨折の危険性が減少したという結果でした。
透析患者の骨折予防にシナカルセト – MEDLEYニュース
有意な差なのかどうかよくわかりませんが、骨折予防に有効なようです。
「レグパラは骨折を予防する薬です」と言えばわかりやすい。
しかしそれだけではない。
副甲状腺ホルモンには骨からのカルシウム流出(骨吸収)を促進する作用があるため、これが過剰産生・分泌されることで、骨痛や関節痛を伴う「線維性骨炎」や、動脈硬化などの心血管系障害の原因にもなる「異所性石灰化」(骨以外に石灰化が起こる病態)を引き起こす。
透析患者の死因の上位を占める心血管障害の原因となる動脈硬化を防ぐための薬でもある。
これらは透析患者の二次性副甲状腺機能亢進症に使われる。
二次性副甲状腺機能亢進症とは、慢性腎不全の進行に伴って発症する、透析患者にとって主要な合併症の一つであり、副甲状腺から副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に産生・分泌された状態をいう。
腎臓は尿を排泄する臓器で、血中のミネラルバランスをコントロールする臓器。副甲状腺ホルモンが血中のカルシウム濃度の維持に関係しているため、腎臓の働きと副甲状腺ホルモンは密接に関係している。
特に維持透析下では、腎機能低下によるリン貯留やビタミンD活性化障害のために、二次性副甲状腺機能亢進症が頻発することが知られている。
副甲状腺ホルモンには骨からのカルシウム流出(骨吸収)を促進する作用があるため、これが過剰産生・分泌されることで、骨痛や関節痛を伴う「線維性骨炎」や、動脈硬化などの心血管系障害の原因にもなる「異所性石灰化」(骨以外に石灰化が起こる病態)を引き起こす。
二次性副甲状腺機能亢進症により骨粗鬆症が引き起こされることもあるが、これに対してフォルテオなどの副甲状腺ホルモン製剤を使うとどうなるのだろうか?
フォルテオの禁忌には、
・高カルシウム血症の患者[高カルシウム血症を悪化させるおそれがある。]
・骨粗鬆症以外の代謝性骨疾患の患者(副甲状腺機能亢進症等)[症状を悪化させるおそれがある。]
とあるため、使われることはないのだろう。
レグパラでリン低下?
リオナなどの高リン血症治療薬を飲んでいて、効かなかった患者にレグパラが処方されることがあった。
レグパラが高リン血症治療薬の代わりになるのか?
透析患者の場合、尿によるリンの排泄ができなくなるので、高リン血症になりやすい。
高リン血症は二次性副甲状腺機能亢進症を誘発し、PTHが上昇しやすくなります。
PTHは破骨細胞を活性化するので、骨が溶けてくる。
そのため、骨の成分である「カルシウム」と「リン」が血液中に溶けだします。
レグパラがカルシウムだけでなく、リンを低下する働きがあるのは、PTH分泌を抑制することで破骨細胞の働きを抑制し、骨からのカルシウムとリンの溶けだしを低下させるためです。
副甲状腺ホルモン(PTH)過剰による骨吸収亢進を抑制するため、PTH分泌抑制薬としてカルシトリオール、マキサカルシトールの注射製剤、およびファレカルシトリオールの経口製剤が使用されてきたが、より直接的なPTH分泌抑制薬として、副甲状腺のカルシウム受容体を直接刺激してPTH分泌抑制作用を示すシナカルセトが頻用されるようになってきている。
またPTHの骨吸収促進作用を抑制する目的でビスホスホネートや選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)が使用されているが、腎機能低下患者使用時の安全性は保障されていない。
レグパラ錠25mg 2錠
1日2回朝夕食後 30日分
レグパラと吐き気
レグパラの副作用に吐き気というのがある。
これで中止になるケースも多い。
(5%以上)
悪心・嘔吐 (25.1%)、胃不快感 (17.1%)、食欲不振、腹部膨満
かなり高い割合。
必発と考えていいかも。
もっとも一般的に見られる副作用が吐気や嘔吐です。これは、この薬剤を服用した後に起きうる副作用ですが、これまでの治験の経過では、この吐気や嘔吐というのは全体の10人に1人~2人程度に現われていました。この吐気に関しては通常の制吐剤を用いれば通常は抑制が可能です。副作用の特徴としては投与量が増量すると、それだけ発現する可能性が高くなってまいります。しかし、投与を続けますと、こうした吐心・嘔吐は次第に消失して、ほとんどの患者様でこの薬剤の投与が可能でした。
シナカルセト塩酸塩使用上の注意
嘔吐ってのはしんどい副作用なので、続ければ軽減されるとわかっていてもノンコンプライアンスに陥りがち。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。