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フォシーガが心不全に効く?
公開. 更新. 投稿者:糖尿病.この記事は約3分22秒で読めます.
8,073 ビュー. カテゴリ:SGLT2阻害薬と心不全
SGLT2阻害薬は心不全にも効くの?
SGLT2阻害薬の適応症一覧(2022年1月更新)
SGLT2阻害薬 | 適応症 |
---|---|
スーグラ | 2型糖尿病、1型糖尿病 |
フォシーガ | 2型糖尿病、1型糖尿病、慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。)、慢性腎臓病(ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。) |
ルセフィ | 2型糖尿病 |
アプルウェイ | 2型糖尿病 |
デベルザ | 2型糖尿病 |
カナグル | 2型糖尿病 |
ジャディアンス | 〈ジャディアンス錠10mg・25mg〉2型糖尿病、〈ジャディアンス錠10mg〉慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。) |
アメリカでは、SGLT2阻害薬のフォシーガ(ダパグリフロジン)に心不全の適応があるらしい。
日本でも適応追加の申請中である。(2020年12月に適応追加された)
作用機序としては、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の生理活性を高めることで心臓の負荷を軽減させると考えられています。
心不全は、心臓が収縮する直前に心室に流入する血液による容量負荷(前負荷)と、心臓が収縮した直後に心筋にかかる圧負荷(後負荷)などの異常から成る。SGLT2阻害薬はこの療法を改善するとされる。
SGLT2阻害薬によって、300~400mL/日の尿量増加がみられるという。つまり、血糖降下薬としてだけでなく、利尿薬としてもとらえると理解しやすい。
もともと血糖値が下がれば血管イベントは減少するのは当然ともいえる。
SGLT2阻害薬は、ナトリウム利尿作用や浸透圧利尿作用に加え、代謝や心筋エネルギー改善、神経液性因子改善、心筋炎症・酸化ストレス改善、血管内皮機能改善など、多面的に心不全抑制効果を示すと考えられている。
フォシーガの心不全に対する用法用量1)
通常、成人にはダパグリフロジンとして10mgを1日1回経口投与する。
ジャディアンスの心不全に対する用法用量2)
通常、成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。
フォシーガの糖尿病に対する用量は5~10㎎、心不全に対する用量は10㎎。
ジャディアンスの糖尿病に対する用量は10㎎か25㎎、心不全に対する用量は10㎎。
糖尿病だから、心不全だから、という理由で用量の大小は無いので、それぞれの医薬品で適応症と用量を確認しておく。
飲水指導に関する注意
夏場の暑い日が続く中、SGLT2阻害薬による尿量増加に伴う脱水は非常に危険である。
1日に、500mLのペットボトル1本分の無糖の水分を、普段より多く摂取するようにする。
というのが通常のSGLT2阻害薬投与開始時の飲水指導であるが、うっ血症状を訴える心不全患者に対しては、過度な飲水により体液貯留が悪化する恐れもあるため、一律に水分摂取を指導しない。
フォシーガやジャディアンスが慢性心不全に対して処方されている場合は、水分をとりすぎると、心不全が悪化することがあるため、必要に応じ医師の指示を受けるように指導する。
2型糖尿病に対して処方されている場合は、脱水を予防するために、こまめに水分補給するよう指導する。
SGLT2阻害薬でやせる
SGLT2阻害薬でやせるという。
SGLT2阻害薬は、腎臓でのグルコース再吸収を抑制することで体内の余分な糖を尿と一緒に排出する経口薬です。
糖尿病治療薬の多くがインスリンに作用する薬剤なのに対し、新しい切り口の薬剤となる。
SGLT2阻害薬が脂肪減少作用や糖排泄時の浸透圧利尿作用を有することから、血糖降下作用だけでなく体重や血圧への好ましい影響がある。また、罹病期間が長い患者ではケトアシドーシスのリスクが高まる恐れがあるため、インスリン分泌が保たれている発症早期の患者が適している。
糖の再吸収を抑制するということで、その分カロリーが出ていく。やせ薬としての効果も期待できるわけです。
SGLT-2は腎でのグルコースの再吸収の90%を担っており、残りの10%をSGLT-1が担っている。
SGLT-2を阻害すると1日当たり50〜80gの血糖が尿中に排出されるという。これは200〜300カロリーに相当する。
加えて浸透圧的利尿により、血圧が低下する。体重減少の2⁄3が排出されたグルコースを補うために分解された脂肪組織によるもので、残り1⁄3は水分であるとされる。
低炭水化物ダイエットと同じような効果が見込める。
代わりに脂肪がエネルギーとして使われるのでケトアシドーシスに注意が必要。
他に副作用としては、尿に糖が入っていると菌が増殖しやすくなり、尿路感染症のリスクが高まる。
尿に糖が入っていると、浸透圧の関係で脱水を起こしやすくなる。
フレイルリスクに注意
SGLT2阻害薬の体重減少には注意も必要です。
体重減少は脂肪量だけでなく筋肉量も減少させる可能性があり、高齢者ではフレイルのリスクとなる。
活動性の高い高齢者もいるが、食事摂取量の低下や体重減少など低栄養リスクの恐れのある高齢者では、SGLT2阻害薬の使用は控えた方がよいかもしれない。
参考文献
1)フォシーガ 添付文書
2)ジャディアンス 添付文書
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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