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尿蛋白陽性の原因は腎機能低下?
公開. 投稿者:腎臓病/透析.この記事は約2分18秒で読めます.
1,598 ビュー. カテゴリ:尿蛋白が出る原因
私は健康診断で尿蛋白が陽性になることがよくある。
腎機能が低下しているのかも知れないが、基本的に現実を直視したくないので、「精液が混入したのだろう」程度にしか思わないようにしている。
尿に蛋白を認めることで、腎・尿路系のどこかに異常があることはまちがいない。しかし腎臓の病気があるとはいえない。
腎臓そのものに病気がなくても尿中に蛋白の認められることはそう珍しいことではない。
良性蛋白尿
腎臓が悪くなくても出る蛋白尿には以下のようなものがある。
①食餌性蛋白尿:大量の蛋白質を摂取した時にみられる
②熱性蛋白尿:発熱時に一時的にみられる
③運動性蛋白尿:激しい運動後にみられる
④冷水浴後蛋白尿:冷水浴後 一時的にみられる
⑤痙攣性蛋白尿:痙攣発作中にみられる
⑥心臓性蛋白尿:心不全のさいみられる
⑦起立性(体位性)蛋白尿:起立性体位によって蛋白尿をきたし、横になることにより蛋白尿の消失するもの
一時的に出てくる蛋白尿として過激な運動、月経前、精神的ストレス、多食の肉食、熱い湯での入浴後、また小児に多く見られる起立性蛋白尿(起立時に出現し、安静時には消失する)があるが、いずれも蛋白量は少量です。
尿蛋白の分類
尿蛋白には起立時や立位で背中を後方へ反らす体位をとったときに出現する体位性蛋白尿や、運動・高熱・精神緊張などが原因で発生する機能性蛋白尿といった生理的なものと、腎の障害などに伴い生じる病的蛋白尿に分けられます。
病的蛋白尿は、①腎前性、②腎性、③腎後性に分類されます。
①腎前性蛋白尿
腎臓が正常な状態で、腎臓以外に炎症や腫瘍が存在すると、ここでの蛋白産生増加、細胞透過性の亢進あるいは組織破壊により臓器、組織特異的な成分が血中に放出されます。このうち分子量がアルブミン未満の低分子のものは、腎臓の糸球体基底膜を通過し尿細管の再吸収能を上回ると尿中への排泄が増加します。これらはしばしば糸球体、尿細管腔に沈殿し、それ自体が腎機能低下の原因となります。
例)多発性骨髄腫、溶血、横紋筋融解症など
②腎性蛋白尿
腎臓の糸球体は血液を濾過する際に、血中の蛋白質を尿へ排泄しないようにフィルターとして働いていますが、この機能が破綻することにより、尿中へ蛋白質を多く排泄するようになります。
・糸球体性蛋白尿
基底膜の小孔のサイズと糖蛋白の膜の陰性荷電により、高分子量蛋白は糸球体毛細管壁を通過しにくくなっていますが、糸球体腎炎などではその構造と機能が変化して高分子量蛋白が糸球体を通過しやすくなり、糸球体性蛋白尿を生じます。アルブミン主体の高分子量蛋白が大部分を占めます。
例)ループス腎炎、糖尿病性腎症、アミロイドーシス、糸球体腎炎、腎硬化症など
・尿細管性蛋白尿
低分子量蛋白は糸球体を容易に通過しますが、近位尿細管で再吸収されます。しかし、尿細管が障害されると低分子量蛋白が再吸収されず、尿細管性蛋白尿を生じます。
例)先天性尿細管疾患、重金属中毒、薬物(抗生物質、鎮痛薬)、間質性腎炎
③腎後性蛋白尿
尿路(尿管、膀胱、尿道)のいずれかの炎症、腫瘍、結石などで尿に蛋白が混入するものをいいます。
例)尿路感染症、尿路結石、膀胱腫瘍など
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