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心膜炎にコルヒチン?
公開. 更新. 投稿者:心不全/肺高血圧症.この記事は約2分31秒で読めます.
5,039 ビュー. カテゴリ:急性心膜炎とコルヒチン
急性心膜炎の再発予防にコルヒチンが使用されている。
急性心膜炎に対するコルヒチンの作用機序はいまだ解明されていないが、好中球遊走抑制による炎症性サイトカイン産生抑制と推測されている。
コルヒチンは痛風治療薬として古くから使用されており、その作用機序は、好中球の走化性因子(ロイコトリエンB4、インターロイキン8)に対する反応性を著名に低下させることにより痛風発作を抑制するとされている。
しかし、下痢や血液障害などの副作用リスクがあるため、痛風発作の予防薬としての処方は少なくなっている。
コルヒチンの投与量は、多くの試験で体重70kg以下では0.5mgを1日1回、70kg以上では0.5mgを1日2回に設定されている。
治療期間は、初発の急性心膜炎では3か月、再発性・頻発性心膜炎では6か月に設定されていることが多いが、治療終了後に再発している症例もある。
そのため、より長期の投与により、予防効果が継続する可能性が示唆されている。
副作用については、痛風に対する適応(3~4mg/日)より低用量での使用のため、発現頻度は低いと報告されている。
ただし、下痢などの消化器症状や末梢神経障害、横紋筋融解症、長期投与による血液障害や肝・腎障害などの副作用に注意する必要がある。
なお、コルヒチンの効能効果は「痛風発作の緩解及び予防」のみのため、心膜炎の再発予防での使用は適応外となる。
心膜炎
心膜炎は心膜の炎症であり、ウイルス・細菌感染、心筋梗塞、外傷、腫瘍といった様々な原因により生じるが、特発性も少なくない。
急性心膜炎は胸痛や心膜摩擦音を引き起こし、ときには呼吸困難を伴い、心拍出量が大きく減少することがある。
原因の精査と心タンポナーデなどの合併症を検索するため、初期治療は入院で行う場合がある。
治療内容は原疾患により異なるが、一般的には鎮痛薬、抗炎症薬を内服し、手術を行うケースもある。
特発性心膜炎患者のうち15~25%は、数か月または数年にわたって症状が間欠的に再発するといわれている。
参考書籍:日経DI2016.10
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