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抗コリン薬で頻尿悪化?
公開. 更新. 投稿者:前立腺肥大症/過活動膀胱.この記事は約3分42秒で読めます.
3,414 ビュー. カテゴリ:溢流性尿失禁
抗コリン剤が蓄積していくと、過活動膀胱を治療することを通り越して、だんだん出にくくなり、今度は排尿困難症状を引き起こし、残尿が多くなることがあります。
残尿量が多いと膀胱がいっぱいになり、膀胱内圧が高くなります。
膀胱内圧が尿道内圧を超えた時、お風呂の水が溢れるように、数滴尿道から溢れ出ます。これが溢流性尿失禁です。
尿が漏れますが、実際は残尿が溢れている状態で、じわじわ少しずつ漏れる、夜寝ているうちに漏れるといったことが特徴です。
高齢者では膀胱の収縮力が低下していることが多く、抗コリン薬の投与で溢流性尿失禁を起こしやすいです。
頻尿は良くなったけれど、尿漏れする、という事態になります。
低活動膀胱に使う薬
高齢化による膀胱排尿筋の収縮力低下に伴う低活動膀胱には、抗コリン薬を使うと、排尿筋である膀胱平滑筋を弛緩させるため、低活動膀胱をさらに悪化させてしまう。その結果、膀胱内の残尿が尿道からあふれて漏れ出る溢流性尿失禁を来し得る。
低活動膀胱などの排出障害の治療には、ベタネコール塩化物(ベサコリン)やジスチグミン臭化物(ウブレチド)などのコリン作動薬のほか、タムスロシン塩酸塩(ハルナール)、ナフトピジル(フリバス)、シロドシン(ユリーフ)、ウラピジル(エブランチル)などのα1遮断薬が用いられる。
ベタネコールは、膀胱平滑筋のムスカリン受容体に働き、膀胱平滑筋の収縮力を強めることで低活動膀胱の状態を改善する。
一方、ウラピジルは、尿道平滑筋のα1a受容体を遮断することで尿道平滑筋を弛緩し、下部尿路閉塞を解除する。
ベタネコールはニコチン作用を弱いながらも有するため、尿道平滑筋を収縮させて逆に残尿を増加させる場合がある。
そのため、尿道抵抗を弱めるウラピジルがしばしば併用される。
実際、排尿筋低活動患者において、コリン作動薬とウラピジルの併用療法が、各単独療法に比較して有効性が高いことが報告されている。
抗コリン薬で頻尿が悪化
抗コリン薬の副作用に口渇というのがあります。
最近の抗コリン薬の場合、口渇や便秘などが少なくなったとはいえ、それらがまったくないとはいえません。
口渇を感じた時に多量に水を飲んでしまうと、畜尿量が増えて症状が悪化しかねません。
飴やガムで唾液の分泌を促す、加湿器を使って室内の乾燥を防ぐといったアドバイスが必要です。
抗コリン薬で尿漏れは治るか?
薬剤使用は重要であるが、薬剤の内服だけで排尿の症状は改善しない。
排尿のトラブルは生活習慣と密接に関係している。
飲水、運動などの生活指導で排尿症状が良くなることは昔から知られている。
患者さんは頻尿であるのにカフェイン、アルコールの過剰摂取をしている方も少なくない。
また、血液粘張度を低くする、という目的で過剰に飲水している方もいる。
粘張度は血液中の脂質、糖質による影響の方が大きいので、口渇を感じられる方は脱水にさえ気をつければ粘張度が高くなる心配はないので、過剰な飲水は避ける。
また、夜間頻尿の方の多くは夜間多尿である。
これらには夕方からの飲水を控える、入浴の際にシャワーだけでなく浴槽に20分位浸かる、散歩を30分位する、下肢が浮腫む方はストッキングをはく、昼間に短い昼寝をする、日光浴などで改善する。
さらに、骨盤底筋訓練は男性にも女性にも有効である。
こちらは体幹の筋肉との関連も示唆されている。
ジョギング、水中ウォーキングなどとともに骨盤底筋訓練もお勧めする。
夜間頻尿の原因は睡眠障害?
夜間頻尿の原因は様々ですが、その中に睡眠障害やうつなどの心療内科的疾患が原因で夜間トイレに行く場合もあるといいます。
トイレが近いから眠れない、ではなく、眠れないからトイレが近い、ということもあるらしい。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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