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寝る前に飲む薬、寝る直前に飲む薬
公開. 更新. 投稿者:睡眠障害.この記事は約3分36秒で読めます.
9,302 ビュー. カテゴリ:就寝前と就寝直前
睡眠薬の用法で、「就寝前」と記載されている場合と、「就寝直前」と記載されている場合がある。
「寝る前」と「寝る直前」の違いは何か?
人によってその言葉の解釈は違うのだろう。
しかし、私個人としては、どっちも同じ。
厳密に言えば、寝る直前とは、ベッドサイドに薬と水を準備して、飲んでそのまま寝る。コップも出しっぱなしで寝る。というのが寝る直前なのだろうとも思うが、きっと自分が飲むとすれば、キッチンで薬を飲んでから、寝室に行って寝る、という形でも「寝る直前」と解釈する。
基本的に用法が「就寝前」でなく、「就寝直前」である薬は、それだけ、服用後のめまい・ふらつきに注意すべき薬であると考えられる。
しかし添付文書上、「就寝直前」という用法なのは、マイスリーとベルソムラだけである。
ベルソムラも就寝直前とするのであれば、ハルシオンやレンドルミンといった、超短時間&短時間型の睡眠薬も、就寝直前という用法にすべきかとも思う。
ただ、「用法及び用量」ではなく、「用法及び用量に関連する使用上の注意」に、
本剤は、就寝の直前に服用させること。また、服用して就寝した後、睡眠途中において一時的に起床して仕事等をする可能性があるときには服用させないこと。
と、どの睡眠薬にも記載されている。
結局、どの睡眠薬も寝る直前に飲むべきなので、「就寝直前」の用法が正しい。
とにかく、睡眠薬を飲んだ後にテレビを見たり、本を読んだりという行為は好ましくない。
飲んだらすぐに寝ましょう。
就寝直前に飲む理由
睡眠薬を寝る直前に飲む理由として、「ふらつきによる転倒防止」という理由以外に「記憶障害による過量服用防止」というのが挙げられる。
記憶の形成は、海馬CA1領域にあるグルタミン酸作動性の錐体神経によって制御されている。
GABAA受容体は、海馬CA1領域に存在するグルタミン酸作動性神経にも発現しており、GABAがこの神経を抑制することで、記憶や認知機能を負に調節する。フルニトラゼパムによりGABAの作用が増強すると、グルタミン酸作動性神経が過剰に抑制され、認知機能が低下することで健忘症が引き起こされる可能性がある。
実際、成人女性を対象とした臨床試験結果より、通常の服用量である1mgのフルニトラゼパムを経口投与した被験者の55%が、服用後20~30分で記憶力が低下しはじめることが報告された。
薬の効果が現れ記憶があいまいになると、服用したことを忘れ、過剰摂取する危険性が高まるため、服用したらすぐに布団に入ることが望ましい。
マイスリーは就寝直前に飲む?
睡眠薬の用法は、だいたいが「就寝前」。
処方せんの用法も、「就寝前」の記載がほとんど。
しかし、マイスリーの用法は、「就寝直前」となっている。
そもそも就寝前とはいつなのか。
寝るおよそ30分前
食前、もそうだが、30分前という説明がスタンダードらしい。
しかし、実際、睡眠薬を飲んでから30分もウロウロしたり、テレビを見たりしていたら、ふらついて危なかったり、効果がみられなかったりする。
特に超短時間作用型の睡眠薬は、寝る直前に飲むべきだろう。
マイスリーは、筋弛緩作用が弱いから、ふらつきが少ないハズ、だけど。
添付文書をよくみたら、使用上の注意の部分に「不眠症には,就寝の直前に服用させること.」ってほとんどの睡眠薬に書いてあった。
長時間作用型のドラールなんかにも書いてある。
睡眠薬は就寝直前に飲もう。
マイスリー錠5mg 1錠
1日1回就寝直前 30日分
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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