記事
ナイキサンは腫瘍熱に効く?
公開. 更新. 投稿者:癌/抗癌剤.この記事は約2分32秒で読めます.
7,752 ビュー. カテゴリ:ナイキサンと腫瘍熱
癌患者の発熱に、ナイキサンが処方されるのをたまにみかける。
ナイキサンは、NSAIDsの中で最も腫瘍熱によく効くといわれている。
ナイキサンの適応症は以下の通り、
○下記疾患の消炎、鎮痛、解熱
関節リウマチ、変形性関節症、痛風発作、強直性脊椎炎、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱・腱鞘炎、月経困難症、帯状疱疹
○外傷後並びに手術後の消炎、鎮痛
○歯科・口腔外科領域における抜歯並びに小手術後の消炎、鎮痛
腫瘍熱とは書かれていない。
そもそも腫瘍熱という効能効果を持つ薬は無い。
そもそも腫瘍熱のメカニズムもよくわかっていないようなのですが、癌自体から産生されるサイトカインと呼ばれる炎症物質により、プロスタグランジン(PG)を誘導して発熱するといわれています。
じゃあ、NSAIDsは全般的に効きそうな気がしますが、ナイキサンがよく効く。
そもそも抗癌剤を使っている患者であれば、抵抗力が落ちているので、感染症の可能性も高い。
感染症による発熱なのか、腫瘍熱なのかを判別するのも難しい。
しかも、腫瘍自体は無くなるわけではないので、腫瘍熱は再発しやすい。
腫瘍熱か感染症による発熱かの鑑別にナイキサンテストが行われることからしても、腫瘍熱にはナイキサンという処方は標準となっている。
CQ7)ナプロキセン(ナイキサン)テストとはどういうものでしょうか?
1984年Changらは腫瘍熱が強く疑われる患者でナプロキセン投与による解熱効果を検証しました。身体診察や検査から感染症の存在を除外した上でナプロキセンを1回250mg 1日2回投与を行いました。腫瘍熱の患者では15人中14人がナプロキセンに反応し12時間以内に解熱したのに比べ、感染症の患者5例はいずれも反応はなく、膠原病の患者2例はpartial responseを認めました。腫瘍熱のまとめ : 感染症科医の悩みーはなむしのページ-
感染症による発熱に効かない、ってのも解熱剤的にどうなんだろう?と思ってしまいますが。
とにかく、薬剤師的には「ナイキサンの処方を見たら腫瘍熱を疑え」です。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。