更新日:2017年1月10日.全記事数:3,087件

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咳止めにプロトンポンプ阻害薬?


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咳にPPI

長期化する咳には、副鼻腔炎による後鼻漏、気管支端息、喫煙による慢性気管支炎や気管支拡張症などが関与していることが多い。
これに加えて近年、注目されているのが胃食道逆流症(GERD)に伴う慢性咳嗽である。

GERDは、欧米人に比べて日本人には少ない疾患であったが、食生活の欧米化などにより増加傾向にある。
GERDは、2005年の世界消化器病学会で「胃内容物の逆流により、苦痛、不快を伴う症状や合併症を起こす疾患」と定義された。
胸焼け、嚥下障害など食道に関わる症状の原因となるほか、嚥下性肺炎、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性咳嗽などの呼吸器疾患を発症または増悪させる原因にもなることが知られている。
食道と気道は、ともに前腸から発生しているため、両者の関連は深いと考えられている。

GERDのうち 胸焼けや胸痛などの典型的症状がなく、咳l嗽のみを症状とするものが10~35%存在するとの報告もある。

GERDにより慢性咳嗽が起こるメカニズムは明らかではないが、次の2説が有力視されている。

1つは 逆流した胃酸のうち微量が誤嚥されて、気管や気管支に直接刺激を与えるために起こるとする説。
もう1つは、胃酸などの逆流液が下部食道粘膜を刺激することによって引き起こされる、迷走神経反射を介した気管支壁の攣縮が原因とする説である。
食道症状以外では、会話時や起床時、食事中などの咳の悪化が特徴的である。

咳で胃食道逆流症が悪化

一方、気管支端息など長期にわたる咳嗽によって、GERDが悪化することも報告されている。
胸腔内圧は通常、腹腔内圧よりも低いことが知られているが、下部食道括約筋の圧力が胃酸の逆流を防いでいる。
しかし、慢性咳嗽時には胸腔と腹腔の圧力差が拡大し、胃酸が逆流しやすい状態になる。
また、喘息患者では下部食道括約筋圧が低下するとの報告や、テオフイリンの投与が下部食道括約筋圧を低下させGERDを悪化させるとの報告もある。
一般に咳の治療では、中枢性の鎮咳薬や去痰薬、気管支拡張薬、β刺激薬、吸入ステロイドが投与される。
だが、息苦しさが改善しても咳嗽や前胸部の苦しさが改善しない場合には、GERDの可能性を考慮して、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬が投与されることがある。

それらの服用を続けた結果、咳に改善が見られるようであればGERDを併発していた可能性があったという診断になる(診断的治療)。
本来は、食道内の胃酸量測定や内視鏡による診断によりPPIなどを投与することが望ましいが、実際には患 者の負担が大きいことに配慮して、診断的治療を行う医師が多いようである。
また、GERDに伴う慢性咳嗽が疑われる場合には、下部食道括約筋圧を低下させ GERDを悪化させる可能性があるテオフィリン製剤の減量や中止も考慮される。
喘息や咳喘息とGERDを合併した有症状患者においては、両者の治療を十分に行わなければコントロールが得られないことが多いといわれている。

参考書籍:日経DIクイズベストセレクションBASIC篇

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