2018年10月16日更新.3,349記事.5,693,929文字.

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ロゼレムとベルソムラの違いは?

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メラトニンとオレキシン

新規不眠症治療薬ベルソムラについて
ベルソムラ(スボレキサント)はオレキシン受容体拮抗薬です。

オレキシンは脳の覚醒状態を維持する神経伝達物質。
オレキシン受容体を阻害することで、脳を覚醒状態から睡眠状態へと移行させる。

オレキシンといえばナルコレプシー
ナルコレプシー患者では脳内のオレキシンが欠乏しており、脳の覚醒を維持できず、突然眠ってしまう。

メラトニンが睡眠を誘発して、オレキシンが覚醒を維持する。
ロゼレムメラトニン受容体作動薬で、ベルソムラはオレキシン受容体拮抗薬。

既存のベンゾジアゼピン系睡眠薬もロゼレム同様、鎮静を促進するのに対し、ベルソムラは覚醒を抑制する。
筋弛緩作用がほとんどなく、ふらつきが少ない。自然に近い眠りが期待されるが、評価はまだわからない。

睡眠に関する神経伝達物質として一緒くたに感じてしまいますが、ロゼレムは比較的安全性の高い薬として販売されましたが、ベルソムラはその安全性には懸念を抱かれているようです。

新規不眠症治療薬 スボレキサント(ベルソムラ錠) アポネットR研究会・最近の話題

確かに、眠れるのは良いけれど、ナルコレプシーみたいに突然バタッと眠ってしまうのは困る。

現在汎用されている睡眠薬は比較的安全性の高いものが多いですが、その感覚で処方されてしまうと、どうなのかな。
発売後しばらくは安全性に注意して見守る必要がありそう。

オレキシンと覚醒

覚醒を維持するオレキシンは、オレキシン受容体に結合することで作用を発揮する。
スボレキサントは、オレキシン受容体をブロックすることで、オレキシンの作用が発現しないようにする。
その結果、オレキシンの覚醒を維持しようとする力が徐々に弱まって、眠気を生じるようになる。

このほか、オレキシンには、摂食行動を亢進させる、自発的行動を活発化する、エネルギーの消費を助けるなどの働きがあることも知られている。
朝は、体内時計などの働きによってオレキシンの産生が促されて目が覚める、お腹がすくとオレキシンが分泌されておいしく食事を摂ることができ、積極的に活動することでエネルギーが消費される、そして夜になると、オレキシンの働きが弱まり、眠気を催すーこのようにオレキシンは、睡眠と覚醒のバランスを調節するだけでなく、私たちが、その時々に適した行動を取るうえで欠かせない物質でもある。

オレキシンの作用を考えると、スボレキサント使用者において、ナルコレプシー様症状(カタプレキシー;情動性脱力発作ともいわれ、感情が高ぶった喜怒哀楽の激しいときに、レム睡眠状態のように全身の筋肉の力が抜けて倒れ込み動けなくなる症状)や、入眠時幻覚、睡眠時麻痺を引き起こす可能性がある。
また、理論的には、オレキシンが食欲や体重の減少など、摂食行動への影響が認められる可能性があることから、ナルコレプシー様症状と同様に注意深く対応する。

睡眠・覚醒に関与する神経中枢は、視床下部前部の睡眠中枢と視床下部後部・脳幹・前脳基底部の覚醒中枢である。
覚醒系の神経にはヒスタミン、ノルアドレナリン、セロトニン、コリン作動性神経などがあり、覚醒中枢にそれぞれの神経核がある。
ヒスタミン作動性神経の起始核は、視床下部後部の結節乳頭核、ノルアドレナリン作動神経は脳幹の青斑核、セロトニン作動性神経は同じく脳幹の縫線核、コリン作動性神経は前脳基底部のマイネルト核、脳幹の外背側被蓋核、脚橋被蓋核などにあり、これらの神経は大脳全体を賦活化し、覚醒状態をもたらす。

睡眠中枢は、視床下部前部の腹側外側視索前野とされており、ここからはGABA、ガラニン含有神経が結節乳頭核に投射し、ヒスタミン作動性神経を抑制し、睡眠を誘発する。
一方、覚醒刺激があるとノルアドレナリン、セロトニン作動性神経の活性が亢進して、ヒスタミン作動性神経を刺激し、睡眠中枢の活動が抑制され、覚醒がもたらされる。

睡眠・覚醒のサイクルは睡眠誘発物質による液性調節機構、体内の生物時計、オレキシン神経系などにより制御されている。
液性調節機構では、覚醒時間が長くなると、体内に睡眠誘発物質が蓄積し、睡眠が誘発される。
現在知られている最も強力な睡眠誘発物質はプロスタグランジンD2(PGD2)であり、これは脳内のアデノシン濃度を上昇させ、アデノシン受容体A1を介して覚醒神経系を抑制し、同時にA2A受容体を介して睡眠中枢を活性化して睡眠を誘発する。

体内時計は視床下部前部の視交叉上核にあり、前日の睡眠時間に関係なく、一定の睡眠・覚醒のリズムを作り出している。
体内時計のリズムは約25時間であるが、光などの同調因子により毎日24時間周期にリセットされる。
眠るメカニズムには、GABA神経系のほかに、体内時計による調節がある。
毎晩、一定時刻になると眠くなるのは、メラトニンというホルモンが関与している。

オレキシン神経系の神経核は視床下部外側野などにあり、覚醒系神経であるノルアドレナリン、セロトニン、コリン作動性神経などに投射し、覚醒系を賦活させる。
ナルコレプシーではオレキシン神経系の障害が認められる。
オレキシン神経系はGABA作動性神経、セロトニン作動性神経などの制御を受け、体内時計の影響、情動、空腹により活性化される。
細菌、青斑核のノルアドレナリン産生神経系が睡眠に、背側縫線核のセロトニン産生神経がカタレプシーに関与している可能性が指摘されている。

ベルソムラはデュアルオレキシン受容体阻害薬?

オレキシン受容体拮抗薬ベルソムラの発売で、オレキシン受容体という新しい領域の作用機序に期待がかかっていますが。
オレキシン受容体には、オレキシン1受容体とオレキシン2受容体というサブタイプが存在する。

どっちも覚醒に関わる受容体で、どちらかの受容体に対し選択性を高めるということのメリットは今のところ存在しないようです。

ちなみにオレキシン受容体には2種類あると言われています。
オレキシン1(OX1)受容体とオレキシン2(OX2)受容体です。

どちらも覚醒レベルを維持する受容体なのですが、研究によると、
•OX1は覚醒に少ししか関わっていない
•OX2は覚醒に大きく関わっている

ことが分かっています。

そのため、
•OX1受容体を遮断すると、少し眠くなる
•OX2を遮断するとかなり眠くなる
•OX1・OX2両方を遮断すると、一番眠くなる

というデータがあります。ベルソムラ(オレキシン受容体拮抗薬)、今年末頃に発売予定

あえてデュアルと付ける必要も無いかと思うのですが。

第一世代の抗ヒスタミン薬をデュアルヒスタミン受容体拮抗薬って言ってるような感じ。

エーザイもオレキシン受容体拮抗薬を開発中ということで。

lemborexantは、エーザイが創製したオレキシン受容体の2つの受容体サブタイプのいずれにも競合的に結合するデュアルオレキシン受容体拮抗剤。オレキシンは覚醒状態の主たる調節機構としての機能を有しており、同剤のようなオレキシン受容体拮抗剤は、睡眠の誘発と維持効果を持つことが期待されている。
Purdue Pharmaとデュアルオレキシン受容体阻害剤に関する共同開発・販促契約を締結-エーザイ米子会社 – QLifePro 医療ニュース

そのうちどちらかの受容体に選択性を高めることで副作用、相互作用などの影響を減らすことができるとかわかってきたら、デュアルじゃないほうが良くなるんでしょうけど。

オレキシンと食欲のメカニズム

食べ物をみて、においをかぎ、口にすると、脳からβエンドルフィンが分泌され、おいしいと感じる。
そして、ドパミンが摂食中枢を刺激し、もっと食べたいという欲求が引き起こされる。

摂食中枢からは、オレキシンやニューロペプチドYが産生、分泌され脳内に伝わる。
オレキシンの作用で、甘いものを欲するようになり、食が進み、消化管運動も促進される。

摂食が進むと、次第に血糖が上昇し、膵臓からはインスリンが分泌される。

また、白色脂肪組織からはレプチンが、消化管からはグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)が分泌され、これらが満腹中枢の活動を高めて、満腹感をもたらし、摂食が抑制される。

さらに、ヒスタミンやセトロニンなどが脳から分泌されると、脳は沈静化し、充足感が与えられ、摂食はストップする。

ストレスと食欲

ストレスによって食欲は低下する場合が多いですが、ストレスによって食欲が亢進する、いわゆるヤケ食いというパターンもあります。

ストレスがあると食欲が低下するのは、セロトニンが放出され、摂食中枢が抑制されるためです。

ストレスによるやけ食いは、持続するストレスから身を守るために副腎皮質ホルモンの分泌が増え、交感神経が活性化して脂肪分解が促進され、血中に遊離脂肪酸が増加することで、摂食が促進されるからです。

また、セロトニンの過剰放出により脳内のセロトニンが枯渇することで、摂食が抑制できなくなることも一因と考えられています。

参考書籍:調剤と情報2015.4

メラトニン受容体アゴニスト

・睡眠―覚醒リズムに働きかけ、鎮静作用や抗不安作用によらない睡眠をもたらす。

脳の中央部にある松果体から分泌され睡眠・覚醒サイクルを調整するホルモンをメラトニンといい、分泌されると脳の中の「視交叉上核」にある受容体にくっついて、睡眠作用を現します。この薬はメラトニンの受容体に結びついて選択的に刺激し睡眠と覚醒のリズムを整えることで、脳と体の状態を覚醒から睡眠へと切り替えて、寝つきをよくし、夜間の睡眠を持続させる薬です。

ロゼレム錠は、2010年に発売された新しいタイプの睡眠薬です。

ロゼレム錠の特徴は、従来の睡眠薬とは違って強引に眠らせるのではなく、自然な眠気を強くしてくれる睡眠薬です。服用を続けていくことで、少しずつ効果の実感がでてくるような睡眠薬です。

体内時計のリズムをつくるメラトニンに作用する睡眠薬で、生理的なホルモンに作用するロゼレムは安全性が高く、依存性もありません。

しかしながらすぐに効果が出てくるお薬ではなく、その実感の乏しさがデメリットにもなります。これまでの睡眠薬を使われていた方は、その効き方の違いに違和感を覚えることもあります。


オレキシン受容体拮抗薬

・覚醒を維持する神経ペプチドの受容体への結合を遮断して睡眠をもたらす。

オレキシンは視床下部のニューロンから産生される神経ペプチドで覚醒状態の維持に重要な働きをしています。
この薬は「オレキシン」の働きを弱めることによって、脳の状態が覚醒から睡眠に切り替わることを助けて、寝つきをよくし、夜間の睡眠を持続させる薬です。

ベルソムラは、覚醒中枢に特異的に作用することによって、本来の眠りをもたらします。
オレキシンは、視床下部のニューロンから産生される神経ペプチドであり、覚醒の調節に重要な働きをしていることが最近の研究で明らかとなっています。

ベルソムラ錠(一般名・スボレキサント)は,覚醒を維持する神経ペプチド・オレキシンに着目した不眠症治療薬である。オレキシンの受容体への結合を可逆的に阻害することで,脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させる。従来のGABA(γ-アミノ酪酸)受容体作動薬などとはまったく異なる機序で睡眠を誘発する。臨床試験では,入眠効果と睡眠維持効果が投与第1日夜から認められた。副作用は傾眠など。

オレキシンは神経ペプチドで,米テキサス大学の柳沢正史氏(現・筑波大学),櫻井武氏(現・金沢大学)らがオーファン受容体のリガンドとして1990年代に発見した。
視床下部のオレキシン神経細胞によって産生され,動物実験では脳脊髄液中のオレキシン濃度は覚醒時に高くなり,睡眠中は低いことが示されている。オレキシン受容体は脳内に広く分布し,ノルアドレナリン,ヒスタミン,ドーパミンなど覚醒に関わる神経細胞にシグナルを送り,覚醒システム全体を活性化している。
睡眠システムと覚醒システムは相互に抑制的に働いて調節されているが,オレキシンは,覚醒中に急に睡眠が生じないように適切な覚醒の維持に寄与していると考えられる。
そこでオレキシンの作用をブロックして覚醒維持を阻害し,バランスを睡眠優位に切り替えて睡眠を誘導するのがオレキシン受容体拮抗薬のベルソムラである。

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