更新日:2017年4月24日.全記事数:3,096件.今日の勉強

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ロゼレムとベルソムラの違いは?


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メラトニンとオレキシン

新規不眠症治療薬ベルソムラについて
ベルソムラ(スボレキサント)はオレキシン受容体拮抗薬です。

オレキシンは脳の覚醒状態を維持する神経伝達物質。
オレキシン受容体を阻害することで、脳を覚醒状態から睡眠状態へと移行させる。

オレキシンといえばナルコレプシー
ナルコレプシー患者では脳内のオレキシンが欠乏しており、脳の覚醒を維持できず、突然眠ってしまう。

メラトニンが睡眠を誘発して、オレキシンが覚醒を維持する。
ロゼレムメラトニン受容体作動薬で、ベルソムラはオレキシン受容体拮抗薬。

既存のベンゾジアゼピン系睡眠薬もロゼレム同様、鎮静を促進するのに対し、ベルソムラは覚醒を抑制する。
筋弛緩作用がほとんどなく、ふらつきが少ない。自然に近い眠りが期待されるが、評価はまだわからない。

睡眠に関する神経伝達物質として一緒くたに感じてしまいますが、ロゼレムは比較的安全性の高い薬として販売されましたが、ベルソムラはその安全性には懸念を抱かれているようです。

新規不眠症治療薬 スボレキサント(ベルソムラ錠) アポネットR研究会・最近の話題

確かに、眠れるのは良いけれど、ナルコレプシーみたいに突然バタッと眠ってしまうのは困る。

現在汎用されている睡眠薬は比較的安全性の高いものが多いですが、その感覚で処方されてしまうと、どうなのかな。
発売後しばらくは安全性に注意して見守る必要がありそう。

オレキシンと覚醒

覚醒を維持するオレキシンは、オレキシン受容体に結合することで作用を発揮する。
スボレキサントは、オレキシン受容体をブロックすることで、オレキシンの作用が発現しないようにする。
その結果、オレキシンの覚醒を維持しようとする力が徐々に弱まって、眠気を生じるようになる。

このほか、オレキシンには、摂食行動を亢進させる、自発的行動を活発化する、エネルギーの消費を助けるなどの働きがあることも知られている。
朝は、体内時計などの働きによってオレキシンの産生が促されて目が覚める、お腹がすくとオレキシンが分泌されておいしく食事を摂ることができ、積極的に活動することでエネルギーが消費される、そして夜になると、オレキシンの働きが弱まり、眠気を催すーこのようにオレキシンは、睡眠と覚醒のバランスを調節するだけでなく、私たちが、その時々に適した行動を取るうえで欠かせない物質でもある。

オレキシンの作用を考えると、スボレキサント使用者において、ナルコレプシー様症状(カタプレキシー;情動性脱力発作ともいわれ、感情が高ぶった喜怒哀楽の激しいときに、レム睡眠状態のように全身の筋肉の力が抜けて倒れ込み動けなくなる症状)や、入眠時幻覚、睡眠時麻痺を引き起こす可能性がある。
また、理論的には、オレキシンが食欲や体重の減少など、摂食行動への影響が認められる可能性があることから、ナルコレプシー様症状と同様に注意深く対応する。

睡眠・覚醒に関与する神経中枢は、視床下部前部の睡眠中枢と視床下部後部・脳幹・前脳基底部の覚醒中枢である。
覚醒系の神経にはヒスタミン、ノルアドレナリン、セロトニン、コリン作動性神経などがあり、覚醒中枢にそれぞれの神経核がある。
ヒスタミン作動性神経の起始核は、視床下部後部の結節乳頭核、ノルアドレナリン作動神経は脳幹の青斑核、セロトニン作動性神経は同じく脳幹の縫線核、コリン作動性神経は前脳基底部のマイネルト核、脳幹の外背側被蓋核、脚橋被蓋核などにあり、これらの神経は大脳全体を賦活化し、覚醒状態をもたらす。

睡眠中枢は、視床下部前部の腹側外側視索前野とされており、ここからはGABA、ガラニン含有神経が結節乳頭核に投射し、ヒスタミン作動性神経を抑制し、睡眠を誘発する。
一方、覚醒刺激があるとノルアドレナリン、セロトニン作動性神経の活性が亢進して、ヒスタミン作動性神経を刺激し、睡眠中枢の活動が抑制され、覚醒がもたらされる。

睡眠・覚醒のサイクルは睡眠誘発物質による液性調節機構、体内の生物時計、オレキシン神経系などにより制御されている。
液性調節機構では、覚醒時間が長くなると、体内に睡眠誘発物質が蓄積し、睡眠が誘発される。
現在知られている最も強力な睡眠誘発物質はプロスタグランジンD2(PGD2)であり、これは脳内のアデノシン濃度を上昇させ、アデノシン受容体A1を介して覚醒神経系を抑制し、同時にA2A受容体を介して睡眠中枢を活性化して睡眠を誘発する。

体内時計は視床下部前部の視交叉上核にあり、前日の睡眠時間に関係なく、一定の睡眠・覚醒のリズムを作り出している。
体内時計のリズムは約25時間であるが、光などの同調因子により毎日24時間周期にリセットされる。
眠るメカニズムには、GABA神経系のほかに、体内時計による調節がある。
毎晩、一定時刻になると眠くなるのは、メラトニンというホルモンが関与している。

オレキシン神経系の神経核は視床下部外側野などにあり、覚醒系神経であるノルアドレナリン、セロトニン、コリン作動性神経などに投射し、覚醒系を賦活させる。
ナルコレプシーではオレキシン神経系の障害が認められる。
オレキシン神経系はGABA作動性神経、セロトニン作動性神経などの制御を受け、体内時計の影響、情動、空腹により活性化される。
細菌、青斑核のノルアドレナリン産生神経系が睡眠に、背側縫線核のセロトニン産生神経がカタレプシーに関与している可能性が指摘されている。

オレキシンと食欲のメカニズム

食べ物をみて、においをかぎ、口にすると、脳からβエンドルフィンが分泌され、おいしいと感じる。
そして、ドパミンが摂食中枢を刺激し、もっと食べたいという欲求が引き起こされる。

摂食中枢からは、オレキシンやニューロペプチドYが産生、分泌され脳内に伝わる。
オレキシンの作用で、甘いものを欲するようになり、食が進み、消化管運動も促進される。

摂食が進むと、次第に血糖が上昇し、膵臓からはインスリンが分泌される。

また、白色脂肪組織からはレプチンが、消化管からはグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)が分泌され、これらが満腹中枢の活動を高めて、満腹感をもたらし、摂食が抑制される。

さらに、ヒスタミンやセトロニンなどが脳から分泌されると、脳は沈静化し、充足感が与えられ、摂食はストップする。

ストレスと食欲

ストレスによって食欲は低下する場合が多いですが、ストレスによって食欲が亢進する、いわゆるヤケ食いというパターンもあります。

ストレスがあると食欲が低下するのは、セロトニンが放出され、摂食中枢が抑制されるためです。

ストレスによるやけ食いは、持続するストレスから身を守るために副腎皮質ホルモンの分泌が増え、交感神経が活性化して脂肪分解が促進され、血中に遊離脂肪酸が増加することで、摂食が促進されるからです。

また、セロトニンの過剰放出により脳内のセロトニンが枯渇することで、摂食が抑制できなくなることも一因と考えられています。

参考書籍:調剤と情報2015.4

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