2024年4月26日更新.2,754記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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Ca拮抗薬の併用はダメ?

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Ca拮抗薬同士の併用はダメ?

日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2009」では、高血圧治療において降圧薬を併用する場合には、作用機序の異なる薬剤を併用することが原則とされています。
多くの臨床試験でも、副作用を減らして降圧効果を高めるために、異なる作用機序の降圧薬の併用が有用であることが示されています。

Ca拮抗薬の種類

カルシウム拮抗薬は、平滑筋に発現しているCaチャネル(L型、N型、T型など)をブロックすることにより、平滑筋を弛緩させて血圧を下げます。
現在、降圧薬として使われている長時間作用型のCa拮抗薬のほとんどが、L型Caチャネルをブロックして血圧を下げます。

アムロジンは代表的なL型のCa拮抗薬です。
一方、アテレックはL型だけでなくN型のCaチャネルをブロックします。
アテレックは交感神経終末からのノルアドレナリンの放出を抑制するため、Ca拮抗薬にしばしば見られる頻脈の副作用が少ないといわれています。

また、ランデルやカルブロックはL型とT型のCaチャネルをブロックします。
T型のCaチャネルは幼若期の心筋細胞や洞房結節細胞、血管平滑筋などに存在します。
これらのCa拮抗薬も頻脈を起こしにくいといわれています。

これらのCa拮抗薬の作用の違いとして最近注目されているのが、慢性腎臓病(CKD)における尿蛋白の減少効果です。
L型Caチャネルは、糸球体の輸入細動脈にのみ分布するのに対し、N型やT型のCaチャネルは、輸入細動脈のみならず輸出細動脈にも分布しています。

したがって、薬剤がN型やT型のCaチャネルをブロックすると、輸入細動脈と輸出細動脈とを拡張して、糸球体内静水圧が下がるため、尿蛋白が減少すると推測されています。

以上のことから、CKDの患者で十分な降圧を図るためにアムロジピンやニフェジピンを使用し、同時に尿蛋白を減少させることを目的にシルニジピンを併用するという腎臓内科の専門医がいます。

アダラートとアムロジンの併用?

第一世代のアダラートと第三世代のアムロジンが併用して処方されることがある。

アムロジンとアテレックの併用についてはL型とN型ってことでまあ、いいのかも知れないけど。
アムロジンとヘルベッサー、ワソランとかの併用も良いんだろうな。

アダラートとアムロジンってのは短時間と長時間の組み合わせってことなのかな。
でも、アダラートCRとアムロジンの併用ってのは微妙な気がする。

同種同効薬の処方はいろいろ言われることが多いけど。
専門の同一医師の処方であれば、問題ないというか、根拠か信念があって処方されているわけで。
専門外の先生の処方とか、違う医療機関からの処方なら疑義照会したほうがよさそう。

アムロジンとノルバスクの併用?

アムロジン5mg朝食後とノルバスク2.5mg夕食後を併用、という処方がありました。
アムロジンもノルバスクも同じ成分でアムロジピンという薬です。

薬剤師的には「?」という処方で、疑義照会をかけますが、「その通り出して」と言われました。

1日2回飲ませるのは、コンプライアンスの問題等あるのかも知れませんし、夜間の血圧が高いから夕食後にノルバスクを追加したのかも知れません。

でも、なぜ朝はアムロジンで、夜はノルバスクと、同じ成分で銘柄を変えてくるのか?

これは単純に病院の事情で、院内の採用品が2.5mgはノルバスク、5mgはアムロジンとなっていたからです。

メーカーとの取引の関係上か、調剤過誤防止の目的かはわかりませんが、こんなややこしい処方は止めてもらいたいものです。

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薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

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2 件のコメント

  • 医療 花子 のコメント
         

    こんにちは。
    初めてメールします。よろしくお願いいたします。
    私は医療事務7年になります。
    カルシウム拮抗剤の件でお聞きしたいのですが、
    アムバロとドスペロビン10とシルジニピン10の3剤は査定の対象にはなりませんか?
    以前どこかで査定されたような気がするのですが思い出せなくて、お聞きすることにしました。

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    アムバロのアムロジピンと、ドスペロピン(ニトレンジピン)、シルニジピンのCa拮抗薬3剤併用というわけですね。
    査定されるのかどうかは県によって異なるのかも知れませんが、私が勤めているエリアでは、実際に査定されたというケースは聞いたことがありません。
    ただ、個別指導においては指摘事項となる可能性が高いので、疑義照会は必要でしょう。

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2023年09月14日発売

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