更新日:2017年7月25日.全記事数:3,191件.

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乳腺炎で抗生物質が処方されたら授乳中止?


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乳腺炎に対するアモキシシリン

添付文書上は「授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けること」と記載されている。

実際には成人が1回250mgを内服したときの最高血中濃度は3.68μg/mLで、M/P比は0.014〜0.043である。

体重5kgの乳児として理論的薬剤摂取量を算出すると、多く見積もっても3.68μg/mL×0.043×(150mL/kg×5kg)=0。118mgとなる。

通常、小児にアモキシシリンを使用する場合は20〜40mg/kg/dayであることから20mg/kg/dayで考えると、0.118mg÷(20mg/kg×5kg)=0.00118となり、治療で使用する量の0.12%である。

相対的乳児薬剤摂取量は0.25%となり、ほとんど乳児への影響はないことがわかる。

したがって、添付文書に記載されているような授乳中止は必要ないと言える。

相対的乳児薬剤摂取量

・乳児の理論的薬剤摂取量=摂取した母乳の量①×母乳中の薬剤濃度②
①摂取した母乳の量:乳児期前半は150mL/kgとして計算
②母乳中の薬剤濃度=母親の血中濃度×M/P比③
③M/P比(Milk/Plasma ratio):母乳中薬剤濃度/母体血漿中濃度比

・相対的乳児薬剤摂取量=乳児薬剤摂取量(mg/kg/day)/母親の薬剤摂取量(mg/kg/day)

乳腺炎と抗生物質

アンケートに授乳中と書かれた授乳婦さんに、セフゾンが処方されました。

セフゾンの添付文書を読むと、

組織内移行
患者喀痰中、扁桃組織、上顎洞粘膜組織、中耳分泌物、皮膚組織、口腔組織等への移行が認められた。なお、乳汁中への移行は認められていない。

乳汁に移行しないなら、授乳中でも安心だな。
と思い、話を伺うと、乳腺炎で処方された模様。

乳腺炎で処方される抗生物質が、乳汁中に移行しなくても効くのか、と悩む。

妊娠と薬_02-05

合成ペニシリンは、セフェム系に比べて乳汁中に分泌されやすい。セフェム系はほとんど移行しないので、乳腺炎の治療には合成ペニシリンを first choiceにする。ただし、新生児に下痢やカンジダ症を起こすことがあるので注意する。[産婦人科の実際 Vol.38 No.11 1989 ]

こんな記載もあった。

他のセフェムも調べてみると、
フロモックスは、

喀痰,肺組織,胸水,扁桃組織,中耳分泌液,上顎洞粘膜・貯留液,皮膚組織,胆汁・胆嚢組織,女性性器組織,抜歯創貯留液,口腔内嚢胞壁等への移行は良好であった。
なお,乳汁中への移行は認められなかった。

トミロンは、

喀痰、耳漏、扁桃、上顎洞粘膜、鼻茸、篩骨洞粘膜、尿道分泌物、抜歯創等へ良好な移行が認められた。また、子宮各組織への移行も認められたが、乳汁中への移行はほとんど認められなかった。

メイアクトは、

患者の喀痰、扁桃組織、上顎洞粘膜、皮膚組織、乳腺組織、胆嚢組織、子宮腟部、子宮頸部、瞼板腺組織、抜歯創内等への移行が認められた。また、乳汁中への移行は認められなかった。

バナンは、

投薬中は授乳させないよう注意すること。[母乳中へ移行する。]

おお、バナン。乳汁へ移行するじゃないか。
でも、授乳させられないってのは、乳腺炎がますます悪化する可能性があるので、やっぱり乳汁中には移行しないほうがいいのかな。

抗菌剤の投与は、乳腺の炎症部位に働かせるのが目的ではなくて、二次感染予防ってことなのかな。
よくわからないので、詳しい方がいればご教授いただきたい。

乳腺炎

乳腺炎では乳腺がつまって炎症が起こり、痛みや発熱が起きます。

母乳はどんどんできるのに、出ていかないのが原因なので、一番の対処法は、赤ちゃんにいっぱい飲んでもらうことです。

しかし、乳腺炎のときに授乳をするのはとても痛いようです。なかなか出ないと赤ちゃんに噛まれますし。

そんなときは自分で搾乳するように言われることもあります。

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