更新日:2016年12月21日.全記事数:3,190件.

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胃を切除すると貧血になる?


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胃を切ると貧血になる?

胃切除後は鉄とビタミンB12の吸収が落ち、貧血を呈する。

鉄の場合、2価のイオンとして吸収されますが、胃酸は鉄イオンの2価から3価への酸化を抑制し、吸収率を向上させることが知られています。
鉄の吸収率はもともと10%前後と低く、胃酸による胃内pHの低下は、吸収を左右する大きな要因となっています。

胃酸分泌低下により、3価鉄イオンの還元が低下し、鉄の吸収障害が起こる。

予防としては、鉄分と鉄分の吸収を促進するビタミンCの多い食品やサプリメントを摂取する。

胃の上部の切除により、ビタミンB12の吸収に不可欠な内因子が欠如している。

肝臓に4~5年分の貯蔵があり、貧血もすぐには現れない。

また、胃切除後はカルシウムやビタミンDの吸収も落ち、骨粗鬆症になる可能性が高くなる。

PPIでカルシウム吸収低下?

カルシウムも、カルシウムイオンとして吸収されますが、イオンへの解離には酸性の環境が必要となります。

胃切除後貧血とは?

胃切除後貧血には2つのタイプがあります。

a.鉄欠乏性貧血。血球成分に必須の鉄分の吸収が酸分泌低下とともに低下するために起きます。
鉄が腸から吸収されるためには、胃酸によって、Fe3+をFe2+にする必要がある。

b.悪性貧血(ビタミンB12欠乏性貧血)。内因子と呼ばれるビタミンB12吸収に必須の物質が胃全摘により欠如して起こる貧血です。
ビタミンB12は通常、肝臓に豊富にあって、胃の全摘出によりビタミンB12の吸収ができなくなってもすぐには貧血は起こらない。
貯蔵していたビタミンB12が徐々に使われて、やがて使い果たされると、ビタミンB12欠乏性貧血が起こってくる。手術後5、6年経たころに起こるという。

ヘム鉄と非ヘム鉄

食物に含まれる鉄には2種類あり、肉や魚などの動物性食品に含まれているヘム鉄と、野菜や海藻などの植物性食品に含まれている非ヘム鉄があります。

鉄のほとんどは小腸上部の粘膜から吸収されますが、吸収率はヘム鉄のほうが断然高く、ヘム鉄で10~20%、非ヘム鉄で1~6%と、ヘム鉄のほうが数倍も吸収されやすいのです。
ヘム鉄は鉄原子と有機化合物が結びついた有機鉄の1つです。

構造は二価鉄という形をとっており、溶けやすくイオン化しやすいのが特徴です。

そのためそのまま小腸細胞から消化吸収されていきます。

ヘム鉄の仲間に赤血球に含まれるヘモグロビンと、筋肉色素タンパク質のミオグロビンという物質があります。

ヘモグロビンは酸素と結びついて全身に酸素を運ぶ役割をしていますが、ミオグロビンも酸素と結びついて筋肉組織の中で酸素を蓄える働きをしています。

赤身の肉や魚に鉄分が多いのは、ヘム鉄を含むミオグロビンが豊富なためです。                        

非ヘム鉄は三価鉄という形をとっており、これはサビや無機鉄の鉄イオンの仲間で消化吸収されにくい構造になっています。

そのため、消化管内で動物性タンパク質に含まれる消化酵素やビタミンC、胃酸などの還元物質によりヘム鉄(二価鉄)になることで初めて吸収されます。

日本人が摂取する多くが非ヘム鉄といわれています。

胃切除後貧血にメチコバールの経口投与は効果あるのか?

Q:胃を全摘した人は,経過を見ながら数年後にはビタミンB12の注射をする必要があるらしいが,どうしてか?

A:ビタミンB12は胃の壁細胞から分泌される糖タンパクの内因子と結合し,回腸で吸収される。したがって胃全摘後は内因子が欠乏して,ビタミンB12の吸収低下が起こる。ビタミンB12は造血ビタミンのひとつで,欠乏すると赤血球の合成に支障をきたし貧血(特に巨赤芽球性貧血)を起こすので,ビタミンB12の注射が必要となる。ただし,胃を全摘してもビタミンB12は肝臓にある程度は貯蔵されているので,不足は数年後に生じることが多い。質疑応答 2008年3月

上記のように、ビタミンB12の吸収には胃の壁細胞から分泌される内因子が必要。
胃切除されている患者は、ビタミンB12製剤(メチコバール)を飲んでも吸収されないハズ。

しかし、

さてご指摘のように、胃切除後のB12欠乏には、その病態から見てB12の非経口投与(筋注)が原則とされてきました。しかし筋注には疼痛や通院などの患者負担が伴う上に、出血傾向のある例などでは、軽視できない合併症につながる可能性もあり得ます。また経口投与に比べれば、医療スタッフの負担も大きくなります。B12は内因子との結合がなくても、単体で受動的にある程度吸収されることが知られています。総吸収量の1~2%がこの受動的吸収によるもので、この吸収は内因子欠乏状態でも保たれています。そこで経口投与でB12を補充するという試みが行われており、現在までに経口投与の効果を示唆する複数の臨床成績が出されています。一般的に投与量は1,000~2,000㎍/日が推奨されています。
胃全摘後のいわゆる悪性貧血の治療について

ある程度は吸収されるらしい。

PPIによるビタミンB12吸収低下も示唆されていますが、これは、ビタミンB12がタンパクに結合しているため、胃酸によるタンパク質分解を受けて遊離しないと、内因子と結合して吸収されることができないという機序。
メチコバールは蛋白に結合しているわけではないので、胃酸による分解は必要ない。PPIによるメチコバールの吸収は影響ない。

ビタミン剤は食後服用?

薬剤の小腸細胞膜における通過性は受動拡散であり、細胞膜への透過性が高い。

すなわち脂溶性の高い薬剤ほどその吸収率も高い。

これに対し、水溶性の低分子薬は細胞膜を容易に浸透できないため、小腸上部の輸送担体により吸収されるがその輸送能力に限界があり、薬剤が一度に大量に小腸に到達すると細胞間隙からの吸収限界をこえてしまうため、吸収しきれない薬剤は糞中排泄されてしまう。

胃内容物が存在することで、胃内容排泄速度が遅延し小腸への薬剤の移行速度が低下することで、吸収限界をこえて排泄される薬剤は減少する。

水溶性ビタミン(ビタミンB、ビタミンC)などは食後服用により吸収量が多くなります。

脂溶性ビタミンと水溶性ビタミン

まれに食事の代わりにビタミン剤を飲むような人もいるようですが、ビタミン剤は食後に飲んだほうが効果的です。

ビタミンには脂溶性のビタミン(ビタミンA・D・E・K)と水溶性のビタミン(ビタミンB・C)があり、脂溶性のビタミンは油に溶けて吸収されるので、空腹時よりも食後にとったほうが効果的です。

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