2025年9月18日更新.2,627記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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目にしみない目薬は?

目にしみる点眼薬

点眼薬が目にしみる要因として、点眼薬のpHが挙げられる。
涙液のpHは7.0~7.4なので、これに近いpHの点眼薬の方が目にしみにくく、酸性やアルカリ性の点眼薬は刺激を感じやすい。

そのため、点眼薬の刺激を嫌がる小児に対しては、涙液のpHに近い点眼薬を選択するとよい。また、刺激を軽減することで、刺激による涙液の増加で主薬が希釈されることを防ぐことができる。

患者によっては逆に「しみる点眼薬」が欲しいという患者もいる。花粉症などで眼のかゆみを訴える患者は刺激を求めることもあるようだ。また、市販の点眼薬で、刺激感、爽快感を売りにしているものもある。

添付文書には、pH以外にも浸透圧比が記載されており、生理食塩液に対する比であるので、浸透圧比1に近い方が刺激は少ない。

目薬pH浸透圧比
アイオピジンUD点眼液4.5~6.00.90~1.10
アイドロイチン点眼液4.5~6.0約1
アイファガン点眼液6.7~7.50.9~1.1
アイベータ配合点眼液6.9~7.30.9~1.1
アイラミド配合点眼液6.3~6.80.9~1.2
アジマイシン点眼液5.9~6.70.9~1.1
アズレン点眼液「ニットー」7.0~8.0
アズレン点眼器「わかもと」7.5~8.50.8~1.2
アゾルガ配合懸濁性点眼液6.7~7.70.9~1.2
アレギサール点眼液7.5~8.50.7~0.9
アレジオン点眼液/LX点眼液6.7~7.30.9~1.1
ウブレチド点眼液5.0~6.5約1
エイゾプト懸濁性点眼液約7.50.9~1.2
エイベリス点眼液、エイベリスミニ点眼液5.5~6.10.9~1.0
オゼックス点眼液4.9~5.50.9~1.1
オドメール点眼液6.5~7.5
オフロキサン点眼液6.0~8.01.0~1.2
オフルオキサシンゲル化点眼液「わかもと」6.0~7.01.52~1.75
オルガドロン点眼・点耳・点鼻液7.4~8.4
カタリン点眼用5.5~6.5
カタリンK点眼用4.5~6.5
ガチフロ点眼液5.6~6.30.9~1.1
キサラタン点眼液6.5~6.9約1
グラアルファ配合点眼液6.0~7.0約1
グラナテック点眼液5.0~7.0約1
クラビット点眼液0.5%6.2~6.81.0~1.1
クラビット点眼液1.5%6.1~6.91.0~1.1
クロモグリク酸Na点眼液「センジュ」5.0~6.0
クロラムフェニコール点眼液「ニットー」6.0~8.0
ケタス点眼液5.5~7.0約1
ゲンタマイシン点眼液「日点」5.5~7.5
コソプト配合点眼液5.5~5.80.4~0.5
コソプトミニ配合点眼液5.5~5.80.95~1.25
コリナコール点眼液6.0~8.0約1
サイプレジン点眼液3.0~4.50.9~1.1
ザジテン点眼液4.8~5.80.7~1.0
ザラカム配合点眼液5.8~6.2約1.0
サンコバ点眼液5.5~6.50.9~1.1
サンチンク点眼液4.0~6.0約1
サンテゾーン点眼液4.0~6.0約1
サンピロ点眼液0.5%/1%4.5~5.51.2~1.4
サンピロ点眼液2%4.5~5.51.1~1.3
サンピロ点眼液3%4.5~5.51.3~1.5
サンピロ点眼液4%4.4~5.41.3~1.5
ジクアスLX点眼液7.0~7.71.0~1.1
ジクアス点眼液7.2~7.81.0~1.1
ジクロード点眼液6.0~7.50.9~1.4
人工涙液マイティア点眼液7.1~7.7
ゼペリン点眼液4.5~6.00.8~1.3
タチオン点眼用4.5~6.5約1
タプコム配合点眼液6.7~7.21.0~1.1
タプロス点眼液5.7~6.31.0~1.1
タプロスミニ点眼液5.7~6.30.9~1.1
タリビット点眼液6.0~7.00.95~1.15
タリムス点眼液4.3~5.50.9~1.1
チモプトール点眼液6.5~7.5約1
チモプトールXE点眼液6.5~7.50.9~1.1
デタントール点眼液5.5~6.50.9~1.1
デュオトラバ配合点眼液6.5~7.00.9~1.1
点眼・点鼻用リンデロンA液5.0~7.5約0.8
トスフロ点眼液4.9~5.50.9~1.1
トブラシン点眼液6.5~8.0約1
トラバタンズ点眼液約5.70.9~1.1
トラメラス点眼液/PF点眼液7.0~8.00.9~1.1
トルソプト点眼液5.5~5.9約1
日点アトロピン点眼液5.0~6.5約1
ニフラン点眼液7.0~8.0
ネオシネジンコーワ点眼液4.0~6.0
ネバナック点眼液7.0~7.80.9~1.2
ノイボルミチン点眼液6.2~7.50.9~1.1
ノフロ点眼液5.0~5.6約1
ハイパジールコーワ点眼液6.5~7.50.9~1.1
バクシダール点眼液5.0~5.6約1
パタノール点眼液約7.00.9~1.1
パニマイシン点眼液6.5~7.51.0
パピロックミニ点眼液6.5~7.51.0~1.1
ヒアレイン点眼液/ミニ点眼液6.0~7.00.9~1.1
ピバレフリン点眼液4.5~5.51.0~1.2
ピマリシン点眼液「センジュ」6.5~7.5
ピレノキシン懸濁性点眼液「参天」3.4~4.00.9~1.2
フラビタン点眼液4.5~6.0
プリビナ点眼液5.3~6.3
フルメトロン点眼液6.8~7.80.9~1.1
ブロナック点眼液8.0~8.6
ベガモックス点眼液6.3~7.30.9~1.1
ベストロン点眼用6.0~8.0
ベタキソロール点眼液「SW」6.7~7.70.85~1.25
ペミラストン点眼液7.5~8.50.7~0.9
ミオピン点眼液5.2~6.20.9~1.1
ミケラン点眼液/LA点眼液6.2~7.20.9~1.1
ミケルナ配合点眼液6.0~6.70.9~1.2
ミドリンM点眼液4.5~5.80.9~1.1
ミドリンP点眼液4.5~5.80.9~1.1
ムコスタ点眼液UD5.5~6.50.9~1.1
ムコゾーム点眼液4.5~6.01.0~1.2
ムコファジン点眼液4.5~6.00.8~1.2
ラクリミン点眼液4.0~5.01.0~1.2
リザベン点眼液7.0~8.00.9~1.1
リズモンTG点眼液7.2~8.01.3~1.6
リボスチン点眼液6.0~8.00.9~1.1
リンデロン点眼液7.5~8.5約0.8
リンデロン点眼・点耳・点鼻液7.5~8.5約0.8
ルミガン点眼液6.9~7.50.9~1.1
レスキュラ点眼液5.0~6.50.9~1.1
レボブノロール塩酸塩点眼液「ニッテン」5.5~7.50.9~1.1
ロメフロン点眼液4.5~5.7

コソプトは薬液のpHが5.5~5.8で、使用時に「目が染みる」と訴える感が一定数いるため、アゾルガ(pH6.7~7.7)が処方されることが多い。

ジェネリック医薬品のpHは先発品と同じものが多いが、キサラタン点眼液(pH6.5~6.9)に対しGEのラタノプロスト点眼液「TS」がpH6.4~6.8と違うものもある。GE品の採用の際には確認したほうがよいだろう。

こするとしみる
点眼薬に含まれる防腐剤や目をこするなど、物理的刺激により角膜が傷つくと、点眼時に刺激を感じることがある。
その場合は、防腐剤を含まない点眼薬が処方される。
服薬指導時には、眼をこすらないように伝えたい。

しみる目薬が欲しい?

目薬がしみると目に悪いんじゃないか、と思う人がいます。
しかし、しみること自体は、目に害を及ぼすことではなく、それほど気にすることではないという。

同じ目薬を使っても、しみる人もいれば、しみない人もいます。
目の炎症や体調など、目薬を使うときの状態によっても、違ってきます。

涙液のpH7.0~7.4になるべく近いpHの目薬のほうがしみない。

しみる目薬は涙を誘う。
その分目薬が無駄になる。
なるべくしみない目薬のほうがいい。

そう思っていました。

しかし、しみる目薬が欲しい、という患者さんが時折います。
花粉症の患者さんで。
目がかゆい。
そういう眼球をかきむしりたい患者さんは、刺激性の目薬のほうが良いらしい。
メントール配合のような。
ロートziみたいな「きたーーー!!」という刺激感を欲する患者もいる。

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