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目にしみない目薬は?
公開. 更新. 投稿者:眼/目薬/メガネ. タグ:薬剤一覧ポケットブック. この記事は約2分46秒で読めます.
8,501 ビュー. カテゴリ:目にしみる点眼薬
点眼薬が目にしみる要因として、点眼薬のpHが挙げられる。
涙液のpHは7.0~7.4なので、これに近いpHの点眼薬の方が目にしみにくく、酸性やアルカリ性の点眼薬は刺激を感じやすい。
そのため、点眼薬の刺激を嫌がる小児に対しては、涙液のpHに近い点眼薬を選択するとよい。また、刺激を軽減することで、刺激による涙液の増加で主薬が希釈されることを防ぐことができる。
患者によっては逆に「しみる点眼薬」が欲しいという患者もいる。花粉症などで眼のかゆみを訴える患者は刺激を求めることもあるようだ。また、市販の点眼薬で、刺激感、爽快感を売りにしているものもある。
添付文書には、pH以外にも浸透圧比が記載されており、生理食塩液に対する比であるので、浸透圧比1に近い方が刺激は少ない。
目薬 | pH | 浸透圧比 |
---|---|---|
アイオピジンUD点眼液 | 4.5~6.0 | 0.90~1.10 |
アイドロイチン点眼液 | 4.5~6.0 | 約1 |
アイファガン点眼液 | 6.7~7.5 | 0.9~1.1 |
アイベータ配合点眼液 | 6.9~7.3 | 0.9~1.1 |
アイラミド配合点眼液 | 6.3~6.8 | 0.9~1.2 |
アジマイシン点眼液 | 5.9~6.7 | 0.9~1.1 |
アズレン点眼液「ニットー」 | 7.0~8.0 | - |
アズレン点眼器「わかもと」 | 7.5~8.5 | 0.8~1.2 |
アゾルガ配合懸濁性点眼液 | 6.7~7.7 | 0.9~1.2 |
アレギサール点眼液 | 7.5~8.5 | 0.7~0.9 |
アレジオン点眼液/LX点眼液 | 6.7~7.3 | 0.9~1.1 |
ウブレチド点眼液 | 5.0~6.5 | 約1 |
エイゾプト懸濁性点眼液 | 約7.5 | 0.9~1.2 |
エイベリス点眼液、エイベリスミニ点眼液 | 5.5~6.1 | 0.9~1.0 |
オゼックス点眼液 | 4.9~5.5 | 0.9~1.1 |
オドメール点眼液 | 6.5~7.5 | - |
オフロキサン点眼液 | 6.0~8.0 | 1.0~1.2 |
オフルオキサシンゲル化点眼液「わかもと」 | 6.0~7.0 | 1.52~1.75 |
オルガドロン点眼・点耳・点鼻液 | 7.4~8.4 | - |
カタリン点眼用 | 5.5~6.5 | - |
カタリンK点眼用 | 4.5~6.5 | - |
ガチフロ点眼液 | 5.6~6.3 | 0.9~1.1 |
キサラタン点眼液 | 6.5~6.9 | 約1 |
グラアルファ配合点眼液 | 6.0~7.0 | 約1 |
グラナテック点眼液 | 5.0~7.0 | 約1 |
クラビット点眼液0.5% | 6.2~6.8 | 1.0~1.1 |
クラビット点眼液1.5% | 6.1~6.9 | 1.0~1.1 |
クロモグリク酸Na点眼液「センジュ」 | 5.0~6.0 | - |
クロラムフェニコール点眼液「ニットー」 | 6.0~8.0 | - |
ケタス点眼液 | 5.5~7.0 | 約1 |
ゲンタマイシン点眼液「日点」 | 5.5~7.5 | - |
コソプト配合点眼液 | 5.5~5.8 | 0.4~0.5 |
コソプトミニ配合点眼液 | 5.5~5.8 | 0.95~1.25 |
コリナコール点眼液 | 6.0~8.0 | 約1 |
サイプレジン点眼液 | 3.0~4.5 | 0.9~1.1 |
ザジテン点眼液 | 4.8~5.8 | 0.7~1.0 |
ザラカム配合点眼液 | 5.8~6.2 | 約1.0 |
サンコバ点眼液 | 5.5~6.5 | 0.9~1.1 |
サンチンク点眼液 | 4.0~6.0 | 約1 |
サンテゾーン点眼液 | 4.0~6.0 | 約1 |
サンピロ点眼液0.5%/1% | 4.5~5.5 | 1.2~1.4 |
サンピロ点眼液2% | 4.5~5.5 | 1.1~1.3 |
サンピロ点眼液3% | 4.5~5.5 | 1.3~1.5 |
サンピロ点眼液4% | 4.4~5.4 | 1.3~1.5 |
ジクアスLX点眼液 | 7.0~7.7 | 1.0~1.1 |
ジクアス点眼液 | 7.2~7.8 | 1.0~1.1 |
ジクロード点眼液 | 6.0~7.5 | 0.9~1.4 |
人工涙液マイティア点眼液 | 7.1~7.7 | - |
ゼペリン点眼液 | 4.5~6.0 | 0.8~1.3 |
タチオン点眼用 | 4.5~6.5 | 約1 |
タプコム配合点眼液 | 6.7~7.2 | 1.0~1.1 |
タプロス点眼液 | 5.7~6.3 | 1.0~1.1 |
タプロスミニ点眼液 | 5.7~6.3 | 0.9~1.1 |
タリビット点眼液 | 6.0~7.0 | 0.95~1.15 |
タリムス点眼液 | 4.3~5.5 | 0.9~1.1 |
チモプトール点眼液 | 6.5~7.5 | 約1 |
チモプトールXE点眼液 | 6.5~7.5 | 0.9~1.1 |
デタントール点眼液 | 5.5~6.5 | 0.9~1.1 |
デュオトラバ配合点眼液 | 6.5~7.0 | 0.9~1.1 |
点眼・点鼻用リンデロンA液 | 5.0~7.5 | 約0.8 |
トスフロ点眼液 | 4.9~5.5 | 0.9~1.1 |
トブラシン点眼液 | 6.5~8.0 | 約1 |
トラバタンズ点眼液 | 約5.7 | 0.9~1.1 |
トラメラス点眼液/PF点眼液 | 7.0~8.0 | 0.9~1.1 |
トルソプト点眼液 | 5.5~5.9 | 約1 |
日点アトロピン点眼液 | 5.0~6.5 | 約1 |
ニフラン点眼液 | 7.0~8.0 | - |
ネオシネジンコーワ点眼液 | 4.0~6.0 | - |
ネバナック点眼液 | 7.0~7.8 | 0.9~1.2 |
ノイボルミチン点眼液 | 6.2~7.5 | 0.9~1.1 |
ノフロ点眼液 | 5.0~5.6 | 約1 |
ハイパジールコーワ点眼液 | 6.5~7.5 | 0.9~1.1 |
バクシダール点眼液 | 5.0~5.6 | 約1 |
パタノール点眼液 | 約7.0 | 0.9~1.1 |
パニマイシン点眼液 | 6.5~7.5 | 1.0 |
パピロックミニ点眼液 | 6.5~7.5 | 1.0~1.1 |
ヒアレイン点眼液/ミニ点眼液 | 6.0~7.0 | 0.9~1.1 |
ピバレフリン点眼液 | 4.5~5.5 | 1.0~1.2 |
ピマリシン点眼液「センジュ」 | 6.5~7.5 | - |
ピレノキシン懸濁性点眼液「参天」 | 3.4~4.0 | 0.9~1.2 |
フラビタン点眼液 | 4.5~6.0 | - |
プリビナ点眼液 | 5.3~6.3 | - |
フルメトロン点眼液 | 6.8~7.8 | 0.9~1.1 |
ブロナック点眼液 | 8.0~8.6 | - |
ベガモックス点眼液 | 6.3~7.3 | 0.9~1.1 |
ベストロン点眼用 | 6.0~8.0 | - |
ベタキソロール点眼液「SW」 | 6.7~7.7 | 0.85~1.25 |
ペミラストン点眼液 | 7.5~8.5 | 0.7~0.9 |
ミオピン点眼液 | 5.2~6.2 | 0.9~1.1 |
ミケラン点眼液/LA点眼液 | 6.2~7.2 | 0.9~1.1 |
ミケルナ配合点眼液 | 6.0~6.7 | 0.9~1.2 |
ミドリンM点眼液 | 4.5~5.8 | 0.9~1.1 |
ミドリンP点眼液 | 4.5~5.8 | 0.9~1.1 |
ムコスタ点眼液UD | 5.5~6.5 | 0.9~1.1 |
ムコゾーム点眼液 | 4.5~6.0 | 1.0~1.2 |
ムコファジン点眼液 | 4.5~6.0 | 0.8~1.2 |
ラクリミン点眼液 | 4.0~5.0 | 1.0~1.2 |
リザベン点眼液 | 7.0~8.0 | 0.9~1.1 |
リズモンTG点眼液 | 7.2~8.0 | 1.3~1.6 |
リボスチン点眼液 | 6.0~8.0 | 0.9~1.1 |
リンデロン点眼液 | 7.5~8.5 | 約0.8 |
リンデロン点眼・点耳・点鼻液 | 7.5~8.5 | 約0.8 |
ルミガン点眼液 | 6.9~7.5 | 0.9~1.1 |
レスキュラ点眼液 | 5.0~6.5 | 0.9~1.1 |
レボブノロール塩酸塩点眼液「ニッテン」 | 5.5~7.5 | 0.9~1.1 |
ロメフロン点眼液 | 4.5~5.7 | - |
コソプトは薬液のpHが5.5~5.8で、使用時に「目が染みる」と訴える感が一定数いるため、アゾルガ(pH6.7~7.7)が処方されることが多い。
ジェネリック医薬品のpHは先発品と同じものが多いが、キサラタン点眼液(pH6.5~6.9)に対しGEのラタノプロスト点眼液「TS」がpH6.4~6.8と違うものもある。GE品の採用の際には確認したほうがよいだろう。
こするとしみる
点眼薬に含まれる防腐剤や目をこするなど、物理的刺激により角膜が傷つくと、点眼時に刺激を感じることがある。
その場合は、防腐剤を含まない点眼薬が処方される。
服薬指導時には、眼をこすらないように伝えたい。
しみる目薬が欲しい?
目薬がしみると目に悪いんじゃないか、と思う人がいます。
しかし、しみること自体は、目に害を及ぼすことではなく、それほど気にすることではないという。
同じ目薬を使っても、しみる人もいれば、しみない人もいます。
目の炎症や体調など、目薬を使うときの状態によっても、違ってきます。
涙液のpH7.0~7.4になるべく近いpHの目薬のほうがしみない。
しみる目薬は涙を誘う。
その分目薬が無駄になる。
なるべくしみない目薬のほうがいい。
そう思っていました。
しかし、しみる目薬が欲しい、という患者さんが時折います。
花粉症の患者さんで。
目がかゆい。
そういう眼球をかきむしりたい患者さんは、刺激性の目薬のほうが良いらしい。
メントール配合のような。
ロートziみたいな「きたーーー!!」という刺激感を欲する患者もいる。