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ラジレスは空腹時に飲んだ方が良い?
公開. 投稿者:高血圧.この記事は約3分42秒で読めます.
1,313 ビュー. カテゴリ:ラジレスと食事の影響
ラジレスの添付文書の薬物動態をみると、
健康成人男子に本剤150mgを食後に1日1回7日間反復経口投与したときのCmax及びAUCは、空腹時投与に比べ、それぞれ75%及び55%低下した。また、食後投与ではTmaxは延長した。
と書かれている。
食後に服用すると血中濃度が下がるらしい。
半分以上下がる。
ならば食後服用か、と思いきや、用法は、
通常、成人にはアリスキレンとして150mgを1日1回経口投与する。
なお、効果不十分な場合は、300mgまで増量することができる。
1日1回としか書いてません。
食前に飲んでも、食後に飲んでも良い。
しかし、使用上の注意に、
本剤服用時期は患者ごとに食後又は食前(空腹時)のいずれかに規定し、原則として毎日同じ条件で服用するよう指導すること。なお、本剤は、食前(空腹時)投与で食後投与に比べ血中濃度が高くなること等を踏まえ、食後投与での開始を考慮すること。本剤服用時期を変更する場合には症状の変化に特に注意すること。
原則として、毎日同じ条件で服用するよう指導すること、となっている。
食後なら毎日食後で、空腹時なら毎日空腹時で。
本剤はバイオアベイラビリティ(生物学的利用率)が低く個体間及び個体内変動が大きいため、種々の要因により臨床用量で推定される血中濃度を上回る可能性がある。
食事の影響もあるが、人によって効果のバラつきが大きい薬のようだ。
しかし、食後服用で思ったような効果が得られない場合は、300mgへの増量の前に、食前服用というのを考慮してもよいだろう。
直接的レニン阻害薬
ラジレスは直接的レニン阻害剤と呼ばれる新薬です。
今はACE阻害薬とかAⅡ受容体拮抗薬と呼ばれる薬が高血圧でよく使われていますが、これらは昇圧物質アンジオテンシンの働きを抑える薬です。
ラジレスはこれらの薬よりもっと上流で働いて、アンジオテンシンを作らせないようにする薬です。
1898年、腎臓で昇圧に関与する物質がつくられていることがわかり、その物質には腎臓(renal)にちなんでレニン(renin)と名づけられました。
約50年後、レニンは、453個のアミノ酸から構成されるアンジオテンシノーゲンのペプチド結合を分解して、アミノ酸10個のアンジオテンシンⅠを生成するタンパク質分解酵素であることがわかりました。
アンジオテンシンⅠは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)によりアンジオテンシンⅡに変換され、アンジオテンシンⅡが受容体に結合することで昇圧作用を示します。
RAA系においては、レニンの活性が上昇すると、それが引き金となって、アンジオテンシンⅡやアルドステロンという血圧を上昇させる作用のあるホルモンが多く産生されます。
RAA系に作用する薬としては、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体桔抗薬(AⅡ桔抗薬)がすでにあり、広く使用されていました。
しかし、ACE阻害薬はキマーゼなどの非ACE経路由来のアンジオテンンシンⅡ産生は阻害できません。
また、AⅡ桔抗薬もアンジオテンシンⅡ受容体のサブタイプ1であるAT1受容体への作用を選択的に阻害しますが、RAA系を完全には抑制できません。
レニン阻害薬は血圧を調整するRAA系の最上流に位置するレニンの活性を阻害して、アンジオテンンⅠ以降のすべてのアンジオテンシンペプチドの産生を抑制し、RAA系全体を抑えることが期待できます。
そのため、高血圧の治療薬の最適な標的であると考えられます。
レニン阻害薬は、RAA系のもっとも上流で酵素阻害してアンジオテンシンⅠの生成を抑制し、降圧効果を示しますので、ACE阻害薬のようにブラジキニンの分解を阻害しないため、空咳の副作用はないものと考えられます。
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