2024年4月19日更新.2,754記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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DPP-4阻害薬では低血糖にならない?

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DPP-4阻害薬は低血糖を起こしにくい

DPP-4阻害薬(グラクティブ、ジャヌビア等)は低血糖の副作用が少ないと言われている。

DPP-4阻害薬とは、インクレチン(GIPやGLP-1)という血糖値をコントロールするホルモンを分解する酵素(DPP-4)の働きを阻害し、インクレチンの不活化を抑制する薬です。

つまり、活性型のインクレチン濃度を高め、インクレチンの効果がより発揮されやすいような体内環境をつくることになる。

インクレチンは高血糖時にはインスリン分泌を促進し、低血糖時にはインスリン分泌を促進せず、低血糖を起こしにくい。と言われている。理論上は。
しかし、SU剤との併用時には気を付ける。
単独でも1%で低血糖の副作用が報告されているので注意は必要。

あと、急性膵炎にも注意が必要です。
インクレチンは小腸から分泌されて膵臓に働く。
アルコールを飲む人は特に要注意。
また、インクレチンの消化管運動抑制による便秘とか吐き気とか腸閉塞などの副作用があります。

DPP-4阻害薬は、低血糖という副作用の面からは、比較的安心して使える薬かもしれませんが、副作用が無いわけではないので、腹痛、吐き気、便秘などの症状については注意喚起が必要。

インクレチン関連薬のメカニズムと低血糖

インクレチンによるインスリン分泌促進やグルカゴン分泌抑制などの作用は、カルシウム刺激が同時にある場合、すなわち、高血糖の時にのみ機能します。

SU剤や速効型インスリン分泌促進剤は、膵臓上のSU受容体に結合して、K+チャネル以降の惹起経路を活性化する。
つまり、血中グルコース濃度によらず、薬を飲めば、インスリンが分泌されます。

しかし、インクレチン関連薬は、惹起経路のうちCa+流入以降の作用を増幅するだけ。
インスリン分泌が惹起されていないタイミングで薬を飲んでも、インスリンは分泌されない。

そのため、メカニズムからみると低血糖を起こすリスクがきわめて低い薬といえる。

一方で、SU薬服用者においては血糖値が低めであってもSU薬の作用により惹起経路は作動していることがあると考えられる。
そのような状況下でDPP-4阻害薬を併用すると不活性化されないインクレチンによってインスリン分泌の増幅効果が顕在化し低血糖を発現する可能性があり、インクレチン関連薬とSU剤などとを併用して、重篤な低血糖を起こした症例が報告されているので注意が必要である。

インクレチン関連薬とSU剤併用時の減量

「インクレチン(GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬)の適正使用に関する委員会」から発出されたRecommendationでは、重篤な低血糖を起こす危険因子として高齢者・腎機能低下者・高用量のSU剤を服用している者等を挙げ、インクレチン関連薬とSU剤を併用する場合には、SU剤の投与量をグリメピリド(アマリール)は2mg/日以下、グリベンクラミド(オイグルコン、ダオニール)は1.25mg/日以下、グリクラジド(グリミクロン)は40mg/日以下に減量するように推奨している。

DPP-4阻害薬のみであれば低血糖を起こしにくい薬なのですが、SU剤と併用すると低血糖の報告が結構あるようです。

併用によって血糖値をそれだけ下げるってことは、治療抵抗性の患者には有効な方法かも知れませんね。

DPP-4阻害薬は、単独では低血糖を引き起こしにくいことが知られていますが、他の糖尿病薬との併用で、特にSU薬と併用した際に重篤な低血糖症状発現の報告があり、そのほかの糖尿病用薬との併用でもその可能性は否定できません。

その原因究明と対策をたてるために日本糖尿病学会及び日本糖尿病協会より「インクレチンとSU薬の適正使用に関する委員会」が発足し、重症低血糖を起こす患者の特徴が検討され、Recommendationが出されている。

インクレチンとグルカゴン

インクレチンは血糖値の高いときにだけインスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制する血糖依存的な作用を有するため、DPP-4阻害薬は、低血糖を起こしにくいといわれています。

食事により小腸からグルコースが吸収されたり、あるいは肝臓からグリコーゲン由来のグルコースが放出されて血糖値が上昇すると、膵臓でのインスリン分泌が増加するとともにグルカゴン分泌が減少します。

グルカゴンは、主として膵ランゲルハンス氏島のα細胞から分泌されるホルモンです。
インスリンとは拮抗的に働き、肝臓でグリコーゲンを分解してグルコースを放出したり、糖新生を促進します。

インスリンは肝臓でのグリコーゲン合成促進、糖新生およびグリコーゲン分解の抑制、ならびに筋肉や脂肪組織などでのグルコース取り込み促進などによって血糖値を下げます。
一方、低血糖時にはインスリン分泌が減少するとともに、グルカゴンが増加して血糖値を上げます。

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薬剤師

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先生

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2 件のコメント

  • あかさたな のコメント
         

    冒頭の「DPP-4の不活化を抑制」、ではインクレチンは分解されるということでしょうか?

  • yakuzaic のコメント
         

    コメントありがとうございます。

    わけのわからないことを書いていました。修正します。
    ご指摘ありがとうございます。

コメント

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yakuzaic/著
2023年09月14日発売

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座右の銘:習うより慣れろ。学ぶより真似ろ。
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