更新日:2017年1月21日.全記事数:3,136件.

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シベノールで低血糖?


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不整脈の薬で低血糖?

不整脈の薬のシベノールには低血糖の副作用があります。
抗不整脈薬と低血糖、あまり結びつかない。

シベノールはSU剤のように、血中濃度依存的に膵臓を刺激してインスリン分泌を促進するらしい。

リスモダンピメノールなどの抗不整脈薬にも低血糖の副作用があります。

カリウムチャネルと低血糖

不整脈の薬にはカリウムチャネルを遮断するものが多いですが、SU剤の作用機序もカリウムチャネルを遮断することによる。

SU剤の作用機序は、膵臓のランゲルハンス島β細胞のSU受容体のSUR1サブユニットに結合しATP依存性Kチャネルを抑制することによってインスリン分泌を促進させる。

膵臓ランゲルハンス島β細胞のATP感受性カリウムチャネルにシベンゾリンが取りこまれると、グルコースを摂取したときのようにカリウムチャネルが閉じて、活動電位依存性カルシウムチャネルが開く。

カルシウムイオンはβ細胞内に流入すると、カルシウム貯蔵部位(小胞体)に貯蔵される。

大量のカルシウムイオンが流入すると、インスリン分泌が刺激され、インスリンが過剰に分泌されて血糖が低下する。というメカニズム。

カリウムチャネル遮断薬といえば、アンカロンやソタコールなどのクラスⅢ群。
しかしアンカロンの副作用に低血糖はない。ソタコールでは逆に、「本剤のβ遮断作用により高血糖があらわれることがある」と書かれている。
第Ⅰ群(Naチャネル遮断薬)でKチャネル遮断作用も強いのは、プロカインアミド、ジソピラミド、キニジン、シベンゾリン、ピルメノール、あたり。
これらのうちアミサリン(プロカインアミド)、硫酸キニジンには低血糖の副作用記載がなく、ピメノール(ピルメノール)、シベノール(シベンゾリン)、リスモダン(ジソピラミド)には低血糖の副作用記載があった。
Kチャネル遮断だけで低血糖の説明はできないようだ。

血糖とイオンチャネル

血糖調節のメカニズムは、まず、ブドウ糖が膵臓のランゲルハンス島β細胞内に取り込まれた後、代謝されてATPが産生され、ATP/ADP比が増大し、ATP感受性K+チャネルが閉じ、膵β細胞膜の脱分極が起こります。
それに伴い電位依存性Ca2+チャネルが開き、Ca2+が流入してCa2+濃度が上昇します。
Ca2+はインスリンの小胞の細胞膜との融合を促進し、インスリン分泌が促進され血糖値が下がります。

シベンゾリンはスローキネティックスのNa+チャネルを抑制することで、上室性および心室性の頻脈性不整脈に対して抗不整脈作用を発揮しますが、Na+チャネル遮断作用だけでなく、K+チャネル遮断作用と、わずかですが膜電位依存性Ca2+チャネル遮断作用および心筋M2遮断作用を有しています。
そのため、ブドウ糖上昇によるATP上昇を介することなく、細胞膜の内側から膵β細胞内ATP感受性K+チャネルに直接結合してATP感受性K+チャネルを閉じるため、血糖値とは関係なく、細胞膜の脱分極、電位依存性Ca2+チャネルの開口、細胞内Ca2+流入を引き起こし、インスリン分泌を促進させ低血糖を引き起こします。

シベノールと低血糖と透析

シベンゾリンは消化管から吸収された後、主に未変化体として腎臓より排泄されるので、高齢者および腎機能障害者におけるシベンゾリンの血漿中濃度の消失半減期は延長します。
したがって、加齢に伴う腎機能の低下により薬が体内に過剰にたまり、副作用も起こりやすくなります。
低血糖が起こる危険性も高くなるので、常に血糖値に注意しておく必要があります。

ジベンゾリンの体内動態は年齢および腎機能の影響を受け、副作用発見の目安は血漿中濃度800ng/mLですが、高齢者や腎機能低下症例では、治療域血中濃度(70~250ng/mL)でも低血糖が生じやすいといわれています。
シベンゾリンは透析によりほとんど除去されず、透析中の患者に使用した場合、急激に中毒域まで血中濃度が上がり、低血糖、催不整脈作用、心不全などの重篤な副作用が現れることがあるため、透析中の患者への投与は禁忌となっています。

シベノールと高齢者

抗不整脈薬のシベンソリンコハク酸塩(シペノール) は、尿中未変化体の排泄率が60 %程度の腎排泄型薬剤である。
分布容積が6 ~7L/kg と非常に大きいため、過量蓄積した場合に透析による除去はほとんど期待できない。
また、副作用のうち低血糖は入院加療で対応できるが、過量投与によりQT延長から心室頻拍(TdP:torsade de pointes [トルサード・ド・ポアンツ])、心室細動へと移行し、突然死に至ることもある。
そのため、処方時の至適投与設計が重要となる。

シベノールの添付文書には、成人では通常300mg/日より開始するとある。
ただし、肝・腎機能の低下や体重減少の傾向がある高齢者には副作用が発現しやすいため、「少量(例えば1日150mg) から開始するなど投与量に十分に注意し、慎重に観察しながら投与すること」と付記されている。

投与量の確認には、「腎機能(CCr:クレアチニンクリアランス) を指標としたシベンソリン初期投与ノモグラム」゛を活用したい。

Cockcroft-Gaultの式( 男性:CCr[mL/分]= {(140 一
年齢)×体重(kg)} / {72 X SCr (mg/dL)|) を用いてSさんのCCrを計算すると、55.4mL/ 分となり、適切な初期投与量は150mg/日となる。
なお、こうした患者情報を入力すると初期投与量を推定するTDM サービスを、トーアエイヨーのウェブサイトで利用できる。
その他、推算糸球体濾過量(eGFR)と体重から初期投与量を導き出す「CKD のステージ分類によるシベンソリン初期投与量」も参考になるだろう。

参考書籍:調剤と情報2011.9、日経DI2016.5

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