更新日:2017年1月11日.全記事数:3,191件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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喫煙者は低用量ピルを飲んじゃダメ?


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ピルで心筋梗塞?

ピル服用者では、心筋梗塞等の心血管系の障害が発生しやすくなることが知られている。

これは、ピルの服用により、血液凝固能が亢進されたり、血中脂質代謝の異常が起きるためと考えられている。

低用量ピルであっても、年齢に比例して心血管系障害のリスクは増大し、またピルを服用しながら喫煙を継続することで、そのリスクが急激に増大することがわかっている。
このため、我が国では「35歳以上で1日15本以上の喫煙者」は低用量ピルが投与禁忌となっている。

ピル服用中にタバコを吸っちゃダメ?

ルナベルなどの低用量ピルの添付文書には、禁忌に、
35歳以上で1日15本以上の喫煙者[心筋梗塞等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告がある。]」
と書かれている。

プラノバールやルテジオンなどの中用量ピルでは、重要な基本的注意に、
「外国では,喫煙が類薬(経口避妊薬)による心・血管系の重篤な副作用(血栓症等)の危険性を増大させ,また,この危険性は年齢及び喫煙量(1日15本以上)により増大し,35歳以上の女性で特に顕著であるとの報告がある.したがって,本剤を投与する場合には禁煙させることが望ましい.」
と書かれている。

メノエイドについては、喫煙に関する注意の記載もない。
腑に落ちない。

タバコは血管にダメージを与える?

タバコが健康にもたらす害として、肺がんや気管支喘息などの呼吸器系の疾患への害は直接的にイメージできますが、動脈硬化や大動脈瘤のような血管への影響は理解しにくいです。

タバコが呼吸器にもたらす悪影響はタールが主ですが、血管にもたらす悪影響は一酸化炭素です。
一酸化炭素中毒によって臓器が酸素不足に陥ります。火災などで、一酸化炭素中毒により死亡というニュースは多いのでイメージしやすいです。

酸素不足になったら、その分酸素を供給している血液を多く流すしか無いので、心臓の拍動を早めて血流を多くします。
酸素を多く取り込みたいのに、ニコチンが血管を収縮させており、なかなか取り込めない。血圧は上がる。

そんな感じで血管の内側の壁にダメージを与え続けることが、喫煙者には心臓血管系の病気が多いという理由です。

ピルを糖尿病患者に使っちゃダメ?

糖尿病は、低用量ピルを処方する医師が事前に確認すべき病歴の一つであり、添付文書では、「耐糖能の低下している女性(糖尿病患者及び耐糖能異常の女性)」が慎重投与となっている。

これは、ピルに含有されるプロゲストーゲンの影響でインスリン感受性が低下し、血中インスリン濃度と血糖値の上昇が起きることが知られているためである。

しかし、この血糖値等の上昇は高用量ピルを使った研究で報告されたものであり、プロゲストーゲンの含有量が少ない最近の低用量ピルでは、ほとんど影響はないと考えられている。

実際、我が国の低用量ピルの臨床試験では、健常女性において、血糖値や血中インスリン濃度に変化がなかったことが報告されている。
ただし、糖尿病患者での血糖値への影響は十分わかっていないため、糖尿病患者と耐糖能異常者では慎重投与になっているのである。

ピルを飲むと太る

ピルに含有されるプロゲストーゲンは、男性ホルモン作用を併せ持つため、蛋白同化作用があり体内の蛋白合成を促進する。

そのため、筋肉が増強したり、食欲が亢進し、体重が増加する場合がある。

またエストロゲンにも、女性の二次性徴を促して胸、腰の周り、大腿部などの皮下脂肪を増やしたり、腎臓からの塩分の排泄を抑制して体液貯留を起こすなどの作用があり、体重を増加させる方向に働く。

ただ、低用量ピルでは、これら女性ホルモンの含有量が少ないため、大きな体重増加が起きる可能性は低い。

実際、日本人を対象にした各製剤の第三相臨床試験では、体重の増加は平均で1~2kg程度であり、逆に体重が減少した人も少なくないことが報告されている。

また体重増加が起きるのは、服用を開始してから約3ヶ月程度に止まり、長く服用を続けたからといって体重が増加し続けるものではない。

体重増加に関する相談を受けた場合には、体重が増えるとは限らないこと、増える場合でも飲み始めてから3ヶ月間ほどの間に1~2kg増える程度であることを伝えることになる。

また、体重増加を予防するには、エストロゲンによる体液貯留を抑制するために、食事の塩分を控えると効果があるとも言われている。

・エストロゲン依存性の副作用
悪心・嘔吐/頭痛/下痢/水分貯留/脂肪沈着/帯下増加/経血量増加/肝斑/血圧上昇

・プロゲストーゲン依存性の副作用
倦怠感/抑鬱感/乳房緊満感/月経前緊張症様症状/性欲低下/経血量減少

・アンドロゲン依存性の副作用
体重増加/ニキビ/性欲亢進/食欲亢進/男性化徴候

参考書籍:日経DI2001.8、日経DIクイズ2

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